さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

新年の風習に触れる 貴志川線でめぐる三社参りの旅

2012-12-30 20:43:08 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

和歌山駅から僅か3分の日前宮駅

 

 

【写真】日前宮駅に入線するたま電車。

 

      

昭和8年までは、駅の北側にあたる地名から秋月駅と呼ばれていた。

駅から北東へ約1キロの場所には鳴神貝塚がある。

明治28年に近畿で初めて発見された縄文時代の遺跡で昭和6年に国の史跡にも指定され、駅北側は秋月遺跡と呼ばれる歴史あふれる街だ。

 

駅名にもあるとおり、日前宮は駅のすぐ近く。

日前神宮(ひのくまじんぐう)」と「國懸神宮(くにかすじんぐう)」2つの神宮を境内に持つことは珍しく、2社をあわせて「日前宮」の名で親しまれている。

伊勢神宮と同様、かつて朝廷が神位を贈らない別格の社で、古い歴史と格式のある神社である。

正月には約30万人もの参拝者が訪れる。

 

3週に渡り、和歌山県の「三社参り」として代表的な3神社を紹介してきた。

まもなく訪れる新年に三社参りを計画されている方もいらっしゃるだろう。

例年、神社周辺の道路はたいへんな混雑。

来年は和歌山電鐵貴志川線を利用して参拝してはどうだろう。

 

同社が発売する「1日乗車券」は大人用1枚650円。乗り降り自由で、同社ご自慢のユニークな車両への乗車や、たま駅長やニタマ駅長に会いに行くのもよし。

車両の運行日時や両駅長の勤務予定は同社のウェブサイトから確認できる。

 

古くから親しまれてきた新年の風習に触れると共に、新たな地域資源として定着した和歌山電鐵貴志川線の試みに触れて欲しい。

 

(次田尚弘/和歌山)

 

電車の運行日時や駅長の勤務予定は和歌山電鐵のウェブサイト 

http://www.wakayama-dentetsu.co.jp/ から。

 

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心豊かな「駅づくり」 竈山駅に見る、沿線住民の思い

2012-12-24 00:07:32 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

和歌山市和田に位置する竈山駅は、和歌山駅伊太祈曽駅からそれぞれ約7分の無人駅。

 

  

 

【写真】竈山駅に入線するおもちゃ電車

      

駅から北へ住宅地を歩くこと数分。和田川を渡ると大鳥居が見えてくる。

大鳥居をくぐりさらに歩くこと約10分。右手に広がる緑豊かな神社が竈山神社だ。

 

竈山神社の本殿には、大和平定の途中で戦傷した神武天皇の長兄にあたる彦五瀬命(ひこいつせのみこと)が祀られており、本殿の背後には宮内庁が管理する陵墓がある。

豊臣秀吉により社地や社領を没収されたが、徳川頼宣が和歌山城に入城後、再建され、国家安泰、世界平和や発展を守る神社として尊崇を集めてきた。

 

駅へ戻り電車を待つ。日中帯は1時間に2~3本のダイヤであるから、しばし待ち時間がある。

ホームを見回すと整然と並べられた沿線紹介のパンフレットが設置され、待合いスペースやベンチなども綺麗に管理。

無人駅だがどこかほっとできる感覚がある。

掲げられたポスターには「あと4回、貴志川線に乗ろう」の文字。

 

沿線住民などが立ち上げた「貴志川線の未来を”つくる”会」の方々が自分たちの移動手段を守り続けていこうと目標を掲げ、利用促進の呼びかけやイベント、定期的な駅の点検やパンフレットの補充などを自発的に行っている。

 

会員数は約2千名。筆者も同会に入会し定例会に参加しているが、月2回の定例会は毎回夜遅くまで開かれ、貴志川線を元気にする取組みを和歌山電鐵と協力し、考え、実施し続けている。

 

日本一心ゆたかなローカル線になる」という強い思い。竈山神社のお膝元にふさわしい「駅づくり」がここにある。

 

(次田尚弘/和歌山)

 

 

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「木の国」の原点、発信地 貴志川線 伊太祁曽駅周辺

2012-12-16 19:35:07 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

以前、広島市内の職場で「和歌山にも三社参りという風習があるらしいね」と聞かれたことがある。

九州や中国地方(主に山陽側)では、初詣で近所の三神社を詣でるという風習が各地域にある。

 

和歌山県においても、地域によって異なるが、代表例として、日前宮竃山伊太祈曽三神社を詣でる風習をご存知の方々も多いだろう。

和歌山電鐵貴志川線の前身は、今から約100年前、参詣のためのアクセス鉄道として敷設されたという。

今週は、同線伊太祁曽駅周辺の地域の魅力について触れたい。

 

 

【写真】伊太祁曽駅に入線するいちご電車

 

