千艸の小部屋

四季折々の自然、生活の思いを、時には詩や創作を織り交ぜながら綴りたい。

桜咲く  Ⅱ

2014年04月27日 | 日記

 お松の池





 悲しい伝説がある《お松の池》は、ようやく春を迎え、ひっそりと佇んでいた。
 森、残雪、池の青、桜の花が水面に映し出されて、その美しさに陶酔する。








 昔々、雪深いこの村に、雪の降らないあたたかいところから嫁いできた女がいた。雪国の女は、機織りをして暮らしを助けなければならなかった。姑は村で一番の機織り上手。嫁に厳しく指導をした。嫁は一生懸命に織ったが、姑の気に入る機を織ることができなかった。何年かたって、嫁は精魂込めて織り上げたが、次第に心身ともに疲れ果て、姑の留守中に池に身投げした。

 後に、それが立派な織物に仕上がっていたことを認められ、村人は嫁の名を取り、「お松の池」と呼ぶようになった。
 織神様として、松尾神社に祀ったと伝えられている。













 八箇(峠)トンネル




 トンネルを越えた空き地でコゴミを探したが、山道は雪に阻まれていた。対岸の陽当たりのいい斜面に生えていたが、まだ早い。雪消えを待つしかない。




 空き地で、フキノトウを少し摘む。

 違う山に移動して採取したものが、フキノトウ、ミヤマイラクサ、葉ワサビ、つくし・・・

 フキノトウのキンピラ




 茎が長いものは薹を捨てる。
 丁寧に水洗いをし、塩を加え沸騰させた湯にフキノトウを入れ、一煮立ちさせる。冷水にしばらく浸けてあく抜きをする。塩、湯が少ないと色変わりするので要注意。
 水を切り、好みの長さにして炒める。
 サラダオイル、料理酒、味醂、だし。

 ミヤマイラクサのバターソテー




 (別名アイコ)
 丈が30センチくらいの、今どきしか食べられない。
 茎にトゲがあるので要注意。葉っぱは捨てる。
 茹でて、冷水に浸けあく抜きをする。
 バターで炒めながら、醤油少々を加えて出来上がり。

 葉(花)ワサビのお浸し




 葉(花)ワサビをよく洗い、切ったワサビをザルごと熱湯をかけながらガサガサ潜らす。何度も繰り返しているうちに辛みが生じてくる。それを密閉容器に入れて、砂糖、醤油を適量入れて一、二時間置く。ほどよい辛みと香りが出てくる。

 つくしの甘酢漬け




 初めての挑戦!
 先端の胞子が開いた状態のものは、茎が堅くなっているので、できるだけつぼみ状のものを摘む。
 ゴミを除いてハカマを取り、冷水でよく洗う。たっぷりの熱湯に酢を加え、つくしを入れてさっと下ゆでをする。すぐざるに上げ、水けをきって冷ましておく。
 甘酢は好みがあるが、酢、砂糖、塩少々を鍋で一煮立ちさせたら冷ましておく。
 つくしを甘酢につける。つくしが常に甘酢に浸かっている状態にしておくこと。一晩で食べられるが、冷蔵庫で一年くらい保存できるそうだ。その際は、煮沸消毒をした保存瓶に入れること。

 お酒を飲みながらでもいい。
 ご飯とも合う我が家の山菜料理は、
 これからが本番を迎える。


桜咲く  Ⅰ

2014年04月20日 | 日記

 桜の花びらがひとつ・・・
 桜の花びらがふたつ・・・
 重たげにふくらんでいた蕾がようやく開花・・・



「いたかい」
 軽いノック一つで声をかけて入って来る。
「あら、Mさん」
 階段を下りかけた私は、どうぞ、と言う前に、風呂から上がった夫を確認する。
 まだ裸だ。
「Mさんが来たよ」
「お~い!上がって~」
「いっぱいやろそう」
「いいね~」
「ちっと買い物に行って来るすけ~」
 お互いの顔もろくに見ないままで、Mさんは姿を消す。缶ビールと缶詰を買ってくるのだ。いつものことだ。
 夫は着替えながら、「今日はMといっぱい飲むか」と、気分よさそうだ。昼間は友人と六万騎山に登ったので少々疲労している。

 Mさんが来る前に入浴をする。

「azumiはどうした」
 Mさんの声が聞こえた。
 私は、髪をドライヤーで乾かすので時間がかかる。
 又しても、「azumiはどうした」の声が聞こえる。
 同じ事を何度も繰り返す。家で飲酒してきたようだ。

「はい、こんばんは」
 戸を開けて挨拶。
「おお~っ、azumi悪かったな。しょっちゅう来て」
 酔った顔が上気して、ニコニコ顔だ。
「悪くないよ。来てくれてありがとう」
 そう言ったら、相好を崩して、破顔一笑ならぬ大爆笑になった。
 酔っているから布袋様そっくりだ。

 ウォーキングの行き帰りに、自宅の庭にいるMさんによく声をかけられる。
 いつも笑顔だ。ちょっと前までは、雪片付けをしていた。うさぎ二匹といっしょだったりする。
 Mさんとは親がいとこ、私はまたいとこの間柄。双方に、いとこがいたり、血のつながりが濃い。

 夫が、
「Mに、ニコニコ話しかけられるので、立ち止まって話しをしたくなると、うちのお母さんも言っているよ」と。

 この地域では、同級生や親しい人を、さん、づけでは呼ばない習わしがある。
 最初、夫は戸惑った。
 自分の妻を軽々しく、「azumi」と呼ぶとは何事だ、と。

 私は、「M~」ではなく、「Mさん」と呼ぶ。
 同級生でも、誰でも(どなたでも)同じだ。

「昔、azumiがうちのお父さんと友達になれそう、と言ったことがあったども、なあ、azumiおまえの勘は当たったな」
「よかったね。いい友達になれて」
 その日の夕食は親子丼と、マイカップ一杯の赤ワイン。Mさんがいたので、少し酔ったのだろうか。何か、人生論を口にした。今、覚えていない。

