さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

外国人旅行者数4千万人へ 環境整備に「国際観光旅客税」

2019-01-27 17:22:54 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、昨年9月の台風21号で被災した関空連絡橋が、3月中に対面通行規制が解除、ゴールデンウィークを目標に完全復旧するという、明るい話題をお伝えした。

東京オリンピック・パラリンピックを前に、国内では円滑な出入国や外国人旅行者の滞在環境の整備を目的とした「国際観光旅客税」の徴収が7日から始まり、政府は2019年度予算としてそれを財源とする500億円を計上。
訪日外国人旅行者数を4千万人にする目標を掲げ、観光基盤の強化に乗り出す。

「国際観光旅客税」は船舶や航空機を利用し日本から出国する旅客に対し、出国1回につき千円を徴収し、航空会社など特別徴収義務者が国に納付するというもの。

その使途としては、
①ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、
②わが国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、
③地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上、
の3分野が掲げられており、訪日外国人旅行者が滞在しやすい環境整備と、地域にフォーカスした魅力の発掘、効果的な情報発信が一気に進むことになる。

昨今、国際空港や免税店での導入が活発化し、私たちの生活にも広がりを見せている「キャッシュレス決済」は、訪日外国人旅行者からのニーズが高いという。
クレジットカードや交通系ICカードも現金を扱わず決済ができるキャッシュレスの一種であるが、注目すべきは「QRコード(二次元バーコード)」を用いたもの。関空でも導入する店舗が増えている。


【写真】キャッシュレス対応のステッカーを掲示する店舗

和歌山県内でも白浜町を中心に実証実験が行われるなど、公衆無線LANに継ぐ新たな取り組みとして期待されている。

(次田尚弘/泉佐野市)
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3月中に規制を解除 GWまでに完全復旧、関空連絡橋

2019-01-20 13:32:20 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
災いが多かった昨年と打って変わり、穏やかな年明けを迎えた2019年。
関西に甚大な被害をもたらした昨年9月の台風21号は、関西国際空港連絡橋にタンカーが衝突し空港機能が麻痺。関西の経済、観光に大きな被害が出たことは記憶に新しい。

対面通行により仮復旧した連絡橋であるが、18日、西日本高速道路は来月12日、13日に修復した橋桁の架設を行い、工事が順調に進めば3月中には対面通行規制を解除し、上下線各2車線、計4車線を確保できる見込みであると発表した。
ゴールデンウィークまでに計6車線での完全復旧をめざすという。

損傷を受けた下り(関西空港方面)の橋桁は現在撤去され修復作業中。
対面通行では、通行不能な箇所を避けるため、連絡橋の途中から上り(泉佐野方面)の橋脚へとシフトするよう整備され、上り2車線、下り1車線に規制されている状況。


【写真】連絡橋の対面通行区間(下り車線

平日朝7~8時台はマイカーの通行を控えるよう呼びかけ、ピークを避けて朝6時台、9時台に利用した場合、ETCのマイレージポイントが追加付与される仕組みを設けるなど、混雑緩和策が講じられてきた。
関西エアポートによると年末年始等の多客期においても大きな渋滞や混乱は無かったという。

3月中の対面通行規制の解除、ゴールデンウィークを目標とする完全復旧で、海外からの関西の玄関口としての機能が完全に復活する形となる。
台風の爪痕は未だ各所に残るが来年の東京オリンピック・パラリンピックで世界各国から注目を受ける日本。
しかし、日本を訪れる外国人がより便利に安心して滞在できる環境整備は完璧とはいえない。

関空を発着する外国人旅行者を和歌山県にどう呼び込みもてなすか。その方策を考えていきたい。

(次田尚弘/泉佐野市)
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徳川家光公に由来 「鏡開き」と「松の内」

2019-01-13 14:30:01 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、正月料理のひとつ、お雑煮を彩る葉物野菜「真菜(まな)」が、和歌山市で用いられるようになった歴史について取り上げた。その理由は徳川家由来の「験(げん)かつぎ」。

他にも徳川家に由来するお正月の風習がある。それは「鏡開き」の日にちや「松の内」とされる期間。関東や関西では大きく異なり、地域性もあるよう。お正月気分からそろそろ抜け出さなければならないこの頃。今週は「鏡開き」と「松の内」の考え方を解明していきたい。

鏡開きは、お供えした鏡餅をおろす日。もともとは全国的に1月20日とされていたが、慶安4年(1651年)を境に1月11日が一般的となった。
その理由は、三代将軍の徳川家光公が4月20日に亡くなったことに由来するという。幕府では家光公の月命日にあたる20日を避けようと1月11日に変更。それが全国的に広まったとされる。

松の内は門松などの正月飾りを飾る、一般的にお正月と呼ばれる期間。
神を迎える期間であるといわれ、全国的に、前年の12月13日から1月15日までとされていたが、こちらも慶安4年を境に、関東を中心に1月7日までと改められた。


【写真】正月飾りはまだある?

その理由は、鏡開きの日が1月11日となり、神を迎える期間中に鏡開きをしてしまうと失礼にあたる。
鏡開きのあとも正月飾りを飾っているのは違和感があるとされ、松の内を鏡開きより前に終えることにしたという。

関西に松の内の期間が1月15日までとして残る理由は、この概念が全国的に浸透しなかったためとされるが、和歌山城のしめ縄飾りは1月7日まで。
幕府の方針に従い当時からそうなのか、近年、関東に習いそうなったのか真相はわからないが、正月文化は地域性が強くその地域の歴史を知る鍵として有効だ。

(次田尚弘/和歌山市)
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お雑煮を彩る「真菜」 和歌山市の文化は尾張から?

2019-01-06 17:17:56 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
2019年の幕開け。皆様は新年をどのように迎えられましたか。
おかげさまをもちまして、本コーナーは9年目を迎えました。今年もよろしくお願いいたします。
 

新年初めはお正月にちなんだ話題から。皆様の食卓に並ぶ「お雑煮」。


【写真】真菜を使ったお雑煮(和歌山市)

関西は白みそ、その他の地域はすましが主流であるが、ご家庭により具材は様々。
広島であれば牡蠣、仙台であれば焼きはぜを入れたもの、山陰であればあずき雑煮など、地域によっても大きな違いがある。

和歌山県の紀北地方、それも和歌山市周辺の狭い地域で江戸時代から続くお雑煮の具材がある。
それは野菜の「真菜(まな)」。
年末になると八百屋やスーパーの野菜コーナーに並び、当たり前のように購入し調理してきた食材であるが、地域性の強いものであるらしい。

真菜はアブラナ科の一年草。主に奈良県内で栽培される葉物野菜で、奈良県の伝統野菜として認定されている。
和歌山の特産品でもない食材がなぜ和歌山市のお正月を彩るのか。答えは和歌山市の歴史に由来するという。

一説には、和歌山城へ徳川家が入城し、紀州徳川家が成立。
正月の「験(げん)かつぎ」で、「名(菜)を上げる仕事をしよう」という思いから、真菜が使われるようになったという。

徳川家に縁のある地域を調べると、尾張でも真菜が使わるところがあった。
それは、長久手市。小牧・長久手の戦い(1584年)の舞台で、2005年には愛・地球博が開かれた名古屋市の隣町。
中部地方では「餅菜」「正月菜(しょうがつな)」と呼ばれるアブラナ科の葉物野菜がお雑煮を彩る。

それが真菜であることを確認できたのは長久手市のみであるが、和歌山市のお雑煮文化は徳川家に由来する尾張の風習である可能性が高いようだ。

(次田尚弘/和歌山市)
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