「獣の奏者Ⅳ 完結編」上橋菜穂子 2009講談社
Ⅲもそうだったけれど、「?」と思わるような書き方をしておいて、後からそこが問題点だと指摘して考えていく作品の作り方は、子供に読む力と考える力を与えるための上手い方法だと思う。自分で気付いた子供に満足感を与え、さらに深く考えるようになる。また、気付かなかった子供も、次からは気づく(考える)ようになるはずだ。
一番好きだったシーンは、ヨジョ(セイミヤ)が貴族を戦いの場に出ざるを得なくするシーンだな。
「ざまー!」って感じですっきりした。
鳩山さん(総理大臣)もこういう政策をやれば、支持率が落ちていかないのに。
で、Ⅳは「完結編」であって「解決編」だと思っていたのですが、なぜ闘蛇と王獣がああいった狂い方をするのかという疑問点を残してしまいましたね。
できればこの作品のファンの中にいる生物学者と薬物学者、脳科学者が協働して、そのシステムなんかを解析・解説してくれるとうれしいですね。たぶん、毒も行動も説明可能になると思います。
まあ、「人が狂わせてしまった結果、因果応報」でいいんですけどね。映像的にも迫力がありますし。(ハリウッドの3Dで作ってもいいよね)
あ、闘蛇と王獣を狂わせて町を攻撃するという戦法(ナウシカ参照)を使いたがる為政者が絶対出てくるので、これは・・・頭の中に続編を作り上げていくことができますぞ。『知』を広げるエリンの子孫はどちら側(たぶん両方)になるのか。
人間が安心して平和に暮らすには、闘蛇と王獣は滅びるしかないのか、それとも人間との平和的共存は可能なのか。
核問題みたいですね。
ついでだからアニメについて言えば、上橋菜穂子先生が監修に入ったことで、現場は逆に混乱して中途半端になったのではないかと疑うのです。たぶん、消化し切れなかったんだろう。
1クール×8作か、2クール×3作くらいで、それぞれ監督を替えて作ると言う方法もあっただろうな。