「ミスター・ピップ」ロイド・ジョーンズ(2006) 訳:大友りお 2009白水社
ブーゲンヴィル抗争1989 ああ、平成の話なんだな。物語は1991年から。
客観的には不毛なんだけど、搾取の構造に気づいてしまったら起きるよね。
で、犠牲になるのは住民たちなんだな。
トム・ワッツはなぜ死んだ。彼は何だったのか。どこまで演じていたのか。
ディケンズの『大いなる遺産』
母ドロレスの罪、娘マティルダの罪
「ジェントルマン」ワッツとドロレスの死とレッドスキンの行動、それぞれ(ダニエルもね)に自分を当てはめても同じことをするだろうという畏怖。安倍政権に任せすぎるといつか日本がまた加害者となる日がやってくると、そしてレッドスキンよりももっと酷いことをするだろうと想像に難くない。
最後、マティルダは祖国へ戻る決意をするが、それはジェントルマンとしてなのか。ピップの後継者ではなく、超えるものとして。これはわかるようなわからないような。平和に暮らして身の安全を優先する生活をしていると、せっかく手に入れたものを放棄するような行動に見えて理解できないかもしれない。しかし、その危険な場所が故郷であったならって、頭ではわかる。だが気持ちはついて行かないな。
「蠅の王」と並べて置いたらおかしいだろうか。宝物にしたい一冊かな。
どちらも「豚」が効いてくる。
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