モッチリ遅いコメの距離感

オーディオルーム、シアター、注文住宅などに関してのblog。

書院造のモチーフで配色にアレンジを加えてみる。

2021-06-27 18:24:28 | オーディオ
前回は日本の伝統建築の初歩を学びつつ、書院造りの書院をモチーフにしたデザインを考えた。
ただ正面壁は白でなく暗い色の方が都合がいいので配色などをアレンジしていく。

現オーディオシアタールームのシアター面をいじっている時に感じたのが黒っぽい壁面によりケーブルや雑多な構造が有っても黒く塗ったり黒い布で覆ったりするとAVアンプ周囲のカオスな部分が見た目上はすっきりしてくれるメリットを大いに感じていた。
和風モダンでデザインするなら配線などを極力雑多にせずすっきりした見た目にしないと台無しである。
そして見た目がうるさい拡散体もマットブラックに塗装して壁も黒くすれば、飾り棚に多少拡散体を置いても目立たないかもしれない。
黒によって正面にあまり視覚的情報を入れないというのも本気でリスニングしたいときにはプラスに働く。
なので正面壁はマットブラックとすることにした。木の色としてマットブラックと合うのは個人的にはメープル(琥珀色のようなやつ)かなと思っている。

また現ルームで気づいたのだが、床の間に鑑賞物を飾っても、リスニングポジションからはオットマンと自分の足が邪魔をして視界から外れてしまう。
40cm程度の高さで棚を作り、そこに鑑賞物を設置して、その下は機材スペースでいいかもしれない。

そうしてデザインを修正したシミュレーションがこうなった。
個人的にはわりと良い感じには思っている。
窓と床の間の飾り物と床柱が鑑賞する物として機能してくれそうだ。



比較




比較


伝統建築にはあまり見ない配色だが伝統建築の形式を取り入れた名残があるせいか、無秩序感が減少してくれているように感じる。
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今更ながら和室の基礎を調べて応用する。

2021-06-26 00:43:24 | オーディオ
和モダンでリスニングルームをデザインしてみようというトライをしてみようというのが前回の記事で、
まずは日本建築の基礎の基礎から少し調べてみる。

教科書にも出てくるような単語からさらってみる。

・寝殿造り
平安時代の貴族の住居として確立した様式。内装としては部屋にしっかりとした仕切りがなく簾や蔀戸で区切っている。床は板の間だが上座のスペースでは畳が板の間の上に敷いてある。
蔀戸の区切り方が面白いが似たものが後世にもあるし、いろんな面で未成熟のため現代建築で生かそうとするとあまりないのかなと思えてしまう。


引用:酒とネコ

蔀戸

引用:共栄木工

・書院造り
鎌倉室町の中世武家社会で生まれた様式。以降の数寄屋造りも書院造りの派生であり、多少は現代に続く様式と考えられる。


引用:インテリアのナンたるか

書院の部分は客人と接するための応接室であり、プライベートな空間とはしっかり区別された部屋のようだ。
後に続く数寄屋造りと異なりしっかりと様式が決まっているので書院造りはこうなっていると決めつけできるので応用はしやすい。


引用:大和ハウス

床の間の部分で鑑賞物を展示したり、付書院に窓を設置し、その隣に作り付けの違い棚の収納スペースを付けている。
鑑賞するための物を展示する場所を設けるという発想は取り入れたいと思わせる。音楽鑑賞中には視覚が暇をしているがステレオ音像のために正面を向かないといけない。正面に見応えのある物を置くと具合がいいと思うのだが、正面が鑑賞物を飾れる床の間になっているとそのニーズが一致する。
一部の書院造りには床の間の正面に窓があり、それも応用すると音楽鑑賞中に縁取られた庭を鑑賞することができる。
そして何を置くかという問題があるが、見える形での棚を設置したりしているのは自分の全面棚のリスニングルームとしても導入しやすい。違い棚にする必要があるかどうかは別にしても。
書院造りに倣って床柱を正面の床の間の間に作れば銘木を鑑賞しながら音楽鑑賞もできる。

書院造りの格子天井も同じ構造にすることはないが、オマージュしたような形で取り入れると天井の反射音対策になる。

引用:二条陣屋

ただ書院造りは生活空間としての役割よりも接客の要素が強く、格式や客人との上下関係などを意識した設計が各所にされる。
趣味の部屋、喫茶の部屋という意味では後継の数寄屋造りの方が類似性が高いと思われる。

・数寄屋造り
安土桃山時代に喫茶が広まり茶人が茶室を作ったが、茶室として書院造りの部屋を茶人の感性でアレンジしたものが数寄屋造りであるようだ。スタイルは質素かつ自由で洗練された造りと言える。


引用:美の五色 bino_gosiki ~ 美しい空間,モノ,コトをリスペクト


引用:wikipedia

趣味の部屋という意味では音楽鑑賞しながらお茶を飲む為の部屋として数寄屋造りは通じるところがあるが、スタイルがパターン化しきれておらず、この工夫は数寄屋造りをモチーフにしたと言うにはなかなか難しいなという印象。


