警鐘

時間を読み間違えて出掛けに大慌て

焦る気持ちを落ち着かせてバス停に走る

いつもなら待たされる所だが、今日だけは私の味方になってくれた

涼しくなったので車内のエアコンなど期待もしてなかった

シャワーを浴びた後、慌てて部屋を出て走ったのだ

首筋にうっすらと汗をかいている

バスの中でうちわは恥ずかしいなと思いながら乗り込むと

程よくクーラーが効いているのだ

お誂え向きではないか

しかもバスは渋滞する事もなくスムーズに駅前に到着した

しかし定期が切れてるので券売機で乗車券を買わなくてはならない

北口にはたった４台の券売機しかない

案の定列が出来ている

定期を作っている女性が居てモタついている

隣の列が運よく空いたので移動

ここでも時短で切符をゲット

何だか良い事でも起きる前兆なのかしら

ホームに上って電車を待っていると

私の斜め前に立っていた若い女性が

鞄からリップクリームを取り出して唇に塗っている

もう、そう言う季節なのよね…と思っていたら

彼女の指からリップクリームが線路に落ちてしまったのだ

どうするのかと思ったら近くの駅員に何かを言っている

落としたリップクリームを取って貰う様にお願いしたのだろうか

私の乗る電車が到着して窓から彼女の様子を見ていたら

電車は動き出してしまった

あの光景は今日これまでの小さなラッキーに浮かれちゃいかんと

警鐘を促しているのかも

気を引き締めた私なのだった