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にしみの鉄道情報局付属ブログ

プリズンホテル夏

2014-09-27 | 書評

浅田次郎のプリズンホテル、ヤクザが暴対法逃れで山奥の倒産しかかった温泉旅館を買収して、そこで起こるドタバタやら、ヒューマンドラマやらをまとめた面白い作品です。
4部作になっていて、夏秋冬春の順の作品になっています。

主人公は木戸孝之介という作家で、人気作家なのですがかなりの偏屈者で、それが作品の面白さを出しています。その伯父の木戸仲蔵がヤクザ(大物総会屋)にもかかわらず、リゾートホテルを始めます。

もう一人の主人公という人物が、このホテルに引きぬかれた花沢一馬というベテランのホテルマンです。もともと大手ホテルのホテルマンでしたが、客のことを第一に考えるあまりホテルの利益主義と反する事件を何度か起こして、各地のホテルをたらい回しにされていました。
その窓際ホテルマンを、木戸仲蔵が自分のホテルに引きぬき、支配人にしました。

このホテル、一般的な宿泊施設だと敬遠されがちな、ヤクザが運営するヤクザむけのホテルになるので、いろいろ普通のホテルとは違うところがあり、それも面白さの一つです。

花沢支配人の息子の繁が暴走族で、それをヤクザの若頭が更正?させるのもひとつの見どころといえます。

もう一つのポイントは、主人公である木戸孝之介の母親の話で、若い男と駆け落ちした母親との再会の話も挙げられます。といっても感動の話と言えるような話ではありませんが。

いくつかのストーリーが並行して話が進みますが、それがこの作品の魅力でもあります。
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