夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

金に汚い人ばかり

2010年06月10日 | 社会問題
●民主党の荒井大臣の事務所問題
 まあ、よくもぬけぬけと問題は無い、などと言えたもんだ。家賃も払っていない事務所代は切手代などだとか。でも通信費は使っても使わなくても多額の金が別に支給されているはず。衆議院議員会館で使った備品のリース代なども大層な金額になっているが、そんなに高額でたくさんの備品を使っていたのか。
 なにしろ、議員でなくなった期間もそれらの費用は支払われていたのだから、真っ赤な嘘だと誰にでも分かる。
 もしも我々がこのような収支報告で税務申告をしたら、とたんに調査が入り、追徴金を取られたりする事、間違い無し。身内から「罪人」を出したくない気持は分からなくはないが、下手な保身は党の身を誤る。謝って済む問題ではないだろう。
 私はごくごく零細な有限会社を経営しているが、ここの所、とんと仕事が無い。それでもきちんと税務申告をしている。法人税はもちろん0だが、東京都からの住民税がかかって来る。それは最低7万円。年間の総売上が100万円にも届かないのに年間7万円もの税金は払えない。以前は分割にしてもらって支払っていたが、あまりにも不合理なので、休業届けを出した。
 それに比べて、議員ともなると、年に何千万円もの金が無税で自由になる。
 荒井氏の問題はどんな言い訳をしたって、通るはずがない。それを問題は無い、などと周囲が言い張れば、その周囲もみんな同罪である。

●1億円以上の役員報酬開示
 金融庁が年間1億円以上報酬をもらっている企業の役員の報酬開示を義務づけた。そうした報告をする義務の発生する企業は日本中で100社くらいにしかならないと言うが、それでも経営側からは不満の声が挙がる。曰く、個人情報が守れない、欧米企業に比べて一人当たりの報酬額が少ない、単なる金額を見て社会的な批判や格差的な感覚が出る、などなど。
 それでもこれは上場企業に限られるようだから、決して全面的な開示とはならない。上場していない大企業は決して少なくはない。
 税務署の外の掲示板には管内の多額納税者が明示されている。それは個人情報ではないと言うのか。欧米企業に比べて、と言うが、それでは、欧米企業を規準として社員の賃金などを決めていると言うのか。単なる金額を見て、と言うが、年間1億円以上の報酬が「単なる金額」だと言えるのか。それが格差的な問題ではない、と言い切れるのか。
 これに対しての亀井大臣の発言が素晴らしい。「企業は社会的存在だ。たくさんもらっている人は、良い仕事をしていると胸を張ればいい」。
 そうなのである。企業は大勢の庶民によって支えられているのである。それをすっかり忘れているらしい。自分自身の能力だけでもうけているように錯覚しているらしい。多分、良い仕事もしていないでたくさんもらっているから、それが分かっては困るのだろう。
 市場関係者の「企業の業績に見合った報酬かどうか点検でき、株主保護につながる」との意見も一部真実を突いている。株主保護の面からではなく、本当は消費者保護の面から考えるべきだろうが、発言者が市場関係者だから仕方がない。
 私が読んでいるのは読売新聞だが、そこにはこうした企業側や市場側からの考えしか無い。それに「欧米で金額を開示の条件にしている国はなく、日本の措置は異例だ」との同紙の見解には問題がある。これは企業側が「1億円以上とする根拠がよく分からない」と反発している事に対する見解である。だから、まるで1億円以上と決めたのが悪い事のように思えてしまうではないか。同紙はちゃんと欧米での役員報酬の開示ルールを表にして示している。
 最高経営責任者、最高財務責任者、報酬上位3人を開示……米国、カナダ
 全員開示……英国、ドイツ、フランスなど
 最高経営責任者のみ開示……フィンランド、スウェーデンなど

 欧米の報酬がどれくらいなのかは知らないが、「全員開示」などは、欧米の方がもっとずっと厳しいではないか。いずれにしても、ここには庶民の目はまるで存在していないようにしか私には思えない。そう、新聞社も「大企業」だものね。
 世の中の多くの人々が金が無くて困っていると言うのに、何ともあっけらかんとした人々である。