床の間の発想や、床柱、隣接する違い棚などを使ってリスニングルームを和モダン風にしてみた。






飾り棚のところに拡散性のある物体をどれだけセンス良く入れられるかという難問と、現代のライティングでどのように演出するかは考察の余地があるだろう。
中世のスタイルに落とし込んだだけなので、もう少し改善の余地があるとは思うが、音楽鑑賞中に何を見るのかという問題に一つの解を出すことができたこと、自分の思考実験をしている仮想リスニングルームに統一感のあるスタイルを与えられたことには満足している。
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和モダン系リスニングルームを考える

2021-06-24 22:38:19 | オーディオ
レコーディングスタジオであれば業務として正しい音を聴取できることが第一であり、後はワーキングスペースとしての居住性が良ければさらにいい(他の要素もあるだろうが)。
当然ではあるが仕事として利用するときに必要な分だけ利用するからだ。
音響用の実験室や研究室はデータが正しく取得できることが至上であり、それ以外はほとんど問題にならない。居住性が最悪の残響室や無響室なども居住性が不快だから駄目などということは決してならない。

では住宅のリスニングルームの場合はどうなるだろうか?オーナーにできるだけ音を良くしたいという欲求があれば正しい音、好みの音になるよう工夫する必要はあるが、欲求がなければ必須ではない。
音も大事ではあるが、その部屋を1日の生活リズムの中、1週間の生活週間の中でどのように使えるかを考えてなるべく使い易く有用にしておかないと、この部屋の音は良いけれどもあまり使わないということになりかねない。

以前に実際に作った時はオーディオとシアター向けだったので、シアターの試聴に支障がないようにと考えると概ねデザインが規定されるのでそれ以外を考えることがなかったが、
オーディオのみの部屋を考える場合、設計の自由度が上がる。
自由度が上がると考える余裕が出てくるのが、その部屋でどう生活したいのか、という点になる。
音楽を聴くのはどういうことを求めたからなのか、もしくは聴かなくてもその部屋に行くというのはどういう時かというのを考えることが部屋のあり方の指標になる。

音楽を専用室でしっかり聴こうという時は、
・リラックスしたい
・極端に眠くはない
・外出しようと思わない
・家族とコミュニケーションを取る時間ではない
・音や光をシャットアウトしたい
・聴きたい音楽がある
・考え事の整頓
・コーヒーや茶などの喫茶しているとき
などの条件が1つまたは複数揃った時である。
その条件下にうまく合った部屋であったり、条件が増えるような部屋であったりすると使い易く、リスニングルームとしては良い部屋になると思われる。

・リラックスしたい→ リラックスしやすい部屋の雰囲気を作る。椅子、もしくは横になれるベッドやソファや昼寝布団などを使えるように環境を整えるべき

・極端に眠くはない→ 真面目に音楽を聴く部屋だと眠いときにはしっかり聴けないので眠いから行けないとなる。ある程度流し聴きで聴くにも使い易かったり寝られるものがあったりすると良い

・外出しようと思わない→ 外出したいときは外出すればいいので特にこれは部屋のデザインに活かす部分はないように思われる。

・家族とコミュニケーションを取る時間ではない→ これも家族とコミュニケーションを取るべき時間は音楽聴くよりそうした方がいいので同上

・音や光をシャットアウトしたい→ 防音室は日常の小さな騒音や光源などをかなりのレベルでカットできるので疲れたときなどにそういう所で刺激をシャットアウトしてリフレッシュするのに有用だったりする。音楽を聴く意外にも有用でありその機能はあるべきである。

・聴きたい音楽がある→ 聴きたい音楽があるときは部屋がどうあれ音楽再生ができる部屋に行くと思われる。

・考え事の整頓→ 音楽をしっかり聴いている時に保留にしていた考え事が纏まったり悩みの整理がついたり精神が澄むすることがよくある。そういった言わば瞑想状態(というには俗過ぎるのだが方向性として)を得るために使い易くすると良いような気がする。

・コーヒーや茶などの喫茶しているとき→ お茶やコーヒーなどの喫茶が個人的には結構好きなので、それなりに拘りの一杯を味わうときは音楽を聴きながら飲むのはティータイムの価値を向上させる。喫茶の空間としても使い易くすると良いように思える。

つまり、普通に防音室、オーディオルームを作った際に具備している性能の他に、
・リラックスしやすい部屋の雰囲気、極論を言えば瞑想しやすい雰囲気
・リラックスできる椅子やソファやゴロ寝できるような場所
・喫茶するのに快適なスペース
があると日常生活の中での趣味としての音楽鑑賞のスペースとして良くなるのではないか?



