おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

リツコ姐さん②

2009-02-17 15:33:59 | Weblog
昨日の続き…

信頼厚い大御所のリツコさんと

ママのバトル

いつもの様に酔ったママがカラんだら

今夜だけはリツコさんも堪忍袋の緒が切れたようだ


「ちょっとアンタ!いつもいつも

 私に甘えてんじゃないわよ!!」

2人は古くからの付き合いで

リツコさんも以前は店を構えていた

さらに同じ日舞の名取で歳も近い

何かと比較されがちだが

穏やかで情の深いリツコさんは

全てにおいてママより勝っていた

日頃からママにはそれが気に入らなかったのかもしれない

「アンタが行く所がないって言うから

 置いてあげてんじゃないのよ!

 その言い草は何なのよ!!」

鬼の形相のママ

「よく言うわよ!アンタこそ

 人手が足りないからどうしても手伝ってと

 頼むから来てあげてるんじゃないの

 いつもいつも酔うと私にカラんで

 どうかしてるわよ!!!」

最早、周りの目など関係ない

他のスタッフは恐ろしくて言葉も挟めない

ひたすらメイクを落として帰り支度を急ぐだけだ


その時、店内にバシッと言う音が響いた

ママがリツコさんの頬をぶったのだ

「手を出すのね!いいわ

 殴りたければ好きなだけ殴りなさいよ!!」

さすがに暴力はマズイと誰かが止めに入った

しかしリツコさんは、そのオカマにも気を遣う

「ありがとう、大丈夫よ

 それよりも早く帰りなさい

 私の風邪がうつったかもしれないから

 うがいと手洗い忘れずにね」

余裕と優しい心遣いはこんな所にも顔を出す

ママはそれを見てさらに激昂した

「アンタのそう言う点数稼ぎが気に入らないのよ!

 いつも弁当とか持って来たりして

 皆だって迷惑よ!」

「悪かったわよ!アンタにだけ作らなくて!!」

私たちはリツコ姐さんが作って来てくれる

おにぎりや料理が大好きでいつも楽しみにしている

ママにも「一緒に食べない?」と必ず

声をかけるリツコさんだが

プイと横を向いたママは狭い楽屋でシャケ弁とかを食べている

客のいないフロアの隅で「美味しいわ!お姐さんの料理最高だわ」

とオカマが絶賛するのもママには耳障りだったのだろう


ママはリツコさんの髪の毛を掴んでいる

ヅラなので簡単に取れてしまった

「もう明日から来なくて良いわ!」

何と酔った勢いでカラんだ挙句に

クビにしてしまったのだ

「私だって、もうコリゴリよ!」

そう言ってリツコさんは羽二重のまま

自転車に乗って帰ってしまった


翌日ママが私に聞いた

「ねえリツコはもう来ないかしら?

 あの女もあんなに怒らなくても良いじゃない

 ちょっとエドナからさり気なく電話してみてよ」

ホントにママの勝手な言い草には呆れた

勿論リツコさんが店に帰ってくる事はなかった





コメント
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