靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

再会

2010-07-14 23:59:18 | 出来事や雑感や (子育て)
午後図書館へ。

グランパ三女、長女、長男、グランパ長男。市立図書館には外国語の本も少しある。フランス語やスペイン語、そして日本語の本も。


20分読書をすると1つスタンプ。スタンプをためると賞品がもらえる、という図書館主催読書キャンペーンに参加した子供達。賞品をもらう。ビーチボールと本。



次男を追いかけながらふと顔をあげると、1人の女性と目が合った。お互いしばらく見合い、同時に口を大きく開ける。駆け寄ってしばらく抱き合う。目には涙。

14年前アラスカに初めて来、村々に滞在したとき、お世話になったネイティブ(※エスキモー)家族の娘さん。9年ぶりの再会。連絡が途絶えてから6年たっていた。

漁にツンドラでの食料採集に友人達との集まりに、と連れ出してくれたのが彼女だ。1ヶ月間の村滞在、最後にはユピック族の名前ももらい、まるで家族のように暮らしていた。10歳年上の彼女は姉的存在だった。

去年村を出、アンカレッジに2人の子供と暮らし始めたそうだ。村で出会った14年前、彼女は結婚していて子供はなく、私はまだ独身。5人の子供、しかもグランパの子供達も連れ、子供にうじゃうじゃと囲まれている私を見、「マ、マチカ子供だらけ!」となぜか2人で笑い転げる。(笑)

「時期がくれば必ず会うようになると思ってたの。神に祈ってたのよ会えるように。」

元シャーマン一家だった彼女の家族。今はクリスチャン。キリスト教が入ってくる前そこいらじゅうに感じていた「神」に、キリスト教は「名前」をくれたのよ、と言っていたのを思い出す。100年程前ほとんどのエスキモーの人々はキリスト教に改宗している。

私が初めてみたアラスカはネイティブの人々の視点からだった。アンカレッジに暮らし始め、薄れていった視点。

訪問団が帰った後、ゆっくり会おうと約束。美味しいものまた一緒に作って食べようと。何だかアンカレッジに親戚が引っ越してきたような感覚。これから何とも楽しみだ。

左から三女、グランパ三女、長女、再会した友人、次女。



※「エスキモー」という言葉は侮蔑語ということで世界的に「イヌイット」に置き換えられる。東カナダに住むクリー族の言葉で「エスキモー」は「生肉を食べる者」を意味する語と誤って解釈され侮蔑的に用いられたわけだが、本当は亜極北のアルゴンキン系インディアンの言葉で「かんじきの網を編む」という意味。

またそもそもアラスカ南西部に暮らす「ユピック」はカナダやグリーンランドに住む「イヌイット」とは別の集団。「エスキモー」イコール「イヌイット」ではない。「エスキモー」を「イヌイット」と呼ぶことは、全体を指すための呼称を一部を指すための呼称に置き換えてしまうことである。「アジア人」が侮蔑的だからアジア人皆を「中国人」と呼ぼう、みたいな。まあこちらに暮らしていると日本を中国の一部だと思っている人々に出会うこともありますが。(笑)
 
そこでアラスカでは公にも「エスキモー」という言葉が用いられ、本人達も自分達を誇りをもってそう呼んでいる。