北陸新幹線の開業が1年以内に迫っています。数年以内には函館まで新幹線が伸びます。これによって青函トンネル区間などの区間を除いて、第三セクターへ切り離されます。
普通列車は第三セクター鉄道が運行を続けますが、特急列車は新幹線に転換され、発展解消の形で廃止されます。
JR転換後、夜行列車を除いても、新幹線の延長開業や利用客減少などもあり、JR会社間優等列車は、どんどん減ってきました。
廃止になった優等列車を数えてみると、以下の8列車ありました(事実上名称が変わっただけのかがやき→北越、はつかり→白鳥、のりくら・北アルプス・たかやま→ひだを除く)。
白鳥 大阪~青森 2001年3月廃止(列車名は青函トンネルを通る列車に流用)
雷鳥 大阪~新潟 2001年3月新潟乗り入れ廃止
白山 上野~金沢 1997年長野新幹線開業により廃止
東海 東京~静岡 2007年廃止
(急行)かもしか 長野~飯田 1988年快速格下げ
(急行)かすが 名古屋~奈良 2006年廃止
いそかぜ 米子~博多 2005年廃止(小倉~博多間は1993年廃止)
(急行)さんべ 米子~小倉 1997年廃止(下関~小倉間快速)
純粋に新幹線延長開業の影響を受けたのは、白山ぐらいであとは純粋に利用客減少による廃止です。夜行列車と違い、需要の多い在来線特急列車は、さすがに境界駅で乗り換えというわけには行かないので、今後も需要のある限りは運行を続けると思いますが、今後整備新幹線の影響を大きく受けそうです。
現在運行しているJR会社間優等列車はどうなるのか、少し考えてみます。
白鳥 撮影 青森 2008年5月10日
白鳥 青森~函館
この列車は、間違いなく北海道新幹線函館開業で廃止になるでしょう。
北越 金沢~新潟
金沢・富山~新潟間の直通需要は有りそうですが、北陸新幹線の開業によって北陸本線の金沢~直江津間が並行在来線として、第三セクターへ切り離されるので、開業時に廃止になりそうです。
ただ、北陸新幹線の上越市内の駅が直江津駅ではなく、上越妙高駅(脇野田駅)なので、乗り換えを考慮すると、新潟糸魚川間の列車は残したほうが良いような気がします。
はくたか 金沢~越後湯沢
こちらも北陸新幹線の延長開業によって、廃止されると思われます。北越急行主体で直江津~越後湯沢直通の快速列車は残るかもしれません。
踊り子 東京~伊豆急下田・修善寺
東京から伊豆方面への優等列車は、1949年以来伝統的に伊豆箱根鉄道修善寺まで乗り入れています。JR化後、熱海三島間のJR東海エリアを、踊り子が走行することになりました。
この修善寺乗り入れの踊り子があったおかげで、ムーンライトながらの185系化がスムーズに行えたようです。
今後、修善寺踊り子の運行が継続されるかの判断は難しいところですが、185系の置き換えも10年以内に行われることは確実ですから、その時に5両の付属編成が製造されないと、踊り子は、下田方面のみの運行になるかもしれません。
しなの 大阪~名古屋~長野
名古屋~長野間の急行列車だったしなのですが、特急化後、しばらくして大阪長野間の急行ちくまの1往復がしなのに変更され、大阪まで乗り入れるようになり、JR化後も続いています。現在、最も長い区間新幹線と並走する在来線特急列車ですが、団体客など一定の需要はあるようです。
大阪までの乗り入れがいつまで続くかは分かりませんが、塩尻から長野までのJR東日本区間の運転は今後もづづくものと思われます。
ひだ 名古屋・大阪~高山・富山
ひだはJR化直後は、JR東海エリアのみの運行でしたが、JR化後に他社まで乗り入れるようになった珍しい例です。
JR化直後は高山本線の飛騨古川までの運転でしたが、1990年に名鉄から乗り入れてくる北アルプスと急行のりくらに変わって、富山まで延長運転されるようになりました。
国鉄時代のひだは富山をへて更に金沢まで運転されていましたので、久々の飛騨古川以北での運転となりました。これは、ひだ用のキハ80系が6両固定編成だったため、高山以北では輸送力過剰になり、合理化のため増解結が比較的容易で3両編成での運転が可能だったキハ58系運転の急行のりくらと、キハ8200系運転の北アルプスの運転に差し替えられたためです。
国鉄末期のメンツを捨てた合理化の影響ですが、キハ85系が導入され、3両運転ができるようになったため、ひだが富山まで乗り入れています。
大阪から高山本線へは急行たかやまが乗り入れていましたが、使用していたキハ58系が老朽化のため、JR東海へ移管の上、ひだに統合されています。こちらも、大阪から高山方面へは新幹線では遠回りになるため、一定の需要はあるようです。
ひだについては、大阪乗り入れを除いて、今後も安定していると思いますが、北陸新幹線開業によって、JR西日本区間の猪谷富山間が離れ小島になるため、この区間の扱い如何によっては、JR会社間列車ではなくなるかもしれません。
南紀 名古屋~紀伊勝浦
南紀は新宮から紀伊勝浦の僅かな区間だけ、JR西日本に乗り入れています。紀伊勝浦は観光地ですので、根強い需要がありますが、JR西日本がわざわざ気動車の乗務員を育成する必要があり、合理化の観点から、紀伊勝浦への接続列車を用意して、新宮止まりになる可能性もありえるかもしれません。なお以前は、JR東海の乗務員がそのまま、JR西日本区間も運転していました。
しらさぎ 名古屋・米原~金沢・和倉温泉・富山
しらさぎは大阪~富山間の雷鳥の間合い運転で運行開始した列車で、その後乗車率が良かったことや、名古屋・米原での新幹線連絡もあり、本数が増加していきました。
しらさぎも、北陸新幹線の影響を受けて、金沢富山間が廃止されることが決まってます。それ以降については、北陸新幹線のルートにより列車の存亡が決まると思われます。
敦賀までの北陸新幹線は内定していますが、それより先の北陸本線ルートは未だ不透明です。湖西線ルート、米原接続ルート、若狭ルートの3ルートが検討されているようですが、米原接続ルートの場合は、しらさぎはそのまま新幹線置き換えになります。
湖西線ルートと若狭ルートの場合、名古屋敦賀間の列車として残る可能性もあり、同区間がすべて直流のため、JR東海への移管もあり得るのではと思われます。
今後一番不透明なのがしらさぎではないかと思います。
南風 岡山~高知・中村・宿毛
しおかぜ 岡山~今治・松山・宇和島
うずしお 岡山・高松~今治・松山・宇和島
瀬戸大橋開業後、四国の特急列車は瀬戸大橋を渡り、岡山まで乗り入れるようになりました。四国の特急列車は高速バスに押され気味ですが、大きな動きもなく運行が続くと思われます。
南風 撮影 伊野 2012年12月8日
当分先まで運転される、在来線のJR会社間特急列車ですが、整備新幹線の延伸と高速道路の延長による高速バスとの競合なども考慮すると、間違いなく残るのは、しなのと南風、しおかぜの3列車ぐらいではないかと思います。