「臣女おみおんな」吉村萬壱 2014徳間書店
第129回芥川賞受賞作家の作品だった。
第153回の羽田圭介がどこかで薦めていたので読んでみた。
※ 2016年2月10日、第22回島清恋愛文学賞受賞!ですって!
すげー!目が回るわ。気持ち悪い。映像化したらすごいだろうな。
奥さんがね、どんどん大きくなっていく。目の前のことで汲々として逃げ場を失っていくのは、まさに認知症介護のようだ。ただ、この場合は体裁のために隠すのではなく、自分の存在価値の確認と欲があった。
ちょうど唇が割れたときに読んだので、奈緒美(妻)の立場でも読んでしまったぞ。書かれていない苦しみとあきらめと。いったいどこで間違ってしまったのか。最初のデートで待たされた時に気付くべきだったのか。いや気付いていたのに。
文行さんの目線で書かれているが、感情の動きが見えてこない。愛情はあったのだろうか。あったのだろう、だからできた。しかし、そこには邪まな欲もあった。特別なものを手に入れた優越感。
夫婦の間のことはわからない。肉親よりも近い他人。絆。
ラストの奈緒美との想い出、会話のシーンは普通に泣けた。
最後の「仇」とは何だ?
P239 5行目の『耳に心地く』ってそういう言葉があるの?心地よくの「よ」が抜けているのかな。
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