心霊写真？①

水曜日の事だった

祝日明けで客足は伸びなかったが

こんな日にお見えになるお客様は特にありがたい

アニメイターのＹちゃんもそんな１人だった

１０年ぶりに元仕事仲間２人と内輪同窓会をした帰りに覗いてくれた


片や誰でも知っているコンピュータ会社にヘッドハンティングされ

家庭を持つＡ氏

もう１人はバーチャルアイドルの作り手で

近く会社を興そうとしているＢ氏

結婚など頭になく、とにかく仕事一筋

酒が進むにつれ、Ｙちゃんを挟んで互いを挑発

Ａ氏はコンピュータの世界に心惹かれてスカウトに応じたのに

その会社の現在の主力は携帯端末だ

モチベーションが下がる日々を愚痴る

しかし家庭は円満で端から見ても幸せそうだとか

そんなＡ氏をＢ氏は悪魔に魂を売った裏切り者扱い

「あの頃の熱い志は何処へ行ったんだ！」と罵る

しかしその裏には温かい家庭に恵まれて

マイホームパパを満喫しているＡ氏へのジェラシーもあるのではと

Ｙちゃんは裏読みした

「そんな感じでさ～

　ちょっと面倒臭かったけど楽しかったよ」

２人の間に挟まれて居酒屋～ガールズバーをハシゴしたらしいが

どうも酔う機会を逃したらしく

この日のＹちゃんはまともだった


「ところでさ～」

バッテリーの蓋が取れたケータイを取り出して

「心霊写真が撮れたんだよ」

「え、え～！！！」

それでなくても当店はカウンターの水周りに地縛霊の影が見えると

幾人かのお客様から指摘されている

それに此処ではあまり詳しくは言えないが

アレやコレやで御祓いして貰った方が良いらしい

店内の空気が一気に変わった様な気がした


Ｙちゃんは後輩のＫちゃんにフィギュアをプレゼントするため

毎日少しずつ作ってはその過程を写メっている

ところがある日フィギュアを撮った何枚かがピンボケになり

頭部を撮ったものに其処にはなかったモノが写り込んでいた

「見る？」

時間は丑三つ時だった様に思う

先程まで近所の居酒屋のママさんに飲まされてたヒデミも

彼女たちを見送った後こちらのテーブルにやって来た

Ｙちゃんはケータイのデータフォルダを開け

フィギュアの写メを私たちに見せ始めた

続きは次回ね…