調査員の「目」

 日常の何気ない雑感とつれづれ日記。

「インテリジェンス 武器なき戦争(幻冬舎新書)」

2006-12-03 | 書評系
 最近、ロシアの元スパイがイギリスで暗殺された事件が報道されている。Before/Afterではないが、元気だった時の写真と病院のベットで横たわっている姿の写真を見ると放射性物質の影響度合いの凄さとそんな物質まで使って殺すロシアの怖さ、殺されなければならなかった理由は何なのか、興味を覚えるところだが知ったところで平凡な日本人サラリーマンの私には全く関係がない・・・(笑)。

 「スパイ」というと映画や小説の主人公を想像してしまうが、言うまでもなくアメリカのCIAやソ連の旧KGB、イギリスのMI6、戦前の陸軍中野学校などのそれぞれの国の国益のために働く情報機関のスタッフだ。そんなインテリジェンスの世界を垣間見せてくれる人の対談本が新書の形で出ている。

「インテリジェンス 武器なき戦争(幻冬舎新書)」\777(税込)
 著者:手嶋龍一氏/佐藤優氏

 序章 インテリジェンス・オフィサーの誕生
第1章 インテリジェンス大国の条件
第2章 ニッポン・インテリジェンス その三大事件
第3章 日本は外交大国たりえるか
第4章 ニッポン・インテリジェンス大国への道
 あとがき(以上230ページ)

 手嶋龍一氏はNHKの元ワシントン支局長で最近では「ウルトラ・ダラー(新潮社)」がベストセラーにもなって(私は読んでないけど・・・(笑))作家・ジャーナリストとして活躍。
 佐藤優氏は外務省国際情報局分析第一課の主任分析官として活躍しながらも背任と偽計業務妨害容疑で逮捕されてしまい、現在起訴休職外務事務官の肩書きで「国家の罠」や「自壊する帝国」などの執筆活動を行っている。

 上述の通り、手嶋氏と佐藤氏の対談本。
 01年にアメリカで9.11のテロがあった時、NHKのワシントン支局長として出ずっぱりで事態の推移を毎日フォローしていたのが手嶋氏だったが、その時のアメリカ政府高官の話の解説の中で「今、私が述べたことを一般的な評論家が言っていることと同じ様に捉えないで下さい。」という主旨のことを必死になって言っていたのが印象的で、「この人はそんなに凄い情報網をもっているのかな」とテレビを見ながら思ったことを覚えている。佐藤氏の「国家の罠」や「自壊する帝国」などは読んだことがあるのでインテリジェンスの世界の人との認識はあったが、正直手嶋氏についてはそこまでの認識はなかった(ウルトラ・ダラーも読んでなかったし・・・)。

 しかし、手嶋氏も外交上の様々な背景や事実を知っているようで佐藤氏と対等に話をしている。面白いのが手嶋氏は、佐藤氏を頻繁に「ラスプーチン」と呼び続けており、佐藤氏も日本のインテリジェンス養成学校の校長には手嶋さんに、みたいにお互いを持ち上げあったり(様子をうかがっていたり)していて、この二人仲が良いとは思えない(笑)。

 幻冬舎も新書に参入か。新書市場は本当に激戦区だな・・・。中身のある本を出して欲しいなぁ~。