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にしみの鉄道情報局付属ブログ

大手私鉄の甲種輸送ルート・2

2012-01-07 | 鉄道技術

前回からの続き。今回も関東私鉄を取り上げます。

京成電鉄の場合
京成電鉄とグループの北総鉄道の新車は、東急車輛と日本車両が製造しています。京急とは都営線を介して線路が繋がっているため、東急車輛製造分、日本車輌製造分とも京急線経由で輸送されます。日本車輌製造分については、京急の川崎重工製造の部分と同じく、一旦東急車輛に入場して、台車を履き変えています。
1990年頃までは、京急都営線内は、京成の3000系列の4両編成が牽引していましたが、近年では東急車輛で整備され、京急都営線内は自力回送されるケースが多くなっています。ただ、現在でも新形式の場合や京急線内での運転実績が無いケースは、京成から牽引車が東急車輛まで出向くことになっています。
スカイライナー用二代目AE車は、都営線の通過ができないため千葉貨物駅から宗吾参道への陸送となっています。
新京成電鉄の場合は、千葉貨物駅から北総の印旛車両基地へ陸送され、ここで北総車に挟まれ、京成高砂で京成線に入り、京成津田沼で新京成線に入り、車庫のあるくぬぎ山駅まで回送されるそうです。

西武鉄道の場合
西武はかって、所沢工場で電車を内製していましたが、初代特急車の5000系から外注が始まっています。東急車輛に発注された時期もありましたが、現在は主に日立製作所が製造を担当しています。
秋津駅と武蔵野線の新秋津駅の間に連絡線があり、ここから新車の搬入や西武多摩川線への回送が行われます。この連絡線は、もともと貨物輸送用として建設されたものだそうです。
かっては国分寺に連絡線があって、ここから西武国分寺線との間で貨物列車や新車の搬入が行われていました。西武国分寺線は、もともと川越鉄道という蒸気鉄道で、中央線の前進の甲武鉄道の支線として開業し、蒸気機関車の時代は直通列車もあったため、その線路が後の時代まで残っていたようです。

東武鉄道の場合
東武鉄道の新車は日立製作所が現在は主に製造しています。東武の場合、最近まで貨物列車が運転されていたため、あちこちにJRとの連絡線があり、貨車の受け渡しがおこなれていました。
新車搬入は主に久喜駅の伊勢崎線と東北本線の間の貨物受け渡し用の連絡線を使っていましたが、2003年に貨物列車が廃止になって、渡り線も廃止されています。
日光線の栗橋駅にJR東武間の特急列車が使う連絡線がありますが、こちらは前後の配線の関係から、機関車牽引列車及び機関車の付け替えができないため、新車搬入には使われていません。
現在は熊谷貨物ターミナルまで、JR貨物が甲種輸送列車を運行し、ここで秩父鉄道に引き渡されます。ここから武川駅までの貨物線で秩父鉄道本線に入り、伊勢崎線向けは、羽生まで牽引され、ここで東武の線路に入ります。東上線向けは秩父本線の寄居で渡り線を通り、東上線に入るようです。もしかしたら東上線向けも、一旦南栗橋車両管理区に入り、整備されて改めて羽生から寄居まで秩父鉄道を経由して東上線に入るのかもしれません。
なお、東武では伊勢崎線系統と東上線系統の間の車両のやり取りをする場合、主に東上線所属車が南栗橋工場への入場や館林の津覇車両に入場する時に、秩父鉄道経由で回送されます。

京王電鉄の場合
京王線はレール幅が1372mmという、世界的に見ても珍しいゲージを採用しており、JRとの連絡線も無いため、新車搬入はすべて陸送となっています。
京王の新車は東急車輛と日本車輌が製造しています。東急車輛製造分は金沢からそのまま陸送で済みますが、日本車輌製造分は愛知県からの陸送というわけにも行かないので、一旦甲種輸送列車として川崎貨物駅まで送られ、ここから高幡不動の検車区まで陸送されます。
レール幅1067mmの井の頭線も代田連絡線の廃止後は完全な独立路線なため、新車搬入は陸送となっています。ただ富士見ヶ丘検車区の付近が狭隘なため、新車搬入は永福町駅に隣接する京王バスの永福町営業所から搬入されます。

相模鉄道の場合
相模鉄道は貨物輸送を行なっていた関係で、厚木駅にJR相模線との連絡線があり、ここから新車が搬入されます。今後東海道貨物線を介して新宿湘南ラインとの相互乗り入れ構想がありますが、これによって新車搬入ルートに変化が生じるかもしれません。

次回は関西私鉄の甲種輸送ルートを取り上げます。

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