千艸の小部屋

四季折々の自然、生活の思いを、時には詩や創作を織り交ぜながら綴りたい。

樅の木は残って

2015年10月26日 | 日記

 南側の川縁に、一本の樅の木・・・
 生前、父が植樹祭でいただいてきた苗木である。
 何十年かが過ぎ、大樹となった。
 夏は日よけの役目をこなし、残りの季節は陽を遮り、先年やむなく上部と枝を伐採した。
 伐られてもものともせず、枝を伸ばし続けていた。

 「樅の木は残った」
 山本周五郎の作品である。

 原田甲斐
伊達藩の重鎮にありながら、季節を問わず山中での狩りを楽しむ野人。
 宇乃という少女を配しながら、人生と人間を深く追求した大作だった。
 映像でも、作品を観たが、
私の想像する原田甲斐は違っていた。
 宇野が尊敬した(おじさま)は、まさに樅の木の大樹そのものだった。
 読んでから、月日は遠く去り、概要も不確か。
 ただ、原田甲斐と少女から女性へと変わりゆく宇乃との関わり合いが見事に表現されていて、深く感動した事だけが鮮明である。


 樅の木は残って・・・
 父から受け継いだものなど無に等しい私だ。
 歌人としての父は、夢半ばで逝った。
 書く事に興味を持ちだした多感な私に、
 ある日、教えてくれた一つの詩。

    わすれなぐさ

 ながれのきしの ひともとは
 みそらのいろの みづあさぎ
 なみことごとく くちづけし
 はたことごとく わすれゆく
                (ウイルヘルム アレント 上田敏訳)

 寡黙な父だったが、夢見る人生を示唆してくれたようだ。

 父が教えてくれた、この詩だけは未だ口ずさむ。

 これから来る雪国の冬は、厳しく長く、
樅の木も、枝枝に雪帽子を乗せたまま、
ひたすら、春の到来を待っている。

     (過去日記より)


 今日の八海山 13:04



 朝散歩のときは雲に隠れた頂は見えなかったが、十時頃うっすらと雪化粧をしていた。寒い訳だ。だが、いつか消えていた。

八海山初冠雪 10:57




夕方から寒くなってきた。



 樅の木は、剪定してくれた人の話だとまだまだ育つということだったが、葉が枯れ、枝も次々と朽ちて落下した。無惨な姿なのだが、ノウゼンカズラの枝を這わせ、ここ何年も花を楽しんでいる。だが母体が朽ち果てるのは時間の問題のようだ。



 ミセバヤが咲いている。
 鉢植えの花よりも、のびのびと秋を楽しんでいるようだ。
 花言葉は、つつましく、平穏、ということらしい。

 深い秋に似合う花である。


ふるさと祭り 油絵 花火

2015年10月14日 | 日記

 十月十一日(日)
 お天気はよくなかったが、いろんなイベントが盛り沢山だった。事前に申し込み書を必要とするものもあった。



 午前中は、るうちゃんが油絵が描きたいと言い出した。
 いつもは、子供たちが来る頃は画材を片付けて置く。片付けても、キャンバスの絵が見えたりすると、描いてみたくなる子供の心理は理解できる。洋服などを汚すと洗濯が大変だったりするが、小学三年のるうちゃんなら大丈夫と、隅に寄せたままにしておいた。案の定、描いてみたかったようだ。新聞紙を敷き、エプロンをかけさせた。何年か前、サササっと公園で色塗りをしただけの八号キャンバスを手渡した。
 るうちゃんが眼にとめた、描きかけの絵は、古いキャンバスの再生で筆を加え始めたばかり。その絵は、ばあばが描き途中だから駄目ね、と断った。
 上手、下手は問題にしないことにしている私。感性が閃いたとき、脳はゆっくりと指図する。写生会に参加しても、途中放棄しているキャンバスがかなりある。勿体ないので、大概はその上に色を重ね、違う作品にしてしまう。いや、作品化されていない中途半端なキャンバスだ。日々、やることがあって、あれも、これも、と考えるときは後回しにしてしまう。後回しにしておくと、また忘れる。


