リッスン・トゥ・ハー

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私は会議に出席したい、ぜひとも水中でしてくれ

2010-11-22 | リッスン・トゥ・ハー
議長!私に発言させてください。ぜひとも、私に。先ほどから黙っていれば、好きなことをあれやこれやと腹が立っています。私がこうして変装して客席に混じっていることも知らないで。私は非常に腹が立っているのです。もう許しませんよ。私は思い切り飛び跳ねます。ところ構わず飛び跳ねて、いろんな人に迷惑をかけます。本来私はそんなことをしたくはない。本来私は静かに泳いで暮らしたい、それは理解ください。しかし、ここまで侮辱されて、黙っていてはマグロが廃ります。マグロも立ち上がらなければならないのです。マグロは偉大なのです。どこまでも誇り高き存在なのです。立ち上がったマグロを見てください。この堂々たる肉体を、凛と光った肉体を、でれでれと垂れていく粘液を、どっちつかずで空を彷徨っている瞳を。この世でここまでも美しい生き物はいない。さあ、議長!私は非常に腹を立てています。もう、今にも飛び跳ねん勢いです。見てくれましたか、いいでしょう、そんなによだれを垂らしているのなら、すべてがおわったあとに試食してもらってもかまいません。今日は腕のいいなじみの板前を呼んでいます。おーい、はいってきて。タカシといいます。この道で20年働いています。私の魅力を最大限に引き出してくれるでしょう。こんなにもお膳立てしているわけです。私の覚悟を理解していただけましたか?私の要求することはシンプルです。引き揚げられたマグロの待遇改善です。引き揚げられフネの上でぴちぴちしているマグロをすぐに処理すること。苦しませないように職人の手で。それだけです。さあタカシ、苦しくなってきた。そろそろやってくれるかい?


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