「乱反射」貫井徳郎 2009朝日新聞出版
『週刊朝日』2007年08月17日号~2008年10月03日号
第63回日本推理作家協会賞 Wikipedia
ベビーカーの中の幼児が、倒れてきた街路樹に当たって死ぬ。
「どうしてこうなった」死んだ幼児の父親が新聞記者で~
- 強い風
- 義母との病院でのやりとりで帰り時間遅れる
- ベビーカーでバスに乗るのをためらい、風よけにサングラスをかけた母親
- 街路樹の健康診断の手抜き検査
- 造園業者、従業員の病的潔癖症
- その木の根元に犬の糞
- 病気(潔癖症)を同僚に知られたくないので、交代してくれと言えず
- 道路拡張で、どうせ近いうちに伐採される
- 症状が酷いのに気付きながら、病院行きを強く言えなかった妻
- 伐採作業ではないのに、造園業者(検査)を追い返した有閑マダムグループデモ
- 腰痛に甘えて犬の糞を拾うのをやめた老人
- 子どもたちにバカにされて犬の糞を拾うのをやめて放置した市役所職員
- 救急外来を断った近所の病院(アルバイト医師)
- 病弱だったので昼間の病院で長時間いるのを厭い、軽い風邪でも夜間救急を利用する大学生
- 運転が苦手で、車を路上に放置して自宅への車庫入れから逃げる女性~そして渋滞、救急車動けず~
あれだね、法的には事故の責任は造園業者で終わり。なにも間違いなし。ってか、そこまでの潔癖症と根腐れというあり得ないシチュエーションの組み合わせで起きた事故だから。
犬がいつも同じ場所で糞をしたがるというのは、何か根腐れの臭いと関係があったのかもね。だって、同じ場所で糞をする犬って少ないでしょ?それ以前にこの老人は部屋で犬を飼っているようなので、トイレの躾をしっかりすれば外ではしなくなるのに。トイプードルだったよね。ね。
で、被害者家族、家庭の生ごみをインターチェンジのごみ箱に捨てる行動が、どう関係してくるのだろうと期待して読んでいったんだけど・・・結局、「ああ、俺たちも彼らと同じだ」という気付きによるショックって、それだけかよ。まあ、それでいいんだろうけどもっとひどい事件の原因になっているんじゃないかと期待しちゃったじゃないか。十分面白かったけど。