 Mさんが言う。
「azumi、学校の先生になっていればよかったな」
 夫も、
「なるなら、小学校低学年の先生だよ。高学年は駄目、はり倒されちゃうよ」。

 みんな、酔って好き勝手なことを言う。
 ええ!
 ええ!
 私は、夢ばかり見てきただけのつまらない人間です。
 向上心があればよかったのに! 
 今となっては、後の祭りです。

 ちなみに、集会所の桜が満開になったら、茣蓙を敷いて二人で花見をするそうだ。
「次々といろんな人が集まって、楽しい花見会ができるぞ!!」

 いいな~。






 エンレイソウ(ユリ科)





 イカリソウ(メギ科)





 ムスカリ(ヒアシンス科ムスカリ属)





 たけのこの若竹煮




 娘婿の父上から旬の筍が届いた。
 筍ご飯にしたり、掘ったばかりの若い美味しい筍だった。





花開く妖精たち

2014年04月14日 | 日記


 4月10日

 庭の花

 カタクリ(ユリ科)



 キクザキイチゲ(キンポウゲ科)



 ショウジョウバカマ(ユリ科)




 >昨日は長女の幼稚園の入園式でした。
 さすが、二番目。教室でもハキハキして先生の質問にも答えられ、違うお友達の名前の時に大きな声でお返事して、自分の名前を呼ばれた時は上の空(教室内爆笑)
 だけど、グダグダだった長男の入園当初を思えば安心、安心♪

 と、思ったら、今日のお向かえでは涙の跡・・・しかも「嘘泣き」と言って認めない笑いでした。
 こんな面白い子のママになれて幸せです(*^_^*)
 これからの園での生活も期待してま~す。  (娘からのメール)







 これを聞いた夫が、長女の卒園式で、長女の名前を呼ばれたら、「はい」と返事をした次女が、後ろに並んだという話しにそっくりだな、と言った。相づちを打つも覚えていない。記憶が抜けている。そんなことあったっけ。
 翌日、もう一度聞いた。人から聞いた話を思い出した。皆が爆笑したって。
 少し安心した。
 親の会で、卒園式の挨拶をしなければならず、緊張感でいっぱいだったのだ。 娘たちが親になり、遠い日のことになった。

 二年生になる少し前、
ガール・スカウトに入団した関東の孫。








 昨年夏、サマーキャンプに参加している。楽しかったようだ。

 ときめきの春! 胸ふくらんで羽ばたく春!
 花開く妖精たちの言葉がふさわしい。

 庭のスプリング・エフェメラルは、「春植物」「春の妖精」とも呼ばれている。
 春先に花をつけ、夏まで葉をつけると、あとは地下で過ごす。
 ショウジョウバカマは例外的で、葉は冬でも雪の下で常緑である。

 四月十四日

 ショウジョウバカマ






 球根が増えている。
 数えたら、十株以上あった。

 キクザキイチゲ




 カタクリ





 我が家の可愛い妖精たちは、どんな笑顔で来てくれるのだろう。
 楽しみに待っていよう。




追憶

2014年04月06日 | 日記


雨 ただ 雨 雨
灰色の空のどこかで
かすかな春雷の音
自然たちが
息吹くための
命をふりそそぐ雨
春雷は
自然たちへの
励ましの太鼓か
人たちへの警告なのか


雨 ただ 雨 雨
途切れた記憶の断片が
心をよぎる
闇夜の
雨の激しさと
雨をさけて
軒下にたたずむ
君の長い影が 
心の中の一枚の絵のように

こんな
冷たい雨の日によみがえる
雨 ただ 雨 雨
                     (azumi)



いつも、車を止めて写真を撮りたくなる場所。
 魚野川がしなやかにうねり、季節の移ろいを感じるこの場所。
 美佐島(坂戸山)トンネルの近くでは、ダンプカーや除雪車が、土手に雪を積み上げる作業に追われている。
 川の水嵩は多く、山土も押し流されてきた褐色の川。
 雪解けの川。
 大地に緑が芽吹くのも近い。




 2010・7・4
 池田記念美術館 ロスワイラス・コンサート





 この日、なつかしい人たちと再会があった。
 先回、絵画展に来てくれた友人たちもそうだったし、Kさん父娘とも会えた。
  翌年、Kさんの訃報を耳にした。Kさんと親しかった友人に頼まれて、書いたのが、「創作 雲の合間」だった。
 空想家の私ではあるが、筆力がない。国語の基礎、文法は皆無に等しい。漢字においては、言わずもがなである。

 物語は、つくりもの、創作である。
 この地に生まれ、芸術家として情熱的に生きるも、夢半ばにして、心と身体を蝕まれ世を去った男と、彼の最期を看取った女性の物語とした。

 結局、思うように書けなかった。

 「千艸の小部屋」を、ネット検索した。

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 本当は、人気記事でもなんでもない。しょっちゅう変動しているのだ。
 「創作 雲の合間」があったのが恥ずかしかった。

 創作は難しい。
 季節の躍動感を伝える使者でいたほうがいい。

 オオイヌノフグリ(ゴマノハグサ科 クワガタソウ属)
        花言葉(清らか 信頼 神聖 忠実)



 春の訪れを感じる野草。
 小さな、小さな花。コバルト色。
 こんな花にも胸がときめく。
 名前が可愛いのだ。

 冷たい雨、のち、雪、そして、雨である。