以前音響調整用の棚のデザインを考えている際に古民家的なテイストの格子戸を用いると具合が良さそうだというところから、リスニングルームに和風テイストは案外相性がいいのではないかという発想に至った。

理由の一つとしては空気を適度に抜けるような意匠が豊富にあることだ。
欄間みたいなのも適度に透過させつつ適度に反射や拡散させつつ、音響調整用の意味も含めインテリアとしても成立するものが豊富にあるように思える。


引用:京都古材市場

さらにリスニングルームだと木材の使用が多くなりがちだがその点は和室との共通点と言える。

他の理由としては当然ながら日本国内ならパーツの入手が容易であることだ。

さらに前半で述べたことが和風が良いのではということに繋がっていくのだが、リスニングルームに本来必要なのはショールーム的な生活感のないゴージャスさのある空間とは思えない。ただ他の居室と同じだけの空間で良いとも思えない。
必要なのは禅の間のように他の事に気が向かず落ち着いた状態で集中できるような空間であるようにも思える。
禅宗のように禁欲的であるべきというものではないのだが、禅の文化で育った内装は音楽鑑賞においてある程度親和性というか学ぶべき点があるように思われる。


引用:柏樹關

そして欧米文化で代替できる物があまりなく、日本人であるからこそ禅の文化を取り入れて掘り下げられないかというように考えさせられる。
そして寺院には枯山水などの庭園があり、外界と連続した場所で良く修行は行われる。
「禅の修行は深山幽谷の大自然の中でおこなうことを理想としています。やむをえず室内や市中で修行する時は理想とする大自然を再現する必要がありました。(引用:にわそら)」というように、精神的に高みに行く際には外界との関わることが必須と考えられている。寺院の中に篭もって修行すれば事足りるのであれば良いのであれば大自然や庭園など考えなくてもいいはずである。

別にリスニングルームで修行する訳でもなんでもないのだが、外界と空間の連続を絶って部屋に篭もるだけでは心を豊かにできる空間にはならない気がしている。
音響的に悪いとは言われている窓も必要最小限で効果的に使い、窓の向こうの景色に禅庭の考えを応用したものを取り入れると良い部屋になるかも知れない。


引用:エコトピア

また日本の文化に茶道というものがあり、茶室という茶を作り喫茶するための専用部屋が存在する。喫茶と一緒に音楽を聴くのであれば茶室のエッセンスをリスニングルームに取り入れるのも良いのかもしれない。
ただ茶室の要素を取り入れられるのは限定的かもしれない。茶室は質素を旨としており、狭い空間を良しとするが、リスニングルームが響きの為にある程度広い空間を良しとするという反対の趣向をしている。
茶室を参考にするからと言って畳を敷いて地べたで正座したりあぐらをかいたりしながら鑑賞するわけにもいかない。それなりの大きさのスピーカーは基本的には椅子で座って聴くことを想定して作られている。
内装の雰囲気であったり、先ほどの庭を見るための窓として茶室の地窓という考えを取り入れると良いのではというところあたりを取り入れられればという感じだ。


引用:pinterest

いずれにしろ一般的なリスニングチェアであるリクライニングチェア+オットマンでは喫茶はしづらい。リクライニングチェアは残しつつも、喫茶しやすいテーブルとチェアを設置できるよう工夫した方がいいのかもしれない。

和の真髄を特に理解している訳では無いのでエッセンスを取り入れるなどと言える訳もなく、上っ面だけにはなり、和風というか和モダン風どまりであろう。
専用室で和モダン風に設計している事例があまりない。上記の理由で和モダンと相性良さそうに思えるのでデザインを考えてみると面白そうだ。

リスニングルームは木材を多く使いがちで野暮ったくなったり、ルームチューニング材ゴテゴテだと異形な視覚的効果になりがちだが、木材が多いから悪いとか幾何学的な壁材が悪いというより最終的な内装としての仕上がりを考慮してないのが良くないのだと考えている。
視覚的に配慮しつつ理論的に音響的な空間を考えてみるのも面白そうなので考えてみようと思う。
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仮想全面棚部屋の棚の設計について考察する。

2021-06-23 00:01:06 | オーディオ
最近リスニングルームについていろいろ考え事をするときにモデルルームとしている全面本棚部屋であるが、以前に反射や吸音や拡散を調節することを是として考えた部屋である。
棚の深さや縦横の寸法はすでに規定したが、他にも規定する事項が存在していることに気付いた。
棚には移動式のもの、壁に固定するものがあり、壁に固定するものだと、折りたたみできるものもある。
そしてメタルラックのように格子状のものだったり、縦板が板だったりポールだったり格子だったりする。
そのあたりをどうするといいのかを考えてみたい。

