さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

梅の土用干しが始まる 「自家製梅干し」の作り方

2023-07-30 18:24:48 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、梅干しの歴史と魅力を取り上げた。梅雨が明け、県内では梅干し作りに欠かせない、天日干しの作業が始まっている。
今週は家庭で出来る梅干しの作り方を紹介したい。


【写真】梅干し作りの手順

梅干し作りには黄色くなった完熟梅を使うのがおすすめ。傷んだ部分はカビが生えやすいので取り除いたうえで綺麗に洗い、竹串などを使いヘタを取る。続いて梅をボウルに移し、35度の焼酎をまぶす。そして、清潔な容器に塩と梅を交互に漬けていく。塩の量は梅の総重量の18%程度にする。中蓋をして梅の総重量と同じ重さの石を乗せ、外蓋をして保管する。

1週間後、白梅酢が上がってくるので、梅がかぶる程度の量を残し外に取り出す。ここから赤紫蘇を加える作業。赤紫蘇の葉を水で2~3回洗い、ボウルに入れて塩もみをする。紫蘇は強く絞り汁は捨てる。続いて、紫蘇をボウルに入れ、取り出した白梅酢を紫蘇がひたる程度に加えもみほぐす。紫蘇が赤くなると、梅の上に紫蘇を乗せ、白梅酢も全て入れる。再び中蓋をして石を乗せる。
2週間程度で水分が中蓋よりも上にくると軽めの重石にして梅雨明けを待つ。

梅雨明けを迎え、向こう3日間晴れとなる日を選び、天日干しに入る。これを土用干しという。ザルに梅を並べ日に当て、1日に数回、梅を裏返すとよい。日が落ちると室内に取り込む。
翌日、翌々日も1日目と同様に天日干しを行い、梅の表面のシワが掴めるほどになれば完了。すぐに食べることもできるが、半年程度寝かせることで味がなじむ。

筆者は100円ショップで購入できる小さな容器で梅干しを作った。必ずしも立派な容器で沢山作る必要はなく、塩分比率と重しの重量さえ守れば少量でも作れる。自家製の梅干し作り。ぜひ、チャレンジしてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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消費拡大に向け条例も 「梅干し」の歴史と魅力

2023-07-23 13:32:22 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、梅の風味と果肉の旨味を楽しめる、自家製の「梅ジャム」の作り方を取り上げた。
梅の旨味を手軽に楽しめる方法として最も一般的といえるのが「梅干し」。今週は梅干しの歴史と魅力を紹介したい。


【写真】南高梅を使った「梅干し」

梅干しの歴史は古く、平安時代にまで遡る。村上天皇が梅干しと昆布茶で病を治したという伝説や、菅原道真が詠んだ梅の短歌から、釣りの際に梅干しを入れた弁当を持参すると釣果が悪くなるという迷信が残る。
戦国時代になると保存食のほかに戦場での食中毒や伝染病の予防に役立つ陣中食として使われた。

江戸時代になると、日本の食物について書かれた「本朝食鑑」という書物に梅干しが現れ、現代と同じ作り方や味わい方が記されており、長期保存ができる食べ物として定着した。

梅干しにクエン酸が多く含まれることから、唾液の分泌を促し脱水症状の防止や消化吸収を良くするほか、疲労防止や疲労回復にも効果があるとされる。
また、血糖値の上昇を抑え、便秘の解消、肝機能を高める効果も期待できる。抗菌作用や防腐の効果があることから、弁当やおむすびに梅干しが入れられる。

日本の食卓で一般的となった梅干しであるが、食生活の変化により消費量は年々減少している。総務省の家系調査によると2022年の年間消費量は1世帯あたり650g。20年前と比べると4割程度の減少となる。

みなべ町では南高梅が誕生した町であり、重要な基幹産業として定着した梅の積極的な普及と消費拡大を図り、南高梅のブランド確立と産業振興、町民の健康の維持・増進の視点から、平成26年10月に「みなべ町紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例(梅干しでおにぎり条例)」を制定。梅を使った商品の消費拡大を目指している。

