靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

整理、子供に贈る貴いギフト

2012-12-02 01:29:04 | 今週の整理
1.感謝祭を終えると街はすっかりホリデイムード。車に乗るたび、クリスマスソング!と子供達。ハヌカにクリスマスに、ホリデイを指折り数えて待つ子供達。赤いリボンを壁に掲げ、真っ赤なポインセチアを飾り。はしゃぐ子供達の横で、樹氷を見上げつつ。師走!もうすぐ一年が終わる

2.次男のプレスクール。最初の二週間ほど順調、何てスムーズな始まりこうして徐々に親から離れて行くのねえと感慨深く思いきや、「ママと一緒にいたい・・・」としくしく泣き始めるように。「プレスクール」という言葉を聞くだけでしくしく。十一月から新設の三歳児のみ週二日二時間ずつのクラスへ移行。四歳五歳児混ぜこぜ十六人のクラスから、先生子供合わせて四人!のクラスへ。泣き虫次男のそばにいるため、結局毎回ヘルパーとしてクラスに入っている。先生からウォルドルフのリズムを学びつつ、子供達と遊び歌いスナック食べポカポカとした気持ちになりつつ。こうして時間かけてゆっくり作戦が許される環境がありがたい。リトルママ・パパの姉兄達に囲まれ甘えん坊の次男には、こんなペースが合っているのかも。ああ、幻に終わった一三年ぶり一人の時間週六時間。ゆっくり行きます。(笑)

3.ということで、本や資料を読んだり書いたりの時間は、もっぱら早朝のみ。コンスタントにこつこつと。週に一度の二時起き、残りは四時起き。昼間子供達と走り回り身体を使う生活、このペースだとあまり身体に無理がない。

4.次男のプレスクールは「日本語で接する」という条件も掲げていて、日本人だけでなくアメリカ人の親が子供に日本語を習わせたいと通わせるケースも多い。クラスメートの一人のママは、日本に住む親友を訪ね日本が大好きになったそう。町の反対側からバスで通っている。氷点下十五度近くの中、三歳児連れバスで往復二時間強 彼女の熱意にいつも脱帽。

5.友人達と週に一度の「ビジョン・ミーティング」。「Native Heritage 博物館」で、アラスカ南東部ネイティブの「ポトラッチ」に用いる器の完成を祝う儀礼に参加したメンバー二人の話を聞く。「文化継承のために戦い続ける」故博物館創設者の言葉がステージ上で引用される。「あなたは誰なのか?」そんなスローガンを掲げるネイティブ文化復興運動。アルコール中毒や、自殺率増加、様々な問題を抱える村々で、復興運動に関わる人々の凛とした眼差しを思い出しつつ。
 他に時事、家事、育児、論語や老子、「自省録」の話なども。個々人の次週までの具体的課題を決めたり。盛りだくさんに充実。こんな場が持てることに感謝

6.ネイティブ・アラスカンの「姉」から久しぶりに電話。「今日ランチどう?」「今日はプレスクールのヘルパーに入るから無理かな、来週は?」 アンカレッジに新しくできた「ラーメン屋」でランチすることに。「チャットしてしばらくぶりのブランクを埋めよう」と「姉」。ラーメンすすりながら、語り合う日を楽しみに

7.外は氷点下な毎日、一日中暖房がんがんの屋内で暮らすことも多いアラスカの冬。締め切った屋内の空気を整えることの大切さを感じている。窓を時々開け、空気清浄機も少しずつ各部屋に購入中。呼吸が楽に、時々聞かれた子供達の咳も静まる。そんな話をしていたら、友人が「ナイチンゲールだね」「は?」「ナイチンゲールは戦場の病室で空気を入れ換えることがいかに大切かを説いたんだよ」「へ~」 ナイチンゲールに見習い、空気を清めていきたい