移動式のものか、固定式のものかということではあるが、移動式の方が全面棚の部屋は上手くいかなかったから作り直すとか、寸法を変えたくなったから交換するなど、後戻りしやすいのは事実だ。既存の部屋でそれを作りたい場合もハードルが下がるだろう。リスニングルーム以外の用途に転用したい場合も想定すると移動式の方が有利かもしれない。
ただ、壁に固定した方が棚板の隙間ができにくかったり、建築化照明を入れやすかったり、剛性を取りやすかったりできる。地震の際の耐震性にも寄与する。
総合して勘案すると壁に固定した方が良い気がする。ただし壁への固定金具は隠さずに、DIYで外せるようにしておく。棚は何かと収納に便利なのであって困ることはあまりない。リスニングルームとして使わなくなったとしても棚が不要だから無くしたいということにはあまりならない。棚を交換したい、撤去したいとしても金具を外して除去できるならどうにでもできる。勿論ネジ穴は残るが、それくらいは大きな事ではない。
同上の理由から棚を折りたたみにして薄くできるという機構もあまり必要ないのではないか。

棚や縦板を格子やポールにするか否かではあるが、これはなかなか難しい。
コスト的には格子にすることで材料費は減少するが、手間が増える。
格子やポールは太さ方向に共振する周波数が超高域になるため、共振周波数を1次元分考えなくていいので扱いやすい気もするが剛性が減少するので扱い難い気もする。
棚自体の拡散効果としては、そもそものコンセプトとしてその部分にあまり過大な期待はしないにしても拡散効果があって困ることはない。板の代わりに使う格子自体をスリットの拡散効果として考えるか、棚板と棚板の間の空間を拡散するための空間と考えるかでどちらを良しとするかは別れる。

金具を使って縦板の代わりに格子を利用している棚

引用:dinos

複雑な形状の造作棚。共振する周波数や拡散する面を分散できるのでよさそう。
https://www.miyakekomuten.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/05
/AdobeStock_98923127.jpg
引用:アイフルホーム

一般的な造作棚

引用:ハミルトン

一般的なスチールラック。拡散性は殆ど無いが棚自体が音響に影響を与える量は僅かなので、そういう意味では適性があるようにも思える。

出典:アイリスオーヤマ


いわゆる「すのこ棚」スノコはさすがに剛性が低すぎるが、スリットが入っているので棚板自体に空気が抜ける構造が付与されたようになる。

引用:lovegreen

ただ、棚板にスリットが入っていると置ける物に制限が出てきてしまうのでスカスカな棚板はどうなのかと思ってしまう。

機能的でありつつ視覚的にも問題ない棚を考えていたが、そもそも格子戸を棚の表面に設置すれば何でもいいような気がしてきた

引用:doop

縦横の格子戸

引用:大山建工

音響調整用の棚をどうすべきかはまとまらなかったが、棚をの表面部分に格子戸を付けると棚の中で音響調整材を好きに入れても視覚的に問題になりにくく、棚の見た目にコストをつぎ込む必要がなくなることに気づけた。
格子自体も拡散性を多少は期待もできる。

戸を付けない棚もあっても良いと思うので、側壁と後壁に格子戸を付けたときの仮装部屋はこんな感じになる。






格子戸を付けると和風になるがリスニングルームがモダン和風というのもアリなんじゃないかなと思えてきているので今度それを記事にしたい。
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オーディオルームの優先順位を考えてみる

2021-06-20 22:10:31 | オーディオ
家庭内試聴の室内音響について配慮すべきと言われていることについて、いくつか言われていることがあるが、何を優先すべきか、断片的に考えたことがあるのでそれを書き出すことで整理してみる。

・防音
・吸音率
・フラッターエコー対策
・定在波対策
・初期反射音の対策
・後期反射音(残響音)の対策
・部屋の大きさ


少なくとも防音はかなり大事だと言える。なぜなら音量を十分に出せないなら
せっかくダイナミックレンジがを十分にある音源を再生しても、小さい音の表現が可聴閾値以下の音量になってしまうからだ。
小音量でもすべての音を拾うには聴力検査で並の人よりも数十dB小さい音まで拾えないと不可能だ。
ただ、音楽再生は楽器演奏やホームシアターと比べると出音はそこまで大きくない。
なので上記のものと比べると防音はそこそこでも良いと思う。
それよりも大事なのは近隣の住居や同一建物内に迷惑がかからない工夫をすることである。
建物の防音自体にコストをかけるのはある一定を超えるとコストパフォーマンスが非常に悪くなってくるので、
それ以降にコストをかけるよりは、周囲に迷惑がかからなそうな場所を確保する方にコストをかけた方がいいと思う。

防音ができず小音量になってしまうなら残響音の多くが可聴音量以下になってしまうので残響時間が長いか短いか残響が包まれる感じかどうかなど良く分からないので小音量で残響をデザインする意義はあまりないと思う。
なので、防音>後期反射音(残響音)の対策なのは明らかであり、残響時間と関与する吸音率も優先順位は落ちるので防音>吸音率である。

部屋の大きさも大きすぎると響きが長くなりすぎるが、常識的な住宅であればそこまでにはなりそうもないので、大きければ基本的には良いと言える。
大きければ初期反射面の影響も小さい部屋よりも和らぎ、残響時間も確保しやすいので何もしなくても残響が比較的良い物になる。
定在波も立方体などよほど特殊な部屋でない限りは大きな部屋であれば低音も出やすいし配慮しなくてもそこそこのものになる。
なので部屋の大きさ>初期反射音、後期反射音、定在波対策と言える。

