靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

整理、一つ一つの「できた!」を大切に

2012-12-16 01:11:10 | 今週の整理
1.今週は、娘達の公立小学校で「スピリット・ウィーク」というのをしていて、月曜パジャマ、火曜80年代、水曜将来なりたいもの、木曜本のキャラクターというテーマに沿った格好を(したい子は)してくることになっていた。月曜から皆パジャマで登校。先生もパジャマ。廊下も教室も事務もパジャマに溢れていて何とも異次元な光景だった。80年代の日は、あちらにもこちらにもシンディーローパーが。キャラクターの日は、学校がハリーポッターの魔女養成学校のようになっていた。楽しませてもらいました。もう一週間で冬休み!

2.家にユダヤ教徒はいないのですが、ここ数年クリスマスと共に「ハヌカ」も祝っている。ユダヤ暦に基づく「ハヌカ」、今年は十二月八日の日の入りから始まった。八日間毎晩キャンドルに日をともす。奇跡を祝うハヌカ。目を凝らせば周りには奇跡が溢れている。
 毎晩「ドレイドル」と呼ばれる独楽を回しチョコレートコインをやりとして遊ぶ。独楽が止まったとき上を向いたヘブライ文字により、手持ちのコインが減ったり増えたり。全部無くなってしまった子には、周りが寄付したり。コインに溢れ意気揚々としている時には分け与え、すっからかんになってしまったら周りからの恵みをありがたくいただき、人生の凝縮を体験しているかのよう。所有するものというのは、いつも移り変わっていく、独楽の目一つの偶然で

3.毎週水曜日午後の「プレイデデイト」、クリスマス・クッキー作り!と楽しみにしていたら、当日朝、次女が咳ごほごほ、喉痛に頭痛、学校を休む。急遽プレイデイト中止の連絡。走り続ける毎日に、ぽっかり空いた時間。次女と次男の世話をしながら、普段後回しになっていた書類整理など。幸い午後には次女回復、次男と家の中を走り回って遊び始める。そこで午前に予定していた二週間に一度の食料・日用品大量買出しにホールセールの店へ三人で。子供達が大きくなりエンゲル係数もうなぎ上り、毎回周りから驚かれる量の買出し、カートを押すのも車への積み下ろしも力仕事。次女がいてくれて助かりました。お蔭様で翌日には元気に登校。心配してくださった方々ありがとうございました。感謝を込めて

4.「見て見て!」とコンピュータ前の夫と上の子達。大学事情のクリップ。今米国での大卒時学費ローン平均二万五千ドル(約二百五十万円)、借金を払っていける仕事につく必要があるにも関わらず、仕事が見つからず両親の家に戻る二十代も増えていると。中でも就職率や収入面から見てのワースト一位の専攻が「人類学」だそうだ。確かに、辺境で消えつつある文化や価値観を学んでも、すぐにお金に結びつくこともないだろうなあ。縁あり世界の片隅で研究を続ける方々に敬意を込めて

5.フロリダの夫の母親から「あと一ヶ月でPh.D(博士課程)が終わる!」と嬉しそうなメールが届く。三十二歳から大学に行き始め、三つの学位二つの修士を取りつつ、高校や大学でスペイン語や社会学を教えながら、今六十間近で教育学博士に。夫の父親の再婚相手も今年春四十五歳でPh.D(専門は「コミュニケーション」)を取り、数年暮らしたカナダからチリへ戻った。「今度はマチカよ!」とお二人から。「お二人のように、学ぶということに一生向き合いたいと思っています」と答えて。確かに若かりし頃Ph.Dを取ろうと思っていた時期もあったのを懐かしく思い出しつつ。いただいた溢れんばかりの元気に感謝、おめでとうございます

6.「Lumosity」が楽しい。楽しいあまりついついやり過ぎないよう一日二十分程度と自分に言い聞かせている。何がそんなに楽しいのかというと、普段使わない脳の部分を動かし、まるで運動した後のようなすっきり感もあるのだけれど、やはり少しずつ何かができるようになっていく喜びが大きいのだろう。掛け算の十二段が素早く頭の引き出しから出てくるようになったり、方向音痴だったのが徐々にぐるぐる回る迷路を進めるようになったり、数字をタイプするのが早くなり、ボキャブラリーが増えスペルが上達し、昨日の自分に比べ日々少しずつでも何かが改善していく喜び

