さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

レモンイエローの小さな柑橘 果汁が多く甘さ先行「黄金柑」

2022-04-24 13:30:01 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、100年以上の歴史を持ち、県内で盛んに栽培されている「セミノール」を取り上げた。
今週も果汁たっぷりの柑橘「黄金柑(おうごんかん)」を紹介したい。


【写真】甘味が強い「黄金柑」

黄金柑は温州みかんよりも小ぶりで、直径3㎝、重さは60g程度。外皮はレモンイエローで、その容姿からレモンのような酸っぱさを連想するが、実際に食してみると甘味が先行し果汁量も多い。外皮は剥きやすく、袋(じょうのう)ごと食べることができる。

来歴は不明とされるが、温州みかんと柚子の交配、あるいは「川畑(かわばた)みかん」や「花良治(けらじ)みかん」という九州や奄美で栽培される柑橘の系統ではないかといわれている。

栽培は明治時代からで、鹿児島県日置郡で「黄蜜柑(きみかん)」と呼ばれ、その後、現在の名で呼ばれるようになったという。
その名を英訳し「ゴールドオレンジ」の名で販売されることもある。

果実をそのまま食する以外に、外皮ごとジャムやマーマレードにされるほか、外皮から精油を抽出しアロマオイルとして活用される事例もあり、甘い香りが特徴の黄金柑ならではの活用法といえよう。

2018年の農水省統計によると、生産量第一位は静岡県(41.5t)、第二位は愛媛県(30.9t)となっており、全国的に生産量は少なめ。
統計値には掲載されていないが、和歌山県内でも生産されており、果物店や産直市場などで手にいれることができる。旬は3月から5月にかけて。

見た目によらず甘くてジューシーな味わいが楽しめる黄金柑。ぜひ、お試しあれ。

(次田尚弘/和歌山市)
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100年以上の歴史を持つ柑橘 県内で盛んに栽培「セミノール」

2022-04-17 14:05:25 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では果汁が多く、ジュースにすると格別な味わいを楽しめる「かんきつ中間母本農6号(東京オレンジ)」を取り上げた。
他にも果汁たっぷりの柑橘がある。今週は「セミノール」を紹介したい。


【写真】果汁たっぷりの「セミノール」

セミノールは1910年代にアメリカのフロリダ州にある試験場で育成された100年以上の歴史を持つ柑橘。「ダンカングレープフルーツ」と「ダンシータンゼリン」を交配させて出来たもの。日本には1955年に持ち込まれ、全国各地で栽培されるようになった。

温州みかんと似た形をしており、外皮はやや硬めで張りがあり手触りが良い。重さは200g程度。酸味よりも甘味の方が強い印象で濃厚な果汁が特徴。爽やかな香りも魅力である。
皮(じょうのう)ごと食べることもできるが、薄皮であり果汁が出てきてしまうので、ナイフで串切り(スマイルカット)にした方が食べやすい。

果汁が豊富であるため、絞ってジュースにするかゼリーやシャーベットにするのもおすすめ。香りの良さから外皮を細く切りサラダなどに振りかけて食べることもできる。

農水省統計(2018年)によると、生産量の全国1位が和歌山県(50.9%)で約1500t、2位が三重県(22.4%)、3位が大分県(21.4%)。県内の主な生産地は、湯浅町、広川町、由良町となっており、県内で盛んに栽培されている品種。

収穫時期は3月から4月にかけて。酸を減らすために少し寝かせてから出荷されることが多く、旬は4月中旬から5月頃。

今が食べ頃のセミノール。果物店や産直市場で見かけることがあれば購入し、果汁の多さと旨味を体感してほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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ジュースにすると格別 「かんきつ中間母本農6号」

2022-04-10 13:36:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では紀北地方で盛んに栽培されている、国内産の「ネーブルオレンジ」を取り上げた。
果汁が多く甘味と酸味が濃い特徴をもつネーブルオレンジだが、近年栽培されはじめた希少な品種で、それを上回る味わいのものがある。
今週は「かんきつ中間母本農6号(通称・東京オレンジ)」を紹介したい。


【写真】果汁たっぷりの「かんきつ中間母本農6号」

かんきつ中間母本農6号は、1986年に静岡県にある果樹試験場で「キングマンダリン」に「無核紀州」を交雑し育成した雑種で、栽培が容易。2004年に品種登録された。
ボコボコとした外皮で、張りのある一般的な柑橘と比べると見劣りするが、味は抜群。
サイズが小さめで外皮が固くむきづらいことから、袋(じょうのう)ごと食べるには不向き。
搾ってジュースとしていただくのがおすすめ。

不向きとされるが袋ごと食べると、やや袋の固さはあるもののじゅうぶん美味しくいただける。
しかし、何といってもジュースにしたときの味わいが格別。さらりとした飲み口で、甘すぎない食感はやみつきになってしまいそう。果実1個から150㎖程度のジュースを絞り出すことができた。

親の品種となっている「無核紀州」とは、他の柑橘と交配しても種ができない品種。
果実は小さいが果汁が多くて香りもよく、さらに適度な甘みと酸味を持つことから、親譲りで紀州にも縁のある品種といえよう。

かんきつ中間母本農6号の生産量は少なく統計値として主な生産地を知ることはできないが、県内では広川町などで栽培されている。
筆者は産直市場で購入したが、希少な品種であることが明記され、店員からもその旨を教えてもらった。

今後、ヒットが期待される品種。見かけることがあれば購入し、その味わいを確かめてみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)



東京オレンジを絞ったジュースです。


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紀北地方で盛んに栽培 国内産「ネーブルオレンジ」

2022-04-03 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、すだちに似ているも歴史が古く、用途も異なる「かぼす」を取り上げた。
今週は2月から4月が旬である、国産の「ネーブルオレンジ」を紹介したい。

ネーブルオレンジは、種が少なく香りがよく、果汁が多いことで知られる柑橘。
直径は約8㎝、重さは200gと、温州みかんの倍程度の重さがある。


【写真】ネーブルオレンジ

似た品種としてバレンシアオレンジがあるが、それと比べて甘味・酸味共に濃いのが特徴。しかし、果汁が劣化しやすく日持ちがしないという欠点がある。保存するときは新聞紙に包むなどして乾燥を避けるのが望ましい。

食し方としては、果実を搾ってオレンジジュースとしての楽しみ方もあれば、スマイルカットと呼ばれる切り方で生食するのもよし。マーマレードやピールも人気。

果実のお尻の部分(果頂部)にある、おへそのようなくぼみ。へそを英語で「Navel(ネーブル)」といい、それが名前の由来となっている。

ネーブルオレンジは輸入品が多いイメージがあるが、国内で積極的に栽培されている。
輸入品はワシントンネーブルと呼ばれる品種が多いが、国内産では枝替わりの品種で、大三島ネーブル、白柳ネーブルなどがあり、輸入品とは少し異なる味わいを楽しむことができる。
ビタミンCに加え、糖質の代謝に欠かせないとされる栄養素であるビタミンB1が豊富に含まれるなど、健康志向の方にもおすすめ。

2018年の農水省統計によると、生産量1位が静岡県(34%)、2位が広島県(27%)、3位が和歌山県(19.4%)で、県内での主な生産地はかつらぎ町、紀の川市、和歌山市と紀北地方が主となっている。

今の時期、果物店や産直市場で手にすることができる国産ネーブル。お好みの食べ方で楽しんでみては。

(次田尚弘/和歌山市)
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