定在波対策は一から部屋を作れる場合は是非意識しておくべきだし後から変えるのは難しい。
だが一から作ってないような部屋の場合、定在波となるような超低域の遮音がしっかりできないことがほとんどであり、たいていの場合はほどよく外に抜けるので勝手に多少は対策できてしまっている。
部屋の寸法比も縦横高さが全て同じという部屋はまず存在しない。
そもそもオーディオリスニングの場合定在波となる超低域の周波数はあまり使われない。
という意味では実際の所あまり重要視しても仕方ないのかなと思う。

フラッターエコーは明確な音響障害で、発生する空間の音は明らかに悪い。特定の周波数を含む音はビィィンという特異な残響音を残す。明らかな悪である。
初期反射音の処理に関しては諸説あり、無処理の場合も普通に想定される。後期反射音(残響音)はリスニングルームという小空間の場合知覚できるほど残らない場合も多い。
なのでフラッターエコー対策>初期反射音の処理>後期反射音の処理といえる。

吸音率は後期反射音の処理と関係が深いが、そもそもオーディオルームのような小空間の場合、残響時間があまり取れないので部屋全体のマクロ的な視点では吸音する必要性がそれほど多くない。吸音率を気にしない→意識して吸音部を作らないという選択をしてもそんなに悪いことにはならないのではないか(当然ながらデッドな音が好きな人であれば話は別だが)。
なので吸音率はあまり重要とは思えない。

部屋の大きさと防音どちらが大事かというと難しいが、防音(騒音公害への配慮)という意味では大きい部屋でも周囲に騒音公害を及ぼすならオーディオルームとして使ってはいけないと思うし、そもそも周囲に音で迷惑をかけかねない部屋は外からの音も中に入れてしまう部屋なので、外からの雑音というノイズが音質に悪影響となる。
となると

①防音(騒音公害への配慮)
②部屋の大きさ
③フラッターエコー対策
④初期反射音の処理
⑤後期反射音(残響音)の処理
⑥吸音率
⑦定在波対策

ということになるのかなと思う。まああくまで個人の感想だけれども。


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ルームチューニングの再考察:時間軸の拡散だけで諸問題解決できる条件の考察

2021-06-19 00:03:09 | オーディオ
仮想オーディオルームを考察して最終的には可変性重視を良しとする考えに至り、それ自体の大枠に変更はないのだが、
拡散に対する考察が中途半端だったので再度考察してみる。

極力全面に高度な拡散を行うことも一つの正解となっているが、専門家の中でも拡散性を極限まで上げるだけでは良い響きにならないと考えている専門家もいることは事実である。
その理由はさまざまであるだろうが個人的な考えとしては、残響音はある程度存在すると聴感上の良好さに寄与するのは事実だが直接音に対するノイズ成分とも解釈できる。高度すぎる拡散は初期反射を残響音に変化させるため直接音の明瞭度が落ちる原因となる。
では拡散性を低くするとどうなるか?初期反射音が直接音と干渉し周波数特性を低下させる。そして残響感が減り、残響による聴感上の効果を得られない。

結局の所はほどほどの拡散を行うのが正解の一つとなるだろうし、自分の志向としてはそれを旨としている。
ではどういうやり方でどの程度拡散させるのが良いかというのが今回の思考実験のメインテーマである。

スピーカーよりも外側から到来する初期反射は見かけ上の音源の幅を増大させ、聴感上の好ましさを与えていることは科学的に検証されているのでそこは利用したい。
逆に内側や後方からの初期反射は聴感上のマイナス効果があると検証されているのであまり利用したくない。
利用したい部分と利用したくない部分があるのであれば、利用したい部分は高度な拡散を行わず、利用したくない部分は極力拡散すべきとなる。
部分的に拡散させておけば結果的に残響もほどよい感じについてくるはずなのでコンセプトとしては良さそうに思える。
ただ、利用したい部分の初期反射面もそのまま利用すると直接音と位相干渉し周波数特性が悪くなってしまう。
そこで利用したい部分の初期反射面は反射方向を拡散はさせないものの、いっぺんに反射させず、細かくタイミングを少しずつずらして反射させれば位相干渉を緩和できるのではないかという発想になる。


これ自体は以前から考えていたが、実際にそうなるのかシミュレーションで検討してみる。
利用したいのは基本的にはスピーカーと同側の壁であとは床と天井が使えるか使えないかという程度である。
前壁・後壁・反対側壁ははじめから拡散とする。
以前の深さ30cmの棚を敷き詰めた仮想本棚部屋で考えると壁に当たってリスニングポジションに入射する場合の遅延が1.85m、棚の再前方で反射する場合の遅延が1.34mと考えられる。