7.子供が主体的に動くよう習慣づける鍵は、「自分でできた!」という気持ちを大切にすること。初めて歩くことができた!、両足を地面から離してジャンプできるようになった! 電気のスイッチに手が届いた! 口笛をふけるようになった! 「あ」がかけるようになった! スケートができるようになった! そんな「できた!」瞬間の子供達の顔はまぶしく輝いている。一つ一つの「できた!」を共に喜び祝い。周りの大人は、時にはハードルを調節し、一つ越えたのならば、その子が興味を持つような少し高めのハードルを、何気なく前に置いてみたり。子供が「自分でできた!」と感じられるよう、大人は表に出ることなく、影で黒子となりサポートし続ける。
 子供が何かに取り組みうまくできないのなら、できるよう工夫してみる。「何でできない!」と声を荒げたところでできるようになるわkでもなく。ハードルを調節し、異なる方法を試し、他のことに取り組ませ待ってみるのも手。大人は、「あなたはできない」というレッテルを貼るためではなく、「できない」というレッテルをはがし続け、「できた!」という体験をさせるためにいる。周りの子供の出来具合と比べ、焦り、この子にはできやしないと諦め、歩みを止めてしまわない。その子自身に向き合い、その子自身に合った方法やペースを探り進み続けていく。その子自身の「できた!」を見つめて。

指導者が最もよい指導者であるときとは
指導者が存在するとは誰もほとんど思わず
仕事が終わり 目的が達成されたとき 
彼らが「自分達自身でしたんだ」と言うときです    by 老子


8.同じような能力を持ちながら、なぜ伸びていく子と伸び悩む子がいるのだろうという研究を何年も続けている心理学者に、Dweck博士がいる。博士は、その違いはその子の「考え方―マインドセット」によると言う。伸びていく子は「成長型マインドセット(growth mind-set)」を持っていて、伸び悩む子は「固定型マインドセット(fixed mind-set)」を持っていると。
 「成長型マインドセット(growth mind-set)」を持つ子供達は、頑張って努力することで良くなれると信じている。必要な技術や知性は努力を通して養い鍛えていくことができる、努力を続けることでゴールにたどり着けると思っている。一方「固定型マインドセット(fixed mind-set)」を持つ子供達は、知性や能力は生まれつき備わったもので変えることができないと信じている。そして「私は賢い」「私は運動能力が高い」といった自身のイメージに拘り、それらのイメージが脅かされることを恐れるあまり、チャレンジを避ける。「成長型マインドセット」を持つ子供達は、難しい問題にも次々とチャレンジし粘り強く向き合うので力をどんどんつけ、「固定方マインドセット」を持った子供達は、チャレンジを避け、途中で失敗することを恐れ投げ出してしまうため、なかなか伸びないということになる。
「成長型マインドセット」に移行させるための、具体的な働きかけとしては:
評価に拘らず、過程を褒める。
 今の時点の評価はより良くなっていく過程の通過地点と捉える。「上手!」「あなたは何て頭がいいの!」というようなその時点の結果を褒めるのではなく、「よく頑張ったわね!」「ここまでやり遂げられて偉かったわね!」と過程の努力を褒めるようにする。Dweck博士が小学生を対象に行った実験でも、同じ問いを終えた時に、「あなたは賢いのね」と声をかけた場合と、「よく最後まで取り組められたわね!」と声をかけた場合とでは、次の問題の正答率に違いが出たと。「賢い」と評価を受けた子供達は、今度間違えたらどうしようとチャレンジをすることを躊躇し、努力したことを褒められた子供達は、引き続き一生懸命問題に向き合おうとしたため。
鍛えれば鍛えるほど発達するのだと教えていく。
 筋肉を鍛えることに興味を持ち始めた年頃の長男、部屋にはダンベルが置いてある。徐々に重いものへと挑戦してみたくなるようで、三パウンドから始め今度は五パウンドのものが欲しい、次は八パウンドが欲しいと。
「前は三パウンドでも少し持つだけでヒーヒー言ってたのに」
「うん、でもほら、今はこの八パウンドのダンベル、何回だって持ち上げることができるんだよ」
 子供達が何か難しい場面にぶつかりめげそうになっている時、このダンベルの話をすることがある。軽いものばかり持ち上げていても鍛えられない。ちょっと無理して続けるうちにだんだん今取り組んでいるものが軽く感じられるようになってくる。そうして気がつけばより大きな問題だって越えられる力もついている。Dweck博士は、使えば使うほど脳は発達するという脳の仕組みをまとめた「ブレインノロジー」という教材を開発している。脳の科学的なしくを知ることで、勉強すればするほど脳を鍛えることになり、難しい問題を解くことは脳を発達させる絶好の機会と捉えられるようになると。

9.一つ一つの「できた!」を共に喜び祝う。


久しぶりの大雪、銀や茶褐色の景色が、眩しい白に塗り替えられて。


Have a wonderful week!