靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

整理、「バルコニーへ出て」深呼吸、「私達」へ。

2012-09-11 00:02:33 | 今週の整理
1.先週は風の嵐で、アンカレッジの広い範囲にわたって停電。学校も一日だけ急遽休みに。地域によって全く停電がなかったところと、3日以上も続いたところとあるけれど、本当に冬でなくてよかったです。街のあちらこちらに大木が倒れている。こんな大木が根こそぎ!と風の威力に驚きながら。アラスカ生活13年、これほどの強風被害、初めてのこと

2.一昨日は近所の湖に遊ぶ。ゴムボートを持って到着、ふ~気持ち~と息を吸ってはいて。しばらくして慣れない次男の自転車乗りをサポートしながら夫到着。「なんでゴムボートを膨らましていないんだ!到着してからすぐに膨らまし続けていたらもう随分膨らんでいただろうに!」、そう子供達に言いながら慌しくゴムボートを広げ、パンプを差し込む。「楽しんでいたのよ、太陽の光を、泳ぐギースの群れを、そよ風に立つ波の動きを」そう言う私。ふと顔を上げ、周りを見回し笑い出す夫。夫と私、笑いが止まらない、ポカンとして眺める子供達。   
普段限られた時間の中で走り回っていると、ついつい見えにくくなる視点を広げる時をもとう、週に一日でも半日でも。西洋の聖書的文化背景に育った夫がよく口にする「安息日」という概念。休みなしの勤勉さを美徳とする日本で育った私にはなかなか馴染みにくく、この日とは逆に普段は夫が私に思い出させることの方が多い。効率効率と進む歩みを止め、ふと周りを見回し深呼吸、そんな時を生活に散りばめていきたい

3.怒りに感情が高まっているときは、「最も後悔する最高のスピーチをしてしまう」もの。まずは怒りを静める。社会人類学を学び世界中の紛争地域に出かけMediatorとして活躍するWilliam Ury氏は、人類が長い間続けてきた「反射的感情に任せたリアクション」を、「感情を落ち着け考え選択してから行動する」へ移行させる必要があると言う。攻撃・暴力を選択するのか、平和的解決を選択するのか。
「バルコニーへ出る」といいとUry氏。怒りに燃え滾っているときは、バルコニーへ出てフレッシュな空気を深呼吸するイメージで。違う視点を取り戻す。世界中いくつもの戦争・内戦危機を乗り越えたUry氏の「平和的解決のできない葛藤はないと今でも信じている」という言葉は、力強い希望を与えてくれる

4.バルコニーで思い出す「違う視点」とは、Ury氏曰く「第三の側」の視点。第一第二の側が「私と相手」だとすれば、「第三の側」とは私と相手を含めたコミュニティー、「私達。第三の側も含んだ話し合いを繰り返し、何度も何度もドラフトを書き直し、まずは私と相手が「本当に望むもの」を理解し合う。創造的にそれらの望みが満たされるよう動いていく。

5.映画監督スピルバーグは、12歳の時いじめに悩まされた。何とかしていじめられることから抜け出したい。彼は映画を作ることを思いつく。そしてそのいじめっ子に悪役を演じてくれないかと頼み込む。それ以来そのいじめっ子とは親友に。
どうして関係がトランスフォームしたのか Ury氏は「いじめっ子の本当に必要としているもの」が満たされたためとする。いじめっ子の本当に望むもの、支配欲、権力、地位、リスペクト、アテンション、理解、愛情・・・。

6.紛争の絶えない中東でのUry氏の試みはとても興味深い。「第三の側=私達」という土台を築き直す運動。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教のルーツをさかのぼり行き着くのはアブラハムという人物。アブラハムとは「よそ者を歓待する」のシンボルに他ならない。この聖書のストーリーを頭で理解するだけでなく、体験として積み重ねていこうと、アブラハムが辿った道を歩く「アブラハムの道」運動というのが進められている。現在中東の10カ国を横切る「アブラハムの道」。運動は徐々に広がっているという。中東だけでなく世界中から人々が集まり歩くことで、hostility(敵意)を hospitality(歓待)へ、 terrorism(テロリズム)をtourism(観光)へとトランスフォームさせようと。心理面の共通土台作りだけでなく、観光客を集め当地の経済を潤わせることも目指して。「旅人が歩くことで、道ができる」

7.家庭へのインスピレーション。「バルコニーへ」、まずはかっかとする熱を冷やして。子供に対してであろうと「リスペクト」を。目の前のわがまま・聞かんぼうを嗜めつつ、相手が本当に必要とするものは何なのか?自立?愛情?真摯に向き合い創造的なトランスフォームを。小さな頃は「パパがママが言うからだめなものはだめ」と教えたとしても、高学年にもなれば、第一第二第三の視点を理解しつつ結論を出す練習も。

8.葛藤を成長の機会へ


山頂には雪、朝は霜! 秋空のアンカレッジより。

Have a wonderful week!

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