さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

濃厚なオレンジ風味が特徴 甘味が強く食べやすい「津之輝」

2024-01-28 13:40:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、その大きさが故に、剥き方に工夫が必要で、食べ方に多様なレパートリーを持つ「文旦」を取り上げた。果物売り場では、続々と春柑橘の販売が始まっている。
今週は今が旬の「津之輝(つのかがやき)」を紹介したい。


【写真】果汁の多さと濃厚な風味が特徴の「津之輝」

津之輝(つのかがやき)は、平成21年に品種登録された柑橘。国立農研機構が「清見」と「興津早生」を掛け合わせた品種に、「アンコール」を交配し育成したもの。
オレンジ風味のタンゴール品種である清見、食味が優れた温州みかんである興津早生、強い甘味と香りの良さを兼ね揃えたアンコール。それぞれの特性を受け継いだ品種である。

果実のサイズは200グラム前後。果皮は濃いオレンジ色で、手で容易に剥くことができる。
じょうのうが薄く柔らかいため、温州みかんのように袋ごと食べることができる。

食してみると、そのジューシーさが際立つ。果汁を豊富に含んだ果肉はプルプルとしている。糖度は13度程度と甘味が強く、酸味がほどよくあり、味に深みがある。ほとんど種が無いため、食べやすい。

名前の由来は育成された長崎県の口之津という地域の名前と、光沢があり美しい見た目に由来するという。

農水省統計によると、収穫量第1位は長崎県(114t)、第2位は佐賀県(97t)、第3位は宮崎県(92t)、第4位は鹿児島県(59t)、第5位は和歌山県(17t)となっており、県内でも栽培されている。

施設栽培のものは12月から収穫が始まり、露地栽培のものは1月中旬から2月上旬に収穫され、3月にかけて出回る。

プリっとした食感に、濃厚なオレンジの風味を感じる津之輝。旬を迎えた今、ぜひ食べてみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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剥き方にも一工夫 多様なレパートリーを持つ「文旦」

2024-01-21 15:10:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号から、目を見張る大きさが特徴で、長い歴史を持つ「文旦(ぶんたん)」を取り上げている。
果汁が多く、実の一粒ずつがプリプリしており、酸っぱさが少ないが故に様々な味わい方がある。
サイズが大きいため、剥き方にも工夫が必要で、奥が深いといえる柑橘。今週は文旦の魅力を深掘りしたい。


【写真】プリプリとした果実が特徴の「文旦」

剥き方は次のとおり。ハッサクのように手で剥くことは難しいため、ヘタが横に来るようにして置き、まずは、包丁で縦に浅い切り込みを入れながら一周する。次に、切り込みにスプーンを差し込み、力を入れながら文旦を回し、果実と皮を離脱させる。そして、果実を手でひねるようにして外に取り出す。最後に一房ずつ薄皮を剥き、果実が取り外されて出来た、文旦の半分を器にして、剥いた果実を盛り付ければ出来上がり。これが一般的な文旦の剥き方である。

薄皮を剥いたプリプリの果実をそのまま食する方法もあれば、様々な形に調理して、さらにその味わいを楽しむことができる。例えば、皮と果実を使って作る、ほろ苦さが特徴の「文旦ジャム」。皮のほろ苦さと砂糖の甘さのバランスを楽しめる「文旦ピール」は、お酒のつまみとしても。

文旦の一種で、以前、このコーナーでも取り上げた「晩白柚(ばんぺいゆ)」は、文旦のなかでも最もサイズが大きい品種。
一般的に「わた」と呼ばれる分厚くて白い部分を使った「わたの砂糖漬け」は甘党の方に支持される逸品。さっぱりとした甘味を活かし、ジェラートやタルト、プリンとして食することもでき、そのレパートリーは幅広い。

