農文館2

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心洗われる待井さんの歌、美術館に届く

2018-05-03 10:50:14 | 日記
 箕輪の歌人待井貴子さんからこの度もまた短歌のお便りを頂きました。どれもこれも珠玉の作品ばかり、読者の皆様にも味わっていただきたく、お届けいたします。

 * 熟柿が 灯る枝先 その上を カラスの群れが 森へと帰る

 * 稲わらの 上に丸まり 眠る猫 波打つ腹に 日差し動きぬ

 * 自販機の 放つ光に 誘われて 甘酒を買う 冬の黄昏

 * 偏食は 野鳥にもあり 塾柿が 師走の枝に あまた残りて

 * 言の葉は 雪片のごと 舞い降りて 瞬きする間に 儚く消える

 * 雪解けて せせらぎ高き 川の辺に たんぽぽの花 小さく咲いて

 * 裸木は 春の準備を しておりぬ 幹に耳あて 感じる息吹

 * ストーブで 部屋を温め 待っている 湯上りの母 風邪ひかぬように

 * 人里の さくら芽吹けど 仰ぎみる 千丈白く 青空に立つ 

 * 武士の 滾るこころの 色なるか 城跡に咲く コヒガンザクラ

 * 警笛に 木々の小鳥は 飛びさって 一日の五本の 列車が通る
 
 * 約束の 小指のちから 弱かりき 桜散りゆく 湖畔のベンチ
                                                     作:待井貴子

 末筆ながら、改めて待井貴子さんに心より御礼申し上げます。(「康花美術館」ブログより転載)