さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

年末年始は、こたつでみかん 「和歌山(有田)剥き」を全国へ

2018-12-30 13:52:42 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、愛媛県でみかんの魅力を発信するキャラクター「みきゃん」の戦略を取り上げた。PR上手な愛媛県に負けない、和歌山ならではの魅力がある。年末年始の休暇で帰省された県外在住の皆様にも知っていただきたい、この時期ならではの話題をお伝えしたい。

お正月といえば、こたつでみかん。皆様は、みかんをどのように剥くだろうか。裏向きにして4分割に。それを「和歌山(有田)剥き」という。


【写真】「和歌山(有田)剥き」のみかん

私たち和歌山県民にとっては馴染み深いが、全国的には何回かに分けて、あるいは上部のヘタから少しずつ剥いていくのが一般的。

筆者がそれに気づいたのは県外出身の友人らに、君のみかんの剥き方は非常に理にかなっていると言われたこと。
実に汚れが着きづらく、机も汚さず後処理も容易と絶賛された。

しかし、筆者は、和歌山剥きは原則、和歌山産のみかんでないとその威力を発揮できないことに気づき始める。
スーパーで買った他県産のみかん。和歌山剥きを試みるも上手く割れない。
筆者なりの分析では、和歌山県産の特徴である実が薄皮であること、大柄ではないサイズ感、そして地元ならではの流通の速さが、和歌山剥きができる条件。
乾燥が進んでいないため実と実が容易に分離でき、適度な力の入れ具合で外側の皮が裂けるといった具合。

地域の人にとっては何気ないが、独特の文化である和歌山剥き。それは和歌山ならではの、みかんの特性に由来するもの。
昨今、手が汚れるからとみかんを敬遠する人も多いとか。
和歌山剥きを広めることで、和歌山県産のみかんの新たな価値を発信できるのでは。

帰省中の読者の皆様。県外へお帰りの際はぜひ、和歌山剥きを話題にしてほしい。

(次田尚弘/有田市)
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特産品をゆるキャラでPR 愛媛県、特命副知事「みきゃん」

2018-12-23 13:42:59 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、地場産品を現代風にデザインし、地域再生の代名詞として知られる「今治タオル」の取り組みを取り上げた。
温州みかんの生産量で全国一位を競う愛媛県と和歌山県。地元の特産品である柑橘の魅力を発信する愛媛県の取り組みを紹介したい。

農水省が公表する温州みかんの収穫量(平成29年産)は、和歌山県が国内の19%、愛媛県が16%と、和歌山県の収穫量は14年連続で全国1位。
一方で、温州みかんを含む「かんきつ類」の収穫量は愛媛県が42年連続で全国1位となっている。

みかんの生産地として全国にその名が知られる両県であるが、昨今、愛媛ではゆるきゃらを用いたPRを展開。みかんと犬をモチーフとしたキャラクター「みきゃん」である。


【写真】愛顔(えがお)PR特命副知事「みきゃん」

みきゃんは、特産品のみかんに加え、愛媛の方言で語尾に付けることが多い「~やけん」を犬(けん)とかけていることや、地図で見ると愛媛県が走る犬の形に見えることをモチーフに。
耳がみかんの葉、尻尾がみかんの花の形をしているなど、愛くるしい姿がファンを集めている。

2011年にキャラクターデザインが公表され、11月11日に公募によりその名が決定。
2013年から「ゆるキャラグランプリ」に参加し、初回から全国11位と奮闘。翌年には3位入賞、その翌年には2位に。
2017年に開催された「愛顔つなぐえひめ国体・大会」ではマスコットキャラクターを務めた。

愛媛県は「愛顔(えがお)PR特命副知事」とし、使用要綱で営利目的でもデザイン使用料を無償化。
土産品をはじめ、地元スーパーのポイントカード、鉄道やバスへのラッピングなど、その姿は県内の随所で見られ、愛媛が柑橘王国であることを訪れる観光客のみならず県民へも意識づけるものとなっている。

(次田尚弘/松山市)
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地場産品を現代風にデザイン 地域再生の代名詞「今治タオル」

2018-12-16 23:58:10 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、サイクリングを中心とした体験型観光で注目されている「しまなみ海道」について取り上げた。

四国側の起点となる今治市は、大阪の泉州と並ぶタオルの生産地。昨今、形や色がお洒落で、ブランドのある特産品として名高い「今治タオル」を紹介したい。


【写真】タオルを思わせるデザインの今治駅

タオルの製造技術はイギリスから伝わったもの。その歴史は意外と浅く、明治5年のこと。もともとはマフラーのように首に巻いて使われる、日用品よりもファッションに近い用途であった。

「今治タオル」の特徴は、タオルを水中に浮かべ沈み始めるまでの時間が5秒以内であるものに対してのみ、名称の使用が認められるという独自の基準があること。この基準には、吸水性の良さを確かめる意味があるという。
洗濯を繰り返しても硬くならないよう、よりが柔らかい糸を使うことから、吸水性に優れたタオルに仕上がる。「先さらし先染め製法」という、糸を先にさらしたうえで染め・織りを施す。
石鎚山系からの豊富な軟水が繊細で柔らかいタオル作りを支えているという。

