さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

名物「伊勢うどん」の歴史 三重県多気郡大台町 3

2016-06-26 15:56:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、三重県多気郡大台町のユニークな郷土料理「ないしょ餅」について取り上げた。
大台町は伊勢の中心部から見て西側、海から見て奥に位置することから「奥伊勢」と呼ばれるエリア。
人気が高い郷土料理「伊勢うどん」を提供する店が現れるのも、この奥伊勢のエリアからだ。
今週は、地域で親しまれてきた「伊勢うどん」について紹介したい。


【写真】「伊勢うどん」

「伊勢うどん」は味噌からできる「たまり醤油」をうどんにかけて食べるという農村の人々の暮らしから生まれたもの。
醤油をかけただけのうどんとして当初は「素うどん」と呼ばれ、お伊勢参りの参拝客らに300年程前から店舗で提供されるようになったという。

特徴は何といっても麺の太さと柔らかさ。讃岐うどんなどで際立つコシは全くといってよいほど無い。
一般的なうどんの茹で時間は15分程だが、伊勢うどんの場合は1時間程茹でる。
一説によるとその理由は、お伊勢参りで長旅をしてきた参拝客に消化の良い食事を提供しようとしたことに由来。
麺の形状を維持しながら柔らかい食感を味わえるよう極太麺になっているようだ。

ブランド化を図ろうと、麺飲食業組合がうどんに使用する小麦の種類として、この地域で獲れる「あやひかり」の使用を推奨し、主原材料が県内産100%のものに対し、地域特産品認定を行うなど、地域振興への役割も大きい。

実際に食してみると甘みがつよく濃いめの出汁が麺に絡みつき、これまで経験したことのない味わい。
店舗によっては、ネギの他に、鰹節や生卵がトッピングされていたり、出汁が並々と注がれていたりと、その味わいと見た目は様々。
かつてからお伊勢参りの食事として親しまれていた「伊勢うどん」を、ぜひご賞味あれ。

(次田尚弘/大台町)
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ユニークな郷土料理「ないしょ餅」 三重県多気郡大台町 2

2016-06-19 13:50:11 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では「三重県多気(たき)郡大台(おおだい)町」で収穫される「伊勢茶」について取り上げた。
今週はコクと香りが濃厚な伊勢茶と相性がぴったりの郷土料理を紹介したい。

その郷土料理の名は「ないしょ餅」。地元で獲れたヨモギ、もち米、うるち米を原材料にしたヨモギ餅で、中にはあんが入っており、餅の上には黄粉がまぶされている。


【写真】ないしょ餅

ユニークな名の由来は地域の文化に関係する。この地域では何かおめでたいことがあった際に杵と臼を使い、餅をつき、近所に配ってまわる習わしがある。
しかし、日常生活のなかで餅を食べたいとき、たいそうに餅をつくと近所の方々に目立ってしまう。
そのため屋内でこっそりと、周囲には内緒で餅を作る方法が家庭に広まったという。

作り方もユニークだ。炊きあがったもち米を鍋に入れ、麺棒を使ってついていくというもの。確かに周囲に知られることなくこっそりと作れる。

近年になって、町の中央を流れる三重県内で最長の河川「宮川」の河原に自生するヨモギや、中流域で盛んな農村地帯で生産される米を活用し、地産地消の地域づくりを進めようと製造・販売が進められているという。

実際に町内で「ないしょ餅」を購入し食べてみた。ユニークな製造方法であるために米粒があちこちに残っており、餅というよりも、おはぎに近い触感。
甘すぎずよもぎの風味が広がるのが特徴で、伊勢茶との相性がすごくよいと感じた。

「ないしょ餅」は町内の道の駅などで販売されているが、人気が高く売り切れることもあるという。
筆者としては、こんなに美味しい餅の存在を内緒にしておきたいところだが、ぜひ、大台町ならではの文化や特産品の数々に触れてみてほしい。

(次田尚弘/大台町)



大台町の道の駅「奥伊勢おおだい」で販売されている「ないしょ餅」


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全国3位「伊勢茶」の産地 三重県多気郡大台町

2016-06-12 17:20:31 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、紀伊国と伊勢国が交わる町として、三重県度会郡大紀町の魅力にふれた。
今週はお隣の「多気(たき)郡大台(おおだい)町」を紹介したい。

