おかえりなさい

昨夜一番乗りで現れたのはＫちゃんだった

２ヶ月ぶりくらいの来店だろうか

仕事の影響で真っ黒に日焼けしている

会社から福島に近い茨城の小さな町に出張を命ぜられた時は

随分と不満タラタラだったＫちゃん

一度東京に戻って来た時に立ち寄ってくれたが

無精髭を生やし疲労困憊で会話はわずか３０分、後はソファーで眠っていた


出張先の宿はビジネスホテル

周囲にはコンビニとすき屋しかないと言う

最寄駅まで行けば飲み屋もあるのだろうが

夜８時には真っ暗になる町で夜遅くまで飲みたいとは思わなかったらしい

休みの日には宿から５分の小さなビーチで

海を眺めながらビールを飲んでたとか

そんな退屈な場所で任務を終えて

昨夜は土産話を持って当店を訪ねてくれたのだ

彼の後には飲み友達のクマちゃんが合流し

久々の盃を酌み交わしていた

Ｋちゃんが、またこの町で

馴染みの飲み友達らと深酒できる喜びを噛み締めているのは

誰の目にも明らかだった