海外からの輸入品に押され、厳しい市場環境のタオル業界であるが、今治では独自の基準やブランドロゴ、魅力を伝えるソムリエ制度など、熟練の技を伝えその良さをわかりやすく世界に発信する仕組みを、試行錯誤しながら地域ぐるみで打ち出してきた。
それがブランド化、地域の産業振興につながり、今や安心・安全・高品質なジャパンクオリティの代名詞として、世界に名の知れた存在となった。

消費者に素材の良さを伝え、信頼の証が伝わるよう、地場産品の魅力を現代のニーズにあわせデザインする力。
タオルに限らず、地域の産業振興に不可欠な発想といえよう。

(次田尚弘/今治市)
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「しまなみ海道」で体験型観光 スマホアプリ、レンタサイクルで

2018-12-09 13:32:37 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号まで15週にわたり「西条藩を知る」をお送りした。
和歌山市から新幹線を乗り継ぎ約4時間30分。距離にして400kmと決して近くはないが、本州と四国を結ぶ連絡橋の整備が進み、昨今のサイクリングブームで、風光明媚な瀬戸内を巡る旅も人気のひとつ。
今週は、西条市の隣町、タオルの生産で有名な愛媛県今治市と対岸の広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」を紹介したい。

しまなみ海道の正式な名称は「西瀬戸自動車道」。3ルートある本州四国連絡道路(明石海峡大橋を通る神戸・鳴門ルート、瀬戸大橋を通る児島・坂出ルート、しまなみ海道として知られる尾道・今治ルート)の西端に位置する。

今治市と尾道市の間にある島々を10本の橋で結び、島民の生活道路としての役割が強いことから、高速道路であるが歩行者や自転車が通行できる側道や専用通路が設けられていることが他の2ルートには無い特徴。


【写真】瀬戸の島々を結ぶ「しまなみ海道」

1979年から順次開通となり2006年の生口島道路の開通により西瀬戸自動車道が全通。しまなみ海道の愛称で本州と四国が1本でつながったという報道は記憶に新しいところ。

路線延長59.4kmと、自動車で直行しても1時間余りの区間。瀬戸の島々を眺めながらのドライブは退屈を感じさせず、むしろリフレッシュさせてくれる。

昨今は、サイクリングルートとして人気が高く、スマートフォンのアプリを利用し、チェックポイントで電子スタンプを集め完走をめざすイベントが企画されるなど、全国の自転車愛好家が多く訪れるようになった。
乗り捨て可能なレンタサイクルのターミナルが10箇所以上整備されるなど、観光客も気軽に楽しめる。

魅力的な景観をアピールしそれを体感してもらう体験型(着地型)の観光資源がここにある。

(次田尚弘/今治市)
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西条と紀州のヒストリー 知ることで、街の魅力に気づく旅

2018-12-02 17:16:42 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、西条市の名誉市民・十河信二氏の右腕として、東海道新幹線の開業や宇宙開発に功績のある、島秀雄氏の生涯を取り上げた。

西条市は、寛文10年(1670年)から版籍奉還までの約200年間、紀州藩の支藩(西条藩)として栄えた。西条藩の上級藩士は紀州からの出向者で占められるなど、西条と紀州にはかつてから強い結びつきがあったことは、先に紹介の通り。

東海道新幹線の開業という日本の成長を支える一大プロジェクトを、西条に縁のある十河氏と紀州に縁のある島氏が中心となって考え、行動し、開業へと導いたことは、人と人との信頼関係は勿論、どこかに、長年の間に築かれた西条と紀州らしい政治の執り方の共通点や、近い価値観が関係していたのかもしれない。

筆者は、西条市の隣町、新居浜市出身の知人から、西条藩は紀州藩の支藩であったという情報をもらい、西条市での取材を始めた。

実際に足を運び、西条陣屋跡に残る大手門や北御門を眺め、それぞれに秘められたこれまでのヒストリーを、資料館などを通じて紐解いていく楽しさ。
地域の方々への取材を通し、鉄道の歴史に触れ、十河氏と島氏の深いつながりが見え、読者の皆様へその情報をお伝えできる喜びは、記者としての冥利に尽きるもの。


【写真】西条の歴史を伝える(伊予西条駅前)

西条市は和歌山市から、特急と新幹線を乗り継いで約4時間30分。距離にして約400kmと決して近くは無いが、紀州とのつながりに気づき、ご当地ならではの美味しい水や食、文化、美しい景色など、他の地域を知ることで和歌山の良さ、改善点を感じられる。
ぜひ、西条市を訪れてみてほしい。

15週に渡り「西条藩を知る」をお送りしました。

(次田尚弘/西条市)
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