リッスン・トゥ・ハー

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TOUBEN

2010-11-22 | リッスン・トゥ・ハー
「以上であります」

「ちょっと待ってください、全く答えになってないじゃないですか」

「そういわれましても」

「もっとはっきりと認めてください」

「しかし、今の段階では正直何とも言えないというのが答えです」

「それはつまり責任放棄ということですか?」

「ちがいます、現在、調査中です。わかればちゃんと説明します」

「いつになるんですか、いったいいつになるかぐらい言ってください」

「そういわれましても、わたしが調査しているわけではありませんので、答えようがありません」

「それはリーダーとして失格と言えるんじゃないですか」

「じゃあ、あんたがやればいい!」

「逆ギレというやつですか、まったくこんなことを言っているようでは先細りでしょう」

「まったく好きなことを好きなだけ言いやがって、もう怒ったぞ!」

「なんですか、警備員、ちょっとあの人おかしいよ、注意して!」

「このやろう、俺の強さを見せてやる!」

「おいおい、こんな場所に、なんで包丁もってんの?」

「もう、俺は止らない、俺を怒らせたことを後悔させてやる!」

「ちょっと、なんで、警備員こないの、警察は!包丁もってこっちきてるんだから、あれもう逮捕でしょ」

「誰も動かないよ」

「なんで」

「全員俺が男爵じゃがいもにすり替えておいたからね」

「なんだと?そういえば、どうりで土臭いと思ったんだ」

「自分の緊張をほぐすためにじゃがいもと思いすぎて、まさか本物の男爵じゃがいもだとは思わなかっただろう」

「そんな馬鹿な」

「つまり、ここには俺とオマエしかいない」

「お前、狙ってたな?」

「そうとも、すべてオマエを陥れるための罠よ」

「罠か、ふはははははは!」

「恐怖で気でも狂ったか」

「罠にはまったのはお前の方さ」

「何を言っている?」

「よく見てみろ、このじゃがいもたちを!」

「なんだ、この俺が用意した男爵じゃがいもがなんなん、なに!」

「そう、これはオマエが用意したじゃがいもではない」

「いったいどういうわけだ?」

「これは俺が用意したメークイーンじゃがいもだ!」

「なんだと!」

「オマエが男爵じゃがいもにすり替える何ざ、ちゃんと予想していたのだ」

「しまった!」

「さあどうする、オマエの仲間ではないメークイーンじゃがいもに囲まれているぜ」

「もうだめだ、何もできない!動けない!」

「まだまだ甘いぜベイベ、出直してきな」

「ちきしょー!」

私は会議に出席したい、ぜひとも水中でしてくれ

2010-11-22 | リッスン・トゥ・ハー
議長!私に発言させてください。ぜひとも、私に。先ほどから黙っていれば、好きなことをあれやこれやと腹が立っています。私がこうして変装して客席に混じっていることも知らないで。私は非常に腹が立っているのです。もう許しませんよ。私は思い切り飛び跳ねます。ところ構わず飛び跳ねて、いろんな人に迷惑をかけます。本来私はそんなことをしたくはない。本来私は静かに泳いで暮らしたい、それは理解ください。しかし、ここまで侮辱されて、黙っていてはマグロが廃ります。マグロも立ち上がらなければならないのです。マグロは偉大なのです。どこまでも誇り高き存在なのです。立ち上がったマグロを見てください。この堂々たる肉体を、凛と光った肉体を、でれでれと垂れていく粘液を、どっちつかずで空を彷徨っている瞳を。この世でここまでも美しい生き物はいない。さあ、議長!私は非常に腹を立てています。もう、今にも飛び跳ねん勢いです。見てくれましたか、いいでしょう、そんなによだれを垂らしているのなら、すべてがおわったあとに試食してもらってもかまいません。今日は腕のいいなじみの板前を呼んでいます。おーい、はいってきて。タカシといいます。この道で20年働いています。私の魅力を最大限に引き出してくれるでしょう。こんなにもお膳立てしているわけです。私の覚悟を理解していただけましたか?私の要求することはシンプルです。引き揚げられたマグロの待遇改善です。引き揚げられフネの上でぴちぴちしているマグロをすぐに処理すること。苦しませないように職人の手で。それだけです。さあタカシ、苦しくなってきた。そろそろやってくれるかい?