リッスン・トゥ・ハー

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ジャイアントパンダのターン

2011-02-22 | リッスン・トゥ・ハー
「おんどりゃ」

「ジャイアントパンダじゃ!」

「われなめとったらいてこますど」

「すいません、なめてません」

「そんなら笹ださんかい」

「もってません」

「なんでもってへんのや」

「普通持ってませんよ笹なんて」

「うそつけ!じゃあたべもんはどうするんじゃい」

「デニーズがあります」

「デニーズ?」

「ファミリーレストランチェーンです」

「あのデニーズか?」

「あのデニーズです」

「われ、あのデニーズにひとりで入れるんか?」

「入ります」

「わしを連れて行かんかい」

「デニーズにですか?」

「そうや、デニーズで笹を山ほど食うんや」

「デニーズに笹はたぶんありませんよ」

「なんでや!なんでデニーズに笹がないんや!」

「需要がないからです」

「需要?」

「パンダさんはほとんど来店しないからです」

「そうなんか」

「そうです」

「それやったらオマエが持っとる笹をださんかい」

「だから持ってないですって」

「ほんならジャンプしてみい」

「ジャンプですか、はい、かさかさかさ」

「かさかさ鳴っとるやないか」

「これ、笹じゃありません、枝です」

「なんで枝を持っとんや」

「家を造るのためです」

「もしやビーバーさんですか?」

「どうもビーバーです」

「それは失礼しました」

「いえいえ、ごきげんよう」

「ごきげんよう」

西部ザウィヤにも広がっスイス

2011-02-22 | リッスン・トゥ・ハー
「広がっていくね」

「意外と広がりましたね」

「こぼれたミルク」

「床に散らばったゼリービーンズ」

「ふたつはまざりあって」

「ミルクビーンズになった」

「机や椅子やミルクポットらみんなから祝福もされて」

「幸せだった」

「一転して悲劇の始まり」

「ミルクが乾いてきた」

「夏場で、温度が高く、ここは乾燥地帯だった」

「からからに乾いてしまう」

「ビーンズはひとりになってしまう」

「ビーンズはそれほど悲観していなかったよ」

「どうして?」

「ミルクは乾いてしまったけれど」

「見る影もない」

「ミルクの匂いはしっかりと残っていたからね」

「ミルクの匂いは3代続くというからね」

「ビーンズはミルクの匂いをまとって歩いた」

「彷徨っていたの?」

「この砂漠を超えなければならない」

「どうして?」

「クリスマスに間に合わないじゃないか」

「ビーンズはクリスマスのために作られたんだ」

「ビーンズは来る日も来る日も歩いたよ」

「ミルクの匂いをまとって」

「やがてたどり着いた雪国で」

「すごく歩いたんだね」

「ビーンズは或る家に入る」

「その家と契約してたのかな?」

「家の人は言ったよ」

「くさ!」

「ビーンズは砂漠に戻ることにした」

「あわれだね」

「ミルクの呪いだとつぶやきながらね」

「愛情薄!」