ロイス・マクマスター・ビジョルドのヴォルコシガン・サガは、これで翻訳分を全部読んだはず。
このシリーズはどこから読んでも面白く、他の話しにつながる部分は説明がなくてもだいたいイメージできる表現で違和感なし。そして、その部分のエピソードを確認した時の満足感。
- 「戦士志願(1986)」 1991創元SF文庫
- 「自由軌道(1986)」 1991創元SF文庫
- 「親愛なるクローン(1989)」 1993創元SF文庫
- 「ヴォル・ゲーム(1990)」 1996創元SF文庫
- 「名誉のかけら(1986)」 1997創元SF文庫
マイルズの無茶な行動の理由。そのコンプレックスと急ぐ気持、そのために報われない努力。そして、なげやりな(?)その場しのぎの嘘の連続が~
「自由軌道」は直接ヴォルコシガンとは関係ないんだけど、ワームホーム・ネクサスの話で、マイルズもその子孫たちと出会うことになる。宇宙活動用の労働力として開発された種、人の頭脳と知性や感情を持つが、それは人格を認められない企業の資産か。作り出したものとはいえ、それは奴隷であって許されないものか。
記者をごまかすその場しのぎの嘘が本当になる「親愛なるクローン」
「ヴォル・ゲーム」は複数の登場人物が、意外な場所にいきなり出現するのに混乱する。でも、納得させられるのはすごいな。キャビロがいいよ、このキャラクター!またどこかで出てくればいいのに。死んでないよって。もうね、読書タイミングから「殉愛」のさくらさんを連想させたよ。
アラールよりもコーデリアの方が存在感あるよね。いやあ、中二的な正義感と行動・・・まあ、現実にはできないからフィクションで楽しいんだな。
「いいわけがあるとすれば、見せかけの未来の冷ややかな恐怖だけだ
ところが連中が防ごうとしている未来の犯罪は、想像上のものにすぎない
いっぽう彼らが現在犯していることは、現実のものなのだ」
シンタクリートなんていうコンクリートの系統みたいな建築資材、検索したらないじゃないか。ビジョルドはこういう創作上手いよね。
今度は作品内の時系列で通して読んでみたいものだ。
あ~、まあ、ノイタミナでやってくれないだろうか。なんて希望する。
うん、グロいシーンなんかもありながら、アメリカのハリウッド的なずれない安心感もあるし。