2010年11月21日（日） NHKニュース7
「容疑者Xの献身」東野圭吾 ２００５文芸春秋
『オール読物』2003年06月号～2005年01月号
うへ～、やられた～！これ大好き！
いきなり犯人が顔を出しているって！その殺害状況の描写がすぐにあるなんて。
読みながら後付アリバイに対して、「死体の推定死亡時刻と合っているのだろうか。警察がそれを受け入れているような態度がおかしい」なんてちょっと違和感を覚えながら読んでいくでしょ。
ちゃんと答えがあったんですね。そうか、そうだよね。その手があった。
だから、ホームレスたちの存在を書いていたんだね。
でも、そんな天才数学者の計算にもほころびがあった。
ガリレオ先生の存在はあってもなくても同じ結果になったかもしれない。
『自分たちのために親しくもない隣人が罪をかぶるなんて！』
母親は充分にずるくなっているから、一人だったら罪悪感を引きずりながら別の男と結婚なりなんなりしたかもしれない。
でも、娘はそれに耐えられる年齢（性格）ではなかった。
石神の愛ってすばらしい（ストーカーより怖い）よね。美しい（ねじれている）よね。
いや～、工藤って言う男の登場で、靖子への怒りと憎しみが生まれたのかと思ったのよ。それによって彼女が生涯後悔して罪悪感に苦しむような仕掛けをするのかと思ったわけだ。３通の手紙もそのために仕掛けかと思ったのだよ。まあ、そんな気持ちも少しはあったのではないかと読み終わった後でも思うわけだが、石神ってば結局彼女たちのために犠牲になる道（自らの歯車）を選んだわけだ。犠牲という意識もなかっただろう。自分はどこにいたって同じだから。頭の中に数学があればいいのだから。それは牢獄の中でもよかった。ただ、彼女たちが「ごっつぁんです」というような存在ではないということだけは、人付き合いの少なかった彼は気付くことができなかったんだね。
それに、庇うことは彼女たちが償う機会を奪うことでもあるんだよね。生涯罪悪感を背負っていかなければならなくなる。
うん、『レ・ミゼラブル』的な気持ちよさを感じた。
あと好きなエピソードは、再追試の時に答案用紙の裏に好きなことを書かせると言うもの。
『あっ、これって本来あるべき教育の入り口じゃないのか』って思えたのね。
ほぼ原作に忠実に作られたのかな。
指紋と警察機構（データ管理）で？？？
娘は？？？ここが一番いいのに。