 夢枕獏著「神々の山嶺」集英社文庫を読んでいる間は、何も手につかなかった。八月二十三日に書店で購入。翌日から読み始めた。上下二巻、九月十九日に読み終わった。
ひたすらエヴェレストの羽生丈二を思い、深町誠を思い、岸涼子を思った。

 登山はとっくに出来なくなっている私でも、地底からつきあげるような感動がいつまでも後を引いた。そして、その感動を文章に書くこともできないでいる。未だ、新たな作品も読めないでいるからだ。

 この本を紹介してくれた、大阪の娘夫婦にも「ありがとう」と、伝えたい。


 話が横道にそれた。



 筆は洗浄液で常に洗うこと。絵の具とペインティングオイルを混ぜて使うこと。一度言えば、すぐにのみ込む。るうちゃんが腕を振るっている姿を家族全員が覘きに来た。 正座したまま夢中になって、前へ前へとせり出すものだから、敷いた新聞紙もクチャクチャ、筆を洗ったとき拭くように置いていたタオルもクチャクチャだ。おまけに絵の具が腕や指についてしまった。だが、石鹸で洗ったら綺麗になった。
 るうちゃんの「油絵」はこれでお終い。

 トンボ、帽子、ウサギ、クマを描いて、木の枝に濃淡をつけさせたり、草、木の葉っぱ、お花を描いたり、倒れた木まで描いた。るうちゃん、油絵上手くなりそう。



 るうちゃんは、ガールスカウトの女の子たちと「ミュージカル夕鶴」に出演した。声楽家の母子(子は男性、声楽家で海の向こうで活躍している方とか。お母さんも海の向こうでも音楽祭に出演する声楽家)が美しい声で歌った。るうちゃんの踊りも素晴らしかった。お世辞ではない。リズミカルな動作が抜群だった。娘のスマホの動画で観た。


 午後から、
シャケのつかみ取り、楽しい工作、ジャンケン大会、ビンゴゲーム大会等々あり。






 大きいシャケ、一尾ゲット!

 但し、子供たちには無理だったようだ。大きくて、重くて、大人の部でトール君が捕まえた。
 自宅で捌いた。
 頭、尾、アラは、夜の花火大会で、桟敷席にいる娘の同級生たちに振る舞われる大鍋の鍋汁に使用した。こくが出て美味しかったはずだ。

 我が家では、鍋に、あまんだれ、ネギ、鮭、人参、豆腐を入れた。

 鮭の刺身、鮭のソテーも美味しかった。
 残った切り身はみそ漬けにした。

 花火大会が近づいた頃、降ったり、止んだりの雨が、ピタッと止んだ。

 秋の夜花火になったのに、
打ち上げ場所が変わったようで、いつもの場所ではよく見えなかった。








 すいちゃんの「いもほり」写真。大きなおいも!大きな軍手!恥ずかしそう!でも、嬉しい。




秋 二題 (ふれあいコンサート 他)

2015年10月08日 | 日記

 十月四日(日)午後一時半開演

     ♪ふれあいコンサート 会場 湯沢町公民館♪



 南雲 充司

  愛のロマンス  (禁じられた遊びのメロディ・・・)
  アルハンブラの思い出
  歌と踊り

 各地で精力的にギターの演奏活動をしている南魚沼市在住の青年。子供の頃からギターを始め、研鑽を積み昨年インドのカルカッタ国際ギターコンクールでファイナリストとなった。トミオカホワイト美術館でも聴かせていただいた。一段と技術が向上したように思う。

 湯沢ハーモニカクラブ

  ここに幸あり
  故郷の廃家
  アラビアを行く
  津軽海峡・冬景色



 結成から八年。音の出し方(奏法)もいろいろあって、易しいようで奥が深い楽器。 奏法向上に向けいろいろな曲に挑戦して楽しんでいる。
 
 (子供の頃、ハーモニカを買ってもらってよく吹いた。吹いて、吸って、自然に覚えられたのだから不思議・・・)

