おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

居るんだけど…

2011-11-02 16:19:48 | Weblog
酔っ払いのメイ子が来店

数日前に「赤霧島」が入ったので

ボーイのトシにメールさせておいたのだ

この夜も既に自宅の近所で飲んでいた様で

視線は定まらず呂律もまわっていない

いつもと同じ内容の話を繰り返す

喧嘩別れした恋人が彼女に謝ろうと追いかけてきたところ

事故死してしまったと言うのだ

その為メイ子は彼が死んだのは自分のせいだと

それ以来重い十字架を背負ったままなのである

どんなに彼女を慰めても罪の意識は消えなくて

酒が入ると益々その思いを強くする様だ


そんな話を何度も繰り返していた彼女がふと視線を隣にずらした

「あれっ、今ここに男の人が居たよね」

この日は暇で、その時間帯のゲストはメイ子一人

私とヒデミが彼女の話を聞いていた

「さっきまで此処で肘をついて

 私の話に頷いてた男の人が居たんだけど…」

私とヒデミには酔っ払いのメイ子しか視界には入っていない

「それでどんな男だったの?」

「歳は30歳くらいで坊主頭だったわ…」

特に思い当たるふしはないが気味が悪い

それでなくても最近色んな事があってビクビクしているのだ

「絶対に居たよね~?」

一歩も譲らないメイ子

「でもアタシ霊感はないの」

彼女の勘違いかもしれない


製氷機の中で氷が落ちる音がする

それにビクつくヒデミ

カウンターの中では冷蔵庫や製氷機など

何らかの音がするのだが

メイ子の話でキンタ○まで縮みあがった様だ

「それでさ~アタシやっぱり彼の事が頭から離れないの」

また話は元に戻った

関西にある彼のお墓にはもう十何年も通い続けているし

彼の母親からも赦しを得ているのに

どんどんと自分を追い込んで行くメイ子

私たちが慰めれば慰めるほど罪の意識を重くする


その時だ

メイ子の視線が今度はカウンター入り口に走った

「其処で若い男がシェイカー振ってるんだけど」

ボーイのトシは居ない

相変わらず店内には3人だけだ…


もう勘弁して!!!









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