梅雨明けし暑さが増すこの季節。梅干しを食べて乗り切りたい。

(次田尚弘/和歌山市)
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風味・果肉の旨味を楽しむ 自家製「梅ジャム」の作り方

2023-07-16 16:50:30 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、南高梅の需要拡大に向けた「本格梅酒」の基準づくりの事例と自家製梅酒の作り方を取り上げた。
梅を使った加工品は他にも沢山。今週は「梅ジャム」の作り方を紹介したい。


【写真】自家製の「梅ジャム」を作る

使用する梅は全体が黄色がかり完熟したものがおすすめ。まず、梅酒を作る時と同様に竹串などでヘタを取り除く。続いて梅をよく水洗いし、下ゆでする鍋に移し、梅全体がかぶる程度の水を入れる。梅に傷んだ部分がある場合は包丁などで切り取っておくとよい。

鍋をコンロに移し中火にかけ、沸騰すると弱火にして15分。途中でアクが出るため、すくって捨てるようにする。

次に下ゆでした梅をボウルにすくい取り、梅を1つずつ手に取り握る。すると柔らかくなった果肉の中から種だけが手に残るので、果肉だけを集めていく。
果肉の総重量を測り、その重さの6割から7割程度の砂糖を加える。砂糖はすっきりした味わいが特徴のグラニュー糖がおすすめ。

果肉に砂糖を加え、鍋を中火にかけ、果肉と砂糖を混ぜ和わせる。沸騰すると弱火にしてアクを取る。時折、鍋底を混ぜながら30分程度炊く。最後に熱いうちに殺菌した瓶に詰め完成。
程よく果肉が残り、甘すぎず苦すぎない、梅の風味を感じる仕上がりで、パンやヨーグルトなどにかけて食べると美味しくいただける。

梅を冷凍させることで果肉の繊維を壊し、下ゆでの行程を省いて、更に容易に梅ジャムを作る方法もある。
果肉を残さずトロトロとした食感が好みの方は、冷凍させた梅を使うやり方をおすすめしたい。

完熟梅を使った楽しみ方。殺菌した瓶に詰め脱気しておけば半年程度は保存可能な梅ジャム。ぜひ試してみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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全国1位の収穫量 地域が誇る「南高梅」の歴史

2023-07-02 16:33:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
梅雨の時期、スーパーの果物コーナーや産直市場を賑わすのが「梅」である。
今週は県民にとって身近な存在である梅の歴史を紹介したい。

梅はバラ科サクラ属の落葉高木。原産地は中国で、日本に渡来したのは弥生時代とされ、奈良時代から庭木として親しまれ、江戸時代から果実の栽培が始まったという。
県内でも江戸時代から、現在のみなべ町や田辺市周辺で栽培が始まった。

当時、この地を治めていた田辺藩の初代藩主である安藤直次が、やせ地や傾斜地でも収穫でき、価値の高い実が収穫できる梅に目を付け、栽培を推奨。明治に入り当時の流行病であったコレラや赤痢への対策、日清戦争や日露戦争での軍隊の常備職として需要が増し、梅の栽培が拡大した。

明治12年、現在のみなべ町の山林で、内本徳松氏が優良な梅の木を見つけ「内本梅」として苗木を増やし、大規模な栽培を開始。明治35年に高田貞楠氏が、果実が大きく豊作の木を見つけ「高田梅」と命名。昭和25年、優良な品種に栽培を統一しようと選定会が発足し、調査の結果、高田梅が最も優良な品種に認定された。
この調査に尽力したのが県立南部高校の教諭や生徒。高田梅の「高」と南部高校の「南高」を取り「南高梅」と名付けられ、種苗名称登録された。


【写真】実が大きく美しい「南高梅」

南高梅は栽培の容易さと豊作性に優れ、梅の需要拡大と共に栽培が広がり、今や国内1位の栽培面積を誇る品種に発展した。
農水省の統計によると全国における2020年産の梅の収穫量は約7万t。その内、県内では約4万tが収穫され、全国の約6割を占めている。

民の暮らしを支えるために着目し、長い月日に磨きをかけることで、全国に誇る地域のブランドとなった南高梅。私たちにとって身近な南高梅の魅力に触れていきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
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