雲の流れの様に

秋晴れの清々しい朝

雲は不吉にも放射線を描いてて

先日福島で起きた震度５強の余震を予感させていた

こんな爽やかな朝に水を差す事もないだろうに…


そう言えば昨夜遊びに来てくれたリュウゾウさん

彼は福島に出稼ぎに行っていて日々ハードな仕事に汗水たらしているのだ

たまの休みに戻って来ては当店に顔を出してくれる

仕事の辛さや人間関係に不満を漏らしながらも

年内いっぱいはその仕事に明け暮れなくてはならない

身体は大きいが心優しい彼は初来店の男性にも気さくに接してくれる

アルコール依存でしばらく酒を断っていたと言う男性

２年間辞めていたがまた解禁したらしく

前から気になっていたと言う当店のドアを勇気を出して押してくれた

言葉少なに話す過去の事

きっと酒がなくては居られない状況だったのだろう

オカマの下品な会話に時折見せる笑顔

その横で柳ジョージをハスキーな声で歌うリュウゾウさん

明日になればまたそれぞれの生活が待っていて

色んなドラマが展開されて行く


不吉な放射線を描いていた雲もいつしか散り散りになって行った

男性もリュウゾウさんも、その他のお客様も

つかの間の賑わいから覚めて家路に向かうのだった