さんぽみちプロジェクト

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東紀州の「さんま寿司」 三重県南牟婁郡御浜町 2

2016-02-07 14:17:56 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号より御浜町を取り上げている。
同町の沿岸部にある七里御浜(しちりみはま)は、熊野古道伊勢路の「浜街道」として親しまれてきた。
浜街道が続く東紀州(尾鷲市以南)では、熊野灘で獲れる「秋刀魚」を使った郷土料理「さんま寿司」が有名。
今週はさんま寿司の魅力を紹介したい。


【写真】東紀州(紀南)の「さんま寿司」

さんま寿司の発祥は、熊野灘に面した東紀州といわれる。
親潮に乗って南下する秋刀魚は、北海道や三陸で獲れるものと比べやや小ぶり。
脂分は適度な量となっており、丸干や寿司への加工に適している。
また、蜜柑や柚子などの柑橘(かんきつ)類が豊富なため、それらを使い秋刀魚の臭みを消すことができ、薬味としても適している。

東紀州ではさんま寿司をハレの料理として親しまれてきた。
頭と尾が付いたままの秋刀魚にはめでたさがあるとされ、正月料理に欠かせないという。

地域性が現れるのが、秋刀魚の開き方。熊野市以南(紀南)のこの地域では背開きで、尾鷲市以北(紀北)では腹開き。
代官所があった熊野市では腹開きは切腹を連想させるとされ、腹開きや頭を落とすことは避けられてきたという。
秋刀魚の背は黒く、その部分が寿司の両端にあれば背開き、寿司の中央にあれば腹開き、といった具合だ。
薬味も異なり、紀南は柑橘酢をベース、紀北はカラシが用いられるなど、見た目は似ていても、よくよく比べると大きな違いがあるのも魅力のひとつ。

御浜町はじめ、さんま寿司を食べられるお店は多数。
秋刀魚の漬け具合や酸味も店によって様々。
道の駅などにある産直市場では家庭料理に近いものが販売されており、これもお薦め。

代々受け継がれてきた郷土料理の味に触れられるさんま寿司をぜひご賞味あれ。

(次田尚弘/御浜町)

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