多気郡大台町は三重県のほぼ中央に位置する人口約1万人の町。
町の中央部を県内で最長の河川「宮川」が流れる。上流域となる町の西部は大台ケ原山に程近く、標高1000m級の山々に囲まれた山村地域で吉野熊野国立公園に指定。
夏には宮川の清流を求め、川遊びや鮎釣りの観光客らで賑わう。
中流域となる町の東部は茶畑や田畑が広がる農村地域。

この地域で収穫されるお茶を「伊勢茶」という。三重県はお茶の栽培面積、生産量、生産額が静岡県、鹿児島県に次ぐ全国3位であることを御存知だろうか。


【写真】大台町産の「伊勢茶」

とりわけ、アミノ酸(うまみ成分)の一種であるテアニンを多く含む「かぶせ茶」の生産量は全国1位を誇る。
「かぶせ茶」とは収穫の2週間前から茶畑に黒いネットをかぶせ、茶を成長させる栽培手法で苦みが少なくテアニンが豊富な茶ができるという。
この他にも「煎茶」や「深蒸し茶」の生産が多い。

三重県内では北から順に「水沢(すいざわ)」「鈴鹿」「亀山」「大台」の4地域が伊勢茶の主要生産地となっており、大台町もそのひとつ。
1年を通し温暖で降水量にも恵まれ「煎茶」や「深蒸し茶」などの緑茶の栽培が主となっている。

実際に大台町で収穫された伊勢茶を飲んでみた。
コクと香りが濃厚で、二煎目、三煎目でも味の劣りが少なく、美味しくいただくことができた。
静岡茶と比べれば認知度は高くないかもしれないが、和歌山から遠くないところにある有数のお茶の産地。
伊勢茶を見かけた際はぜひ一杯お試しを。

(次田尚弘/大台町)



大台町の関連写真です。


大台町の風景


道の駅で販売されている大台茶


道の駅で販売されている伊勢茶
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紀伊国・伊勢国が交わる町 三重県度会郡大紀町 2

2016-06-05 13:37:36 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
三重県度会(わたらい)郡大紀(たいき)町の魅力について取り上げている。
前号では伊勢神宮の別宮にあたる「瀧原宮」について触れた。今週は「瀧原宮」の程近くで、町内の魅力を発信する道の駅を紹介したい。

そもそも大紀町は2005年、旧大宮町、旧大内山村、旧紀勢町が合併してできた町。
沿岸の錦漁港はブリの町として知られ、内陸部では農業、山間部では林業や酪農が盛ん。
「大内山牛乳」の名は、和歌山県内のスーパーマーケットなどで目にすることも多い。

大紀町のほとんどは伊勢国の領域であったが、錦漁港がある旧紀勢町錦地区だけは、1582年(天正10年)に当時の新宮城主により紀伊国に編入。
旧紀勢町は伊勢国と紀伊国それぞれに属していた村が合併してできた町で、紀伊の「紀」と伊勢の「勢」を合わせて「紀勢町」と名付けられたという。

「道の駅 木(き)つつ木(き)館」は、木造の大屋根が特徴の施設。大紀町七保地区が松阪牛の生産区域に指定されていることから、館内のレストランでは松阪牛を使った料理をはじめ、伊勢名物の伊勢うどん等、地域の食材を味わうことができる。


【写真】「道の駅 木つつ木館」

また、土産コーナーでは大内山牛乳の乳製品や地元で獲れた猪肉や鹿肉の生肉やしぐれ煮、天然の鮎の甘露煮などが販売されている。
特におすすめしたいのが木工品のコーナー。尾鷲ヒノキを用いた、まな板やお椀、さじなどの家庭用品はもちろん、大きなテーブルや椅子が展示販売され、オーダーメイドの依頼までできる。

伊勢の玄関口でありながら、紀州の雰囲気を感じられる町。
瀧原宮参拝と合わせてぜひ訪れてみてほしい。
アクセスはJR「瀧原駅」から徒歩約20分。国道42号に面し「瀧原宮交差点」すぐ。

(次田尚弘/大紀町)



道の駅「木つつ木館」の関連写真です。



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