伊太祁曽駅。和歌山駅から電車に揺られ約15分。和歌山電鐵の本社が置かれる駅舎では、猫のニタマ駅長が出迎えてくれる。

駅から南へ町並みを歩くこと約5分、伊太祈曽神社が見えてくる。

伊太祈曽神社は、御祭神である五十猛命(いたけるのみこと)が天から持ち帰った多くの樹木の種を全国にまき、国土を作ったとされている。

木の神である五十猛命が鎮座する和歌山が、木の国(紀の国)の呼ばれる所以ともいわれている。

また、古事記では五十猛命大国主神の命を救ったという神話があり、厄除けや病気平癒の神としても信仰されている。

 

駅から北へ約1キロ歩けば四季の郷公園。広大な敷地には、和歌山市における農業の研究施設を備えると共に、ネイチャーセンターなど研修施設や地域の農産物を集めた直売所の運営など、同市の農村文化を発信する役割を担っている。

 

伊太祁曽駅周辺。ここには、木の国和歌山の原点、発信地があった。

 

(次田尚弘/和歌山)

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目的地まで力強い演出 移動手段を超えた各地の列車

2012-12-09 15:54:03 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

日常的に使う乗り物が、移動手段という役割を超えた力を発揮することがある。

 

先日、山陽新幹線こだま号を利用した際、新大阪方面の先頭車両で子供向けの体験型の運転台を見つけた。

JR西日本によると平成21年9月から500系車両に設置され、新大阪~博多の一部のこだま号で運用に着いているという。

実物を再現した運転台に加え、壁全体のイメージ写真は子供たちに夢を与えている。

設置されている車両は自由席車なので自由席券があれば誰でも利用できる。

 

 

 

【写真】子供向けの疑似運転台が設置された山陽新幹線の車内

 

これを乗り物×子供の夢と言うならば、乗り物×観光という発想ではトロッコ列車をはじめ、車窓の景色を楽しめる座席配置など工夫されたものが各地にある。

 

乗り物×高級ホテルとしては来年10月から九州を一周する豪華な寝台列車として運用が開始される、日本初のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」は旅好きな方やファンの注目の的だ。

 

優等列車やトロッコ列車は利用者の目的意識があってこそ利用され、旅を演出する役割が発揮されるもの。

 

和歌山電鐵貴志川線の「いちご電車」や「たま電車」「おもちゃ電車」は特別な料金を払わなくても乗車できる、いわば日常的な存在。

 

通勤、通学や買い物で、沿線地域の宝や鉄道会社の施策をコンセプトとして表現された空間を日常生活で体感できる例は数少なく、県外の方から羨ましいとよく言われる。

 

沿線住民にとって安らぎの空間を、観光客には旅を演出し目的地へエスコートしてくれる同列車に乗って、今までと違った目線で和歌山を見つめていきたい。

 

(次田尚弘/広島)

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史上最高の5、6年生に 子供たちとの活動を通して

2012-12-02 15:42:21 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

和歌山新報と共催の吹上小プロジェクト。筆者はこの試みを企画させていただいた。

 

11年前。「課外授業ようこそ先輩」というNHKの番組収録で吹上小に訪れた竹中平蔵先生との出会いは、私の人生を大きく変えた。

 

平成13年3月12日。興味を持って読んでいた「みんなの経済学」という本にサインをお願いした。

竹中先生は微笑んで「Warm Heart & Cool Head ! これを君に贈るよ。いつか、私が居る慶応大学湘南藤沢キャンパスに来てみない?」と言った。

 

 

【写真】11年前、吹上小で貰った竹中先生のサイン

 

竹中先生が居る大学に行ってみたい。

5年後、私は慶応大学に入学。憧れの湘南藤沢キャンパスに居た。再会は卒業間近の平成22年4月19日。

教授として戻ってこられた竹中先生とキャンパスですれ違った。

「小学6年生のとき、吹上小学校でサインを貰った者です」勇気を出してそう話しかけた。竹中先生は「そうか!じゃあ一緒に和歌山を元気にする活動をしよう」と答えた。真っ先に浮かんだのが今回の吹上小プロジェクトだった。

 

プロジェクトに携わった111名の児童は、吹上小史上最高の5、6年生だと思う。

活動を通して、社会を広く見ること、興味があることや得意なことに全力でトライする面白さを実感して欲しいという思いに全力で応えてくれた。

 

本当に厳しい時代だからこそ、これから色々な苦労をするかもしれない。

私は高校を中退、大検を取って、高校3年の年齢で慶応大学へ飛び入学した。

人生、何があるかわからない。

なんとか今日までやってこられたのは、吹上小竹中先生から教わったことを何度も思い起こしたからだと思う。

 

和歌山の子供たちには、ぜひ、本紙や全国紙の地方版を通して、地域の魅力あるいは課題に触れて、身の回りの出来事に興味を持って欲しい。

そして、興味を持ったことを深く探究して欲しい。そこには、いきいきとした子供たちの姿が見えた。

 

(次田尚弘/和歌山)

 

 

吹上小学校プロジェクトは下記の和歌山新報Webに掲載されています。

http://www.wakayamashimpo.co.jp/2012/12/20121202_20530.html

 

吹上小新聞完成 和歌山新報11月30日(金)付

http://www.shimbun-online.com/viewer/Wakayama_Shimpo0121129.aspx

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