つまり1.34m~1.84mの間で遅延量が分散された場合にコムフィルタ効果がどうなるか考えてみると下のグラフのようになる。なお床の0.74mの遅延も同時に入れ込んでみた。


青い点は無視しつつ、上の青線が直接音を増幅させ、下の赤線が直接音と干渉し減衰させる。横軸は周波数である。
表計算ソフトの簡単な計算でしかなく、人に見せる工夫はされてないので分かりづらいのだが、300Hz近辺での位相干渉によるディップが大して緩和されていないことがわかる。400Hz辺りが逆に持ち上がってしまいそうだ。それ以降はあまり問題にしなくていいだろう。そして床の反射波はピークディップを緩和させる効果がなくむしろ悪化の助長をしているように見える。

では側壁の奥行きをさらに15cm増大させ、1.34m〜2.09mの遅延量の範囲で分散させるとどうなるか?
下のような感じになった。


比較的相殺され周波数特性が極端に減衰する場所がなくなった。
棚の前方での反射を多めにするとさらに周波数特性的にバランスがよくなった。


この条件を得るにはスピーカー側の側壁とスピーカーは1.42m離しつつ45cmの棚の厚みが必要ということになる。
全ての壁でこの棚の厚みは厳しいので側壁の一次反射面のみ棚の奥行きを変えてもいいのかもしれない。

壁との距離1.42mは仮想ルームではサイズオーバーなので、元の1.34mの壁から45cm棚を設置してみる。1.10~1.85mの範囲での遅延で棚の前方で反射を多くする配分にすると下図のようになる。



元のサイズでも良い感じに周波数特性の極端な凹凸が相殺されそうな気がする。床の影響も凹凸を平らにする方向で配置されている感じだ。これなら機能することを期待できる。
棚の深さを40cmにすると不十分だったので、一次反射面の棚の深さだけ45cmにするというのは仮想ルームでの一つの改良点となりそうだ。



これだけ工夫をしても周波数の凹凸は完全になくならないし、凹凸を完全になくしたいなら高度な拡散や吸音でもいいだろう。
ただ今考えているのはモニタールームではなくリスニングルームである。
リスニングの場合周波数特性はある程度整っていれば良いのではないかと考えており、極限までフラットにすればモニターには好都合だろうが、リスニングとしては悪い音ではないという評価止まりである。
むしろ音の歯切れの良さ、音像の広さ、音像の明瞭さ、普通の部屋では味わえない残響感などがある方が特別な音、良い音、感動する音になってくれる可能性があり、周波数特性とのバランスを勘案しながらそれらを引き出す工夫が大事なのではないかと思う次第である。
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アフターコロナの日本・世界を考える。

2021-06-17 12:20:12 | その他
オーディオ・シアター・家のことしかほぼ書いていないブログではあるが、
今後コロナ禍が終わった後の日本と世界を予想しようとすると、文章にしないとなかなか整理が付かないので今回の記事にする。
数年後に見返して自分の身通す力の無さを笑うためのネタにでもなってくれればと思っている。

おそらくコロナ禍は今年度末へ向けて終息に向かうだろう。
日本、世界でワクチンが普及しはじめておりその効果もでている。
そのせいか新規感染者もある程度減少している。
ただ昨今の減少はワクチンだけでなく気温の上昇によるものもあるので、
気温が低下する頃にはまた少しは増加するだろう。ただ今年の秋冬になる頃にはさらにワクチン接種が行き渡っており大混乱をきたすことはないのではないか。
そして再び春になる頃から先はワクチンと気温上昇で緊急事態宣言を発出することはなくなるのではないか。

ただSIRSのように消滅するわけではなくインフルエンザのように風邪の延長線上の感染症として定着するだろう。
コロナ禍の国民総動員的な感染対策のかいがあってかインフルエンザ感染症は激減し、絶滅寸前になっている。インフルエンザが激減するほどの感染対策を施しても広く伝播したコロナウイルス感染症はインフルエンザ感染症の伝播力を遥かに超えていることは疑いようがない。
コロナウィルス感染症がインフルエンザ感染症と比較して恐れられている原因は先に述べた伝播力もさることながら重症化率が高いことにある。
重症化率が高い理由は免疫獲得していない人が多いからであり、変異による弱毒化が十分なされていないからである。
ワクチンにより1度免疫獲得すれば継続して接種するにしろしないにしろ、重症化率はある程度下がりインフルエンザ感染症程度にまで脅威の度合いが低くなるのではないか。
変異を繰り返すと弱毒化する傾向があると言われており、そうなればなおさらである。
なのでアフターコロナの時代はコロナウィルス感染症は残っているがインフルエンザの位置にコロナが置き換わる形で存在し、やや重症の風邪というポジションで人々に感染し続けると思われる。

