前回の続き…
池袋のお店で働いていた時のお客さんでハヤトと言うオナベが居た
彼は居酒屋でバイトしていて店長だけが元オンナである事を知っていた
胸は脂肪を抜き平らになっていてタイで子宮も摘出したそうだ
日サロでこれでもかと焼いた肌は不自然なくらい黒く
声もかなり低くなっていて
小柄だが一見すると渋谷あたりに居そうなチャラ男だ
ハヤトは自分のセクシャリティを母と姉にはカムアウト済みだ
「小さい頃から何となく気付いてたから」と特に驚かれる事もなかったらしい
問題は父親だ
ある日ハヤトは勇気を出して父親に恐る恐る切り出した
女に産んで貰ったけど、心は男であり、恋愛の対象は女である事を打ち明けた
仕事一筋で中々面と向かって話し合う事もなかった父はしばらくの沈黙のあと
ハヤトをじっと見据えて静かにこう言ったのだ
「すまない、お前の悩みに気付いてやれなくて…」
ハヤトは思いがけない父の優しい言葉に涙が止まらなかった
「アンタ、本当に素晴らしいお父さんで羨ましいわ
私達の時代は裏の納屋に監禁されるか勘当のどちらかよ」
齢70近い大御所、ミドリ姐さんがハンカチで目頭を押さえながらハヤトに諭す
「そんな立派な親御さんを泣かす様な事しちゃ駄目よ、しっかり親孝行するのよ」
薩摩生まれのミドリさんは故郷に歳老いた母を残したままだ
墓参りに帰る事さえままならず望郷の念にかられ
酔うとカラオケで地元の民謡を声を詰まらせながら唄う
♪花は霧島~煙草は国分~
今夜もミドリ姐さんの涙唄がガラガラの店内にこだまするのだった
池袋のお店で働いていた時のお客さんでハヤトと言うオナベが居た
彼は居酒屋でバイトしていて店長だけが元オンナである事を知っていた
胸は脂肪を抜き平らになっていてタイで子宮も摘出したそうだ
日サロでこれでもかと焼いた肌は不自然なくらい黒く
声もかなり低くなっていて
小柄だが一見すると渋谷あたりに居そうなチャラ男だ
ハヤトは自分のセクシャリティを母と姉にはカムアウト済みだ
「小さい頃から何となく気付いてたから」と特に驚かれる事もなかったらしい
問題は父親だ
ある日ハヤトは勇気を出して父親に恐る恐る切り出した
女に産んで貰ったけど、心は男であり、恋愛の対象は女である事を打ち明けた
仕事一筋で中々面と向かって話し合う事もなかった父はしばらくの沈黙のあと
ハヤトをじっと見据えて静かにこう言ったのだ
「すまない、お前の悩みに気付いてやれなくて…」
ハヤトは思いがけない父の優しい言葉に涙が止まらなかった
「アンタ、本当に素晴らしいお父さんで羨ましいわ
私達の時代は裏の納屋に監禁されるか勘当のどちらかよ」
齢70近い大御所、ミドリ姐さんがハンカチで目頭を押さえながらハヤトに諭す
「そんな立派な親御さんを泣かす様な事しちゃ駄目よ、しっかり親孝行するのよ」
薩摩生まれのミドリさんは故郷に歳老いた母を残したままだ
墓参りに帰る事さえままならず望郷の念にかられ
酔うとカラオケで地元の民謡を声を詰まらせながら唄う
♪花は霧島~煙草は国分~
今夜もミドリ姐さんの涙唄がガラガラの店内にこだまするのだった