8.長男の友人達がまた停学。何でも体育の着替え中にズボンを(下着ではなく)ずり下げ合ってふざけていたところを先生に目撃されたらしい。長男も目撃者としてペーパーワークさせられる。この国の小中学校は性的な問題について特に厳しい。スカートめくりなんてしようものなら、それこそ学校上げての大問題に。昔、小学校に入ったばかりの子供達にトイレでのプライバシーがいかに大切かを真剣に説く先生を前に、ロシア人の知り合いが「ロシアじゃまだパンツはかないで走り回ってても笑って済ませられる時期だわ」とつぶやいていたのを思い出す。確か私が小学校時代も低学年は体育や水泳の前は同じ教室で一緒に男子女子着替えていたような。この国ではこういうことなのだから、気を遣っていこうね、そう子供達に話しつつ

9.小さな子供は、転んで膝をすりむき泣きべそをかいても、お友達と玩具の取り合いをしたと泣きじゃくっても、温かい腕に抱きしめられ「大丈夫よ」と声をかけられることで、また笑顔で遊びに戻っていく。心の内に、そんな温もりに溢れた「安心場」を築くことができたら。不安や困難に打ちのめされたとしても、子供が親の腕の中で笑顔を取り戻すように、また明日から頑張ろうと外へ向かう力が湧き出る、そんな「安心場」を。子供達一人一人の内に、「安心場」を築いていくこと、それは親として子供に贈ることのできる最も貴いギフト
 「安心場」とは、親の無条件の愛情、無条件の受け入れによって築かれる。「無条件」というのは、何でもかんでも子供のやりたい放題にさせるということではなく、どんなに叱ってもどんなによくないと諭したとしても、心の底のところで、その子を愛し受け入れているかということ。子供は愛され受け入れられ認められることで、心の内に安心場を築いていくことができる。
ユダヤの教えにある「右手で抱え、左手で押す」
詩篇139篇にある「あなたのみ手はその所で私を導き、あなたの右のみ手はわたしをささえられます」
 右手とはここでは利き手の意。強く力の入る利き手でしっかりと抱きつつ、少し弱いもう片方の手で時には叱りもしながら教え諭す。この一見矛盾して見える行為を同時にすること、それが子供を育てる上での極意。頭で考えると難しそうに思えるけれど、実際にはできるもの。考え込むことなくとも、右手と左手が同時に自然と全く違う動きをすることができるように。常により強く力の入る利き手でしっかりとその子を抱え続けていること、そうすることが子供の内に安心場を築く

10、子どもに対して愛情が発露している場合とそうでない場合がある。親自身のそれまで育った環境、育てられ方も関わってくるから。常に溢れる愛情が湧き上がってくる場合もあれば、「この子を愛しく感じられない」ということもあるもの。もし「愛せない」のならば、思いやり、その子の言葉や心に耳を澄ませ、共感し、その子を肯定してみる。するとそれらの行為の実りとして愛情が湧く。 愛があるから思いやるのではなく、思いやるから愛情が湧く。「愛がある・ない」のではなく、「愛する・愛さない」という今ここでの自身の選択がある。「「愛は動詞」。
 愛とは、個々人を超えたところに、常に滞ることなく流れ続けているものなのかもしれない。愛するという一人一人の選択と行為が、その流れに繋がる管の詰まりを取り去り、尽きることのない無限の愛が流れ出す、そんなイメージを抱きつつ。

11.子供時代に温もりに包まれる体験をたくさんさせる。子供達が大きくなり幸せだったと思い出すのは、周りの大人たちが、自分と向き合い過ごしてくれた何気ない日常の風景。最新式のゲーム機を買ってやる、日本一のジェットコースターのある遊園地へ連れて行く、今度はあれを買ってやろうあそこに連れて行ってやろう、そんな物質的で刺激に溢れた楽しみはそれほど必要でもなく。
 心の奥深くに残る温もりを、たくさん感じさせる。母と手を繋いで歌いながら散歩したこと、父と車の中でしりとりし合ったこと、叔母とよく熟れたフルーツを美味しいねと食べたこと、夕暮れの校庭で逆上がりができるようになったと父に見せたこと、仕事帰りの母とその日あった出来事を話しながら夕焼けの中帰宅したこと、湯気の上る台所で夕飯を作る祖母の手伝いをしたこと、髪をなでる母の匂いに包まれて眠ったこと。そんな何気ない日常の中に、温もりが溢れている。子供と向き合い、共に楽しむ時間を毎日の生活に散りばめて。。それが子供達の奥深くに、幸せというものの原型を形作る。

