千艸の小部屋

四季折々の自然、生活の思いを、時には詩や創作を織り交ぜながら綴りたい。

桜咲く  Ⅰ

2014年04月20日 | 日記

 桜の花びらがひとつ・・・
 桜の花びらがふたつ・・・
 重たげにふくらんでいた蕾がようやく開花・・・



「いたかい」
 軽いノック一つで声をかけて入って来る。
「あら、Mさん」
 階段を下りかけた私は、どうぞ、と言う前に、風呂から上がった夫を確認する。
 まだ裸だ。
「Mさんが来たよ」
「お~い!上がって~」
「いっぱいやろそう」
「いいね~」
「ちっと買い物に行って来るすけ~」
 お互いの顔もろくに見ないままで、Mさんは姿を消す。缶ビールと缶詰を買ってくるのだ。いつものことだ。
 夫は着替えながら、「今日はMといっぱい飲むか」と、気分よさそうだ。昼間は友人と六万騎山に登ったので少々疲労している。

 Mさんが来る前に入浴をする。

「azumiはどうした」
 Mさんの声が聞こえた。
 私は、髪をドライヤーで乾かすので時間がかかる。
 又しても、「azumiはどうした」の声が聞こえる。
 同じ事を何度も繰り返す。家で飲酒してきたようだ。

「はい、こんばんは」
 戸を開けて挨拶。
「おお~っ、azumi悪かったな。しょっちゅう来て」
 酔った顔が上気して、ニコニコ顔だ。
「悪くないよ。来てくれてありがとう」
 そう言ったら、相好を崩して、破顔一笑ならぬ大爆笑になった。
 酔っているから布袋様そっくりだ。

 ウォーキングの行き帰りに、自宅の庭にいるMさんによく声をかけられる。
 いつも笑顔だ。ちょっと前までは、雪片付けをしていた。うさぎ二匹といっしょだったりする。
 Mさんとは親がいとこ、私はまたいとこの間柄。双方に、いとこがいたり、血のつながりが濃い。

 夫が、
「Mに、ニコニコ話しかけられるので、立ち止まって話しをしたくなると、うちのお母さんも言っているよ」と。

 この地域では、同級生や親しい人を、さん、づけでは呼ばない習わしがある。
 最初、夫は戸惑った。
 自分の妻を軽々しく、「azumi」と呼ぶとは何事だ、と。

 私は、「M~」ではなく、「Mさん」と呼ぶ。
 同級生でも、誰でも(どなたでも)同じだ。

「昔、azumiがうちのお父さんと友達になれそう、と言ったことがあったども、なあ、azumiおまえの勘は当たったな」
「よかったね。いい友達になれて」
 その日の夕食は親子丼と、マイカップ一杯の赤ワイン。Mさんがいたので、少し酔ったのだろうか。何か、人生論を口にした。今、覚えていない。

 Mさんが言う。
「azumi、学校の先生になっていればよかったな」
 夫も、
「なるなら、小学校低学年の先生だよ。高学年は駄目、はり倒されちゃうよ」。

 みんな、酔って好き勝手なことを言う。
 ええ!
 ええ!
 私は、夢ばかり見てきただけのつまらない人間です。
 向上心があればよかったのに! 
 今となっては、後の祭りです。

 ちなみに、集会所の桜が満開になったら、茣蓙を敷いて二人で花見をするそうだ。
「次々といろんな人が集まって、楽しい花見会ができるぞ!!」

 いいな~。






 エンレイソウ(ユリ科)





 イカリソウ(メギ科)





 ムスカリ(ヒアシンス科ムスカリ属)





 たけのこの若竹煮




 娘婿の父上から旬の筍が届いた。
 筍ご飯にしたり、掘ったばかりの若い美味しい筍だった。