 デジカメがぶれて、よく撮れなかったm(_ _)m

 津軽三味線一文会(かずふみかい)

  津軽じょんがら節(旧節)(少年も入って、迫力があった)

  曲弾き(六段)



  
 花笠音頭
 (今年加入した向かって左端の方は、学校の英語の先生とか。三味線はまだ無理なので、太鼓を叩いている)



  会主、小山一文さんは昨年「よさこい節」で有名な伊藤多喜雄さんのバックで演奏。今年七月にはNHK歌謡コンサートで北島三郎さんのバック演奏に参加と様々なイベントに参加し活動中。

     近々、湯沢駅内で息子さんのギター&津軽三味線のコンサートをやるそうだ。


 チェリー会



  アニーローリー
  遙かな友に
  ふるさと

 歌も上手く、綺麗な女性が多い。一番声が通る人はSさんだった。画家としても知られている。当日の司会担当の一人。


 Hide&Yoshi

 Last Farewell




 朝ドラ「マッサン」でエリーが歌った曲。「花子とアン」でもスコット先生が恋人を想い歌った曲とか。和訳は「永別」、「永訣」。
Yoshiさんの英語力と透き通るような歌声に感動を覚える。ああ~、とめどなく心が揺さぶられる。

 草原情歌



 モンゴルにHideさんの友人がいて、昨年お二人で旅して来たそうだ。広い、広い草原、真っ赤な夕陽、遊牧民の移動式住居ゲル・・・床には乾燥した家畜の糞が敷き詰められている。乾燥した大地なので臭いは全くなかった。
 Hideさんが被っているハットはそのときのお土産。

 前半の司会はHideさんが担当した。





  Yoshiさんの美しい歌声が会場に響き渡る。



  翼をください



 前日と違って、朝から寒かった。無人駅の五日町駅で列車を待つ。上着もストールも巻いてきたのに風が冷たかった。上越線湯沢駅のホームに下りたら、もっと寒かった。 心身が凍るようだったが、ここでやっと人心地ついた。

 ゆざわコカリナクラブ&キッズ

  山の音楽家~風と森とふくろう達
  ふるさとの古い家
  You Raise Me up






 前の席だったので、譜面台があって全く顔が見えなかったり、キッズの女の子も身長差があって、よく見えなかった。コカリナはやさしい音色だ。

 会場の皆さんもご一緒に♪

  上を向いて歩こう
  今日の日はさようなら
  翼をください

 帰りの電車が気になったので、頭を下げ早々と会場を出た。

 会場を出ると、HideさんとYoshiさんが待っていて下さった。
 嬉しかった。
 笑顔で挨拶を交わす。

     またお会いする日まで。




 十月三日(土)晴天    
            *キノコ狩り*

 五十沢キャンプ場で料金を払い、ゲートを開き天竺の里までキノコ狩りに出かける。
 空は秋晴れ。
 天竺の里を渡る風がさわやかだった。



 キノコは地元で言うあまんだれ。ナラタケ、ナラタケもどきとも言う。
 以前は、そこかしこにいっぱい生えていた。近年は探す時間の方が多くなった。
 枯れたナラの木が目立つ。やがて朽ちる。原型を留めなくなった腐食した木からもキノコが出る。地球変動のせいか、大雨が降ると、山でも地盤が崩れて、あちこちで入山禁止の看板が目立つ。天竺の里もそうだ。崖が崩れて木が倒れているところが何ヶ所もあった。夫と二人、大した量ではなかったがこれで良しとした。夫に分別してもらった。食べられないキノコがあったそうだ。

 天竺の里で花に会えた。
 春、魚沼の里で見かけたゲンノショウコ・・・
 シロバナだと思っていたが、薄紫の愛らしい花だ。



 現の証拠、ミコシグサ、テキメンソウ、イシャシラズ、イシャナカセ、タチマチグサ・・・胃腸薬、薬草だ。
 もっと、やさしい名前はなかったの?



 ゲンノショウコ(フウロソウ科、フウロソウ属)

 花言葉 心の強さ

 誰かに似ているね。さあ?