文旦は100gあたりのビタミンCの含有量が高く、風邪の予防や免疫力の強化にも有効とされる。この時期に持ってこいの柑橘をぜひ味わってみては。

(次田尚弘/和歌山市)
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目を見張る大きさ 長い歴史をもつ「文旦」

2024-01-14 14:02:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、福をもたらす縁起物として、サイズも価格も一流の「獅子柚子(ししゆず)」を取り上げた。獅子柚子は「文旦(ブンタン)」の一種。今週は文旦を紹介したい。


【写真】最大で重さ2kgにもなる「文旦」

文旦は東南アジアを原産とする柑橘。日本には室町時代の末期に伝来したとされる。伝来した地は鹿児島県の阿久根市といわれ、市の木に制定されるほど。

一説には、中国の広東と長崎を往来する貿易船が難破し、現在の阿久根市に漂着し、助けられたお礼に文旦が贈られたことがきかっけ。船長の名が「謝文旦」といい、それにちなんで、文旦と名付けられたという。
文旦は正式には「ザボン」という和名が付けられており、この名称でご存知の方もいるだろう。

品種により多少の差異はあるが、果実の直径は15㎝から25㎝程度。重さは500g程度のものから大きいものでは2kgになるものもある。見た目が似ているグレープフルーツやハッサクは、文旦と別の柑橘の交配により生まれたもの。古くから存在する、伝統のある柑橘である。

食してみると、果汁が多く、実の一粒ずつがプリプリとしている。小玉のものは味が濃く、甘味と酸味を強く感じるが、大玉のものは水っぽさを感じてしまう。

11月頃から翌年4月頃まで収穫されるが、主に出荷されるのは2月から3月頃。
農水省統計によると、収穫量の第1位は高知県(約1万1千トン)で全国シェアの約95%を占める。愛媛県、鹿児島県、宮崎県、大分県と続き、主に西日本の地域で栽培されている。

筆者は県内の産直市場で購入。僅かながらであるが県内でも栽培されているようだ。
新春を彩り、歴史をもつ文旦。その大きさに目を見張るが、ぜひ、その味わいを楽しんでみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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福をもたらす縁起物 サイズ、価格も一流の「獅子柚子」

2024-01-07 15:46:56 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
新しい年を迎えたが、元日から心が痛む災害のニュースが報道されている。自然の猛威を回避することは難しいが、可能な限り穏やかな年になってほしい。

今週は、邪気を払い、福をもたらす縁起物として知られる「獅子柚子(ししゆず)」を紹介したい。


【写真】大きくて凸凹が特徴の「獅子柚子」

獅子柚子は「文旦(ぶんだん)」という柑橘の一種。原産は中国で、奈良時代に日本に伝わったとされる。

特徴は何と言ってもその大きさ。直径20cm程度あり、果重は1kgを超える。一般的な柚子の約10倍、グレープフルーツの約3倍のサイズである。皮が非常に分厚く、表面が凸凹している。獅子や鬼の顔に似ていることからこの名が付けられたという。他にも「鬼柚子」と呼ばれることがある。

柚子の名が付いているが、文旦の一種であるため、柚子のような強い香りはなく、ほのかに柑橘系の香りがする程度。
食用には向かず、主に観賞用とされるが、マーマレードやピールにして食べることができる。白い綿状の部分には、ヘスペリジンというポリフェノールの一種が含まれ、血流の改善や、新陳代謝を促進する効果があるとされる。

収穫期は11月下旬から1月にかけて。インパクトの大きい柚子として、冬至に合わせ風呂に入れられることもあるが、正月飾りとして玄関に飾り、魔除けや縁起物として使用されるのが一般的。
実が大きいということから「実入りが良くなる」と願掛けし、長期間しなびることがないため、飲食店の店先などで年間を通じて飾られることもある。

栽培地域は関東より西の地域。筆者は県内の産直市場で購入した。大きくて形のよいものは1個3000円程度で販売される高級品である。

暗い話題で始まった2024年。邪気を払い、福をもたらせてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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