12.学校の前に着き、車から降りる娘達。長女と三女が笑顔で行ってきま~す!と手を振る横で、次女はしかめっつらでうつむき、片手をさっと挙げるとくるりと背中を見せ、学校に向かって歩き始める。何故この子は朝の始まりからこんな不機嫌な表情をしているのだろう、そういぶかしく思いながら発車し、次の目的地へ向かう。
 何度かこんな朝の別れを繰り返すうち、ようやく次女の様子の原因が分かった。長女とは二つ違いの次女、いつもついつい長女と同じように扱いがち。それでも子供の二歳の違いというのは時に大きいもの。朝の限られた時間、着替え、髪を結い、弁当箱にスナックを入れ、朝ごはんを食べ、長女がぱっぱと五分ずつでできてしまうことを、次女にはやはりもう少し長く時間がかかる。五歳の三女や三歳の次男はまだまだぱっぱとできないで当たり前という目で見守っているけれど、二歳違いの次女に対しては、どうしても長女と同じように行動することを当たり前と捉えている自分がいる。それでもよく観察してみると、シャツを着るのも、顔を洗うのも、髪を縛るのも、シリアルを器に入れミルクを注ぐのも、フルーツをほお張り呑み込むまでも、やはり二歳違いの姉よりはゆっくり。毎朝長女のペースに必死でついていこうとし、挙句うまくできずに欲求不満がたまる、次女のしかめっつらの原因は、そこにあったのかとはっとさせられた。
 そこで次女を少し早めに起こし、それには早めに寝かせるようにし、朝の一つ一つの行為にもう少し時間をかけられるよう調節してみた。するとガレージの車に乗り込みながら、「ママ見て!、今日私一番に車に乗ってる!」そう嬉しそうに叫び、学校の歩道で満面の笑顔で手を振る次女が。 
 確かに上の子に必死で付いていこうとすることで、下の子というのは早く成長していくという面もある。それでもそのペースが負担になり過ぎていないかを見、時にはゆったりとその子のペースで進ませてやるのも必要だと、次女の笑顔に気づかされた先週。
 発達の段階というのがある。また発達というのは年齢で画一的に区分けできるものでもなく、その子の個性による早い遅いもあり。その子のペースをよく観察すること、そして時にはハードルを下げる調節も必要。一つ一つのハードルを越える度、「自分でできた!」と自信がつき、その子のペースで徐々により高いハードルへと主体的に挑戦するようになる。その子自身のハードルを整えていきたい

13.「誰が最も賢いか? 万人から学ぶ者。
誰が最も強いか? 自身のネガティブな衝動に打ち勝つ者。
誰が最も豊かか? 自身の持ち分にハッピーな者。
誰が最も高潔(honorable)か? 他者を重んじる(honor)者
。」 The Mishna, Pirke Avot 4:1


窓を開け、澄み渡った外気を吸い込み、アンカレッジより。

Have a wonderful week!

マイナス二十度!

2012-12-02 01:27:00 | 風景・散歩・旅
ボーイスカウトのファンドレイジングを手伝う長男をスーパーに降ろし、山道を行く。

クロスカントリースキー!のつもりだったけれど、雪が少ないので散歩しようか、ということに。

車の温度計を見ると、マイナス二十℃!

露出部分少なくしないとね。


まつげが凍る。メガネは曇って使い物にならず。

歩く。


歩く。


三女はクロスカントリー練習しつつ。


川を渡り、


川、凍ってないね。あっ、鴨がいる!


ひゃっほ~。


夕陽に。



四十分ほど歩いた後、「ネイチャーセンター」の建物にて。鳥のイベント。飼い主の手にとまるフクロウにファルコンに。

カラスにお札を差し出すと、口にくわえ瓶に!


動物足跡・糞識別パズル。