ではアフターコロナの時代はビフォアーコロナの時代と同じで単にインフルエンザという名前がコロナに置き換えただけなのかというと、おそらくそうはならないだろう。
今までも職場や学校などで風邪やインフルエンザは流行していたが、少しの体調不良で休むことは悪となりがちであり、体調が優れなくても出勤する通学することは悪ではなかった。
他の人に風邪を移すと周りに迷惑がかかる割に、その迷惑が過小評価されていた節がある。その迷惑を過小評価していた割に欠勤欠席の迷惑が評価されるものだから、風邪でも動ければ出勤出席すべきとなりがちであった。
アフターコロナの時代ではコロナがインフルエンザ程度の脅威になったとしても体調が優れない人は家で休むというのが正解だと認識され、それを破るようであれば他の人から咎められるようになるだろう。

コロナが風邪の延長線上になったとしても、大半の人にとって当面の間はコロナウィルス感染症は風邪とは別格の恐怖となるだろう。
ワクチン接種によって脅威が減少したとしても重症化リスクがゼロになるわけではないので誰も安心しなさいとは断言してくれない。
感染制御のためにこれだけ国民に広くコロナウィルス感染症の脅威について植え付けられているので、例え重症化しないとしてもコロナ感染を恐れる心理は深く根付いていると思われる。

旅行などの行動はどうなるか、世界的にも旅行控えによるフラストレーションは相当溜まっているように思える。コロナが終われば皆が旅行を計画するだろうとも思える。
ただコロナパンデミックは突然明確に終了するとは思えない。先に書いたように気温によって増減を繰り返しつつ最終的にゼロにはならないまま脅威が減少した状態で定着すると思われる。
だからこそ、コロナ禍が終わったと判断するのは人それぞれの考え方や地域によって異なると思われ、皆が同じタイミングで旅行を始めるということにはならないのではないか。

規範はどうなっていくだろうか。コロナが脅威が減りつつ定着し、コロナへの恐怖を全国民に植え付けられた状態が想定されるので、今忌避すべきこととされている大人数での会食などは忌避され続け、以前よりは行われなくなっていくのかも知れない。
先に書いたように他人に感染症を移すことの罪深さが植え付けられたため外出時のマスクは今後も続くのかもしれない。

経済はどうなるだろうか。物流は今のように滞ることはなくなるだろうが、以前ほど供給の多様性や潤沢さが無くなっていることが顕在化された感がある。
今後も欲しい物が手に入らないというのはコロナと関係なく今後は頻発することのように思われる。
財政は慢性的な赤字であったが、コロナ禍を機に大きく悪化した。それを一気に財布の紐を締められるだろうか?恐らく締められる国もあれば締められない国もあるだろう。
そして日本は締められない国となるだろう。財政ファイナンスが影響していると思われる円安は続いている。財政が赤字を続けてもハイパーインフレのようなハードランディングは起こらないとしても円安によるコストプッシュインフレという実質的なスタグフレーションが続き、財政のツケを物価高という形で払わされるのではないだろうか。
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防音室のあり方

2021-06-14 13:07:11 | オーディオ
数年前に防音室付きの戸建てを作ったけれども、結論から先に言うと離れ棟または別邸として作るべきだったなというのが自分の中での結論になりつつある。

理由は同一の建物内に作ると建物内防音がしづらくなる。少しだけでも離して外壁と外気で区切ればそれだけでも建物内の防音は容易になる。
オーディオorシアタールームを別の建物にすると外壁が増えた分コスト増になる気もするが、連結させた上でしっかり建物内防音をしっかりしようとすると恐らく同じくらいのコストになると思われるので別棟を避けるのにコストを理由とするのは適切ではない。
それなのにあえて同一の建物に納める理由としてアクセスのしやすさがあるかもしれない。それは確実にあるのでアクセスのしやすさを重視するなら同一の建物とするのが最適と言える。
ただ自分の場合はただ同一にするのが当然という固定観念で同一建物内に作ってしまったというのが実態だろうと思う。

他の部屋で同一建物内に納めるメリットとして、同居人が室内のどこにいて何をやっていているのかをある程度把握できて、容易にコミュニケーションが取れることにある。
なので子供部屋やリビングを別棟にすることは良いとは思えない。

だがオーディオorシアタールームの場合、同一建物内に納めることが完全に裏目に出てしまう。
防音してしまうと同居人の動向が全く分からなくなってしまうし、防音するということはそういう外部の情報をシャットアウトしたいわけなので、上記の点では同一建物に納める意味がない。
防音室内で同居人の動向をこちらから把握することは難しいが、防音が中途半端な場合は音漏れで同居人を煩わせてしまうリスクがある。大音量の場合、防音をかなりしっかりやっても同一建物内に少しは聞こえる状態になるので防音性能に関係なく多少は同居人に影響を与えるものと考えておいた方が無難である。そういう意味でも同一建物に納めるのはデメリットである。
同一建物だとコミュニケーションを取りやすいのだが、結局映画見ているときor音楽聴いているときにあまり家族とコミュニケーションを取ろうと思わないし、不意に同居人が部屋に入ってくると煩わしいと感じてしまう。なのでコミュニケーションの取りやすさという意味で同一建物に納めるのは裏目に出てしまう。

