銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

チーズと、風呂焚き女

2013年10月16日 | 見かけだおしNのつぶやき
パッチワークの趣味の会の皆様に同行して、西脇のバス旅行へ
西脇と聞けば・・・・観光協会的には「日本のへそ」?

でも私は、真っ先に横尾忠則のY字路、そして
ウルフルズのトータス松本の出身地、となるのですが・・・

実は、特産品として『播州織』が知られており、
先付織物の生産では国内の70%をも占めるのだとか
NHKの「龍馬伝」で、袴に利用されたことで、話題になったそうです

地方の町並みは、私には見慣れた風景です
だいたい、こんな感じの空気感で生まれ育ちました
でも、懐かしさは皆無
まあ日本のどこにでもある郊外の町、
その程度の知識、気持ちで訪ねました

ましてや播州織の存在も知らない私でした
(故郷のお隣の国なのに・・・)

地場産業を盛りたてようと、新たな息吹が地域の活性に
ひと肌も、ふた肌も・・・
若い職人・芸術家が播州織の次なる展開を進めていました

訪ねた工房には、ここは北欧?と思うような
カラフルでポップな巻き糸が整列、ちょっとしたアート作品です
そんな洒落た、今風の感覚、そして個性的な若者が働く、
素敵な工房で、ふと目にとまったのです

それは、糸を巻きつける芯になる部分

糸を全て消耗した後の姿
段ボール地の厚い紙で、とんがり帽子の形をしています
それらが、ロケットのように幾重にも重ねられ天井高く突き出ていました

「あ~、懐かしい」

子供の頃、私の遊び場は工場でした
こうじょうではなく、工場(コウバ)ね

ジャングルジムほどの夢がありました

高く積まれた、巨大な段ボール
秘密基地のごとく、隠れ家であれこれ想像したものです
何を想像したかはすっかり忘れましたが・・・

そしてその基地にいつもあったもの
それは・・・・


工房の、赤髪のベリーロールの、ピンクの丸ほほ紅の
可愛いスタッフに尋ねました

「これって通常何て呼んでますか?」

業界知らずがわかるのかな?そんな顔で彼女はいいました

「ちーず」

え?やっぱり!!

じんわり、実家のことを、あのころを急激に思い出しました

両親は、メリヤス工場を営んでいました

工場(コウバ)には、いつも大人たちが発する
珍しい用語が飛び交っていました
その中で、特に忘れず記憶されていたのが

「チーズ」

食べ物の名前と同じってこともありますが、
そんな浮かれたことではなく
それ以上に・・・

子供の頃、私の日課は・・・「風呂焚き」でした
なんだか夏のキャンプみたいに楽しそうですが、

違います!

おしん時代の子ではない、一応、
平成もそこそこ近い時代の子供だったはずの私

でも父は、恐ろしく昔堅気の人でした
意味なく(そう今は思う)
たき火で焚く風呂が一番良いと思っていました

いくら田舎でも、すでにほとんどの家庭が
湯沸かし器なる文明の利器を享受していました!

多分、当時、特技を聞かれていたら
私は迷わず「風呂焚き」と、
いや違うな
「火をおこす速さ」そう答えていたでしょう

父は、最悪の人でした
自分が風呂に入りたい、そう思ったら、もう今なのです
待てない、いらっちの典型
そして、ものぐさなのです
(あ~私はこの血を受け継いだのね、いやだいやだ!)

だから、どんなに雪のちらつく冬の寒い日でも、
友人が来て部屋で談話していても、
ましてや明日試験がある日でも、
「勉強なんかすんな、はよ風呂沸かせ!」
「勉強したら死ぬぞ」
嘘ではありません、そんな人でした

忘れていました
本当に今日まで、実家のこと
私が、妙に風呂焚きがうまかったこと、を

風呂焚きの必需品
それが、そうなんです、専門用語でいう「チーズ」
糸を巻きつけていた芯だったのです
(実際は、ロール糸そのものの名称のようです)
父の工場には、これが溢れていました

これに火をつけてしまえばあとは楽勝
空気が通る空間を確保して、しばしの我慢
じわじわ
・・・・・
ぶぉっ!
はい、この音が聞こえたらもう安心
あとは薪をくべて、
お風呂が沸くのを待つばかり


当時、実家でも、そして今回訪ねた、
洒落た雑誌に載っているような工房でもあいかわらず、
子供の図工作品のロケットの素材に使われるような
円錐三角形の芯を、
「チーズ」とそう、呼んでいた



アート雑誌の載るような、こじゃれた雰囲気の中に
山積みしていたもの

早く出たくて、逃げたくて、そんな田舎の工場に
山積みしていたもの

同じ、意味不明の
「チーズ」の山でした

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