そう考えると単身で戸建てに住むという状況でない限りは、同一敷地内の別棟や別の土地に別邸を作る方がオーディオorシアタールームとしては適性が高いと思われる。
オーディオorシアターの専用室を手に入れるには新築の際にしかチャンスがないと思っていたのだが、建物に比べて広めに土地があるようであれば後日に専用室としての別棟を作れるし、新築のタイミングと関係なく別の土地を買って別邸として専用室を作ることもできる。なので別に専用室のチャンスは新築時に限られたものと考えなくてもよいのではないのだろうか。
土地の広さが小さかったり日当たり悪かったりなど通常の住宅として不向きで安い土地を安く買って専用室を作れば、そっちの方が同一建物に専用室を作るよりもトータルで安くなる可能性もある。また同一建物内の電化製品のノイズも心配が少なくなる。
当然ながら地価は全国でかなり異なるのでこの提案が日本全国に通用するものではないが、居宅と同一建物内の専用室が唯一無二の正解ではないと思い始めている。
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雑記

2021-06-13 20:30:35 | オーディオ
ローエンド界隈からオーディオを考えた時に今の若い人はスマホが音楽ソースになっている状況を考えたが、
スマホが音楽ソースだとスピーカーオーディオにハードルが多いんだろうなあと改めて思われる。
有線で接続すると操作するスマホとスピーカーが近接してしまうし取り回しが悪く勝手が悪い。当然ニアフィールドになる。
無線接続だとBluetoothレシーバー辺りが比較的一番手軽になるのだろうか。レシーバーが付いたコンポーネントも限られている。Airplayのようにホームネットワークを整備しつつ対応音響機材を用意し設定を正確にこなさなければならないものはなかなか難しい。オーディオファイルも割とこの辺りにハードル高く感じている人が多いのにローエンドの人がステップアップでここまでやらせるのは酷であろう。
結局スマホでイヤホンやスマホ内蔵スピーカーを使っていた人がステップアップでスピーカーを使おうとすると、以前のパッケージメディアと比較してオーディオ専用機導入のハードルがむしろ高くなった言えるのではないか。
スマートスピーカーは導入しやすいにしてもそれより先に行きづらくなっていると思われる。
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真空で断熱と防音を達成するガラス窓

2021-06-10 21:00:20 | 注文住宅全般
プラズマディスプレイ製造技術から生まれた真空断熱窓。パナソニックとエクセルシャノン
https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1318578.html

少し前のニュースだが割とエモい商品だったので記事にすることにした。
エクセルシャノンは樹脂サッシ専業メーカーで断熱性の高いガラス窓を販売している。
パナソニックが言わずと知れたAV機器を含め幅広い家電を販売する総合家電メーカーである。

その2つがコラボしてパナソニックのプラズマディスプレイの製造技術を使用して高真空の複層ガラスを製造し
それをトリプルガラスの1枚として使用し、高断熱と防音性を備えたガラス窓を実現したのが今回の製品とのことだ。

ガラス窓とはいえオーディオビジュアル好きとしてはかなりエモい仕様の窓になっている。
ほぼ高断熱住宅の壁と同レベル断熱性を薄いガラス窓で実現しているだけでなく、-35dBという遮音性の高さも壁と同等レベルで実現している。
そしてそれを実現している技術が高真空を作り出すことにより得られているというのが感心する。
音響関連で消音する際に理想的なソリューションは真空であろうと思われるが、その活用が困難であった。
防音のボトルネックとなる窓ガラスで真空を実現することで弱点を克服するというのはなかなかワクワクさせられる技術である。
そしてその高真空のために応用されているのがプラズマディスプレイの製造技術というのがときめきを感じる。
今でも我が家では現役で活躍しているプラズマテレビであるが、世からは続々と姿を消している。
プラズマディスプレイが転生した姿として高断熱窓ガラスがこれからも生き続けてくれるのは素敵なことだ。
真空は空気が漏洩したら性能が一気に落ちるので、長期的な性能維持に不安を感じてしまいがちだが、パナソニックのプラズマテレビの技術をそのまま使うことでそれを解消している。
窓ガラスの長期使用レポートがない時点でも世に大量に出ているプラズマテレビが長期利用できている実績があるので、信頼性をある程度期待できるというのもポイントが高い。

断熱や防音性の数値としてトップクラスであることは確かだが、
これが4枚や5枚の複層ガラスで達成したとしたら、それに大して興味は惹かれない。
パナソニックのプラズマテレビの製造技術で高真空を実現して高断熱高遮音を実現しているからこそ興味深いのである。
やっぱりコンシューマー製品はただ高性能だけでなく心惹かれるテクノロジーや素材を利用しているというポイントも欲しい欲しくないの判断に大事な要素なんだなと改めて思わせる。
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