千艸の小部屋

四季折々の自然、生活の思いを、時には詩や創作を織り交ぜながら綴りたい。

この道を

2014年12月27日 | 日記



目を閉じれば

かすかに

ぼんやりと

記憶の窓が開く

霧の中に

浮かぶ白い道

この道を歩むのは私

霧の中は

幻想的な森のようだ



この道を

歩むのは私

この道を

歩んできたのも私



この道を

歩むのは私



霧が消えた向こうの道で

微笑んでいるのは誰

山野に咲いていた花にも思える



この道を

歩むのは私



あの山の花を忘れていた

この道を

辿って出会った

りんどうの花の存在を













 妹から届いた掛け軸三点。(書と表装)

 欲速則不達



 急いで物事を成し遂げようとすると失敗する。

 冬嶺秀弧松



 雪をまとった冬の山の頂に松の木がそびえ立っている。

 野橋春水清



 野原の中にかかる橋の下には春の水が清らかに流れている。

 豪雪見舞いの電話の後で届いたEメール。
上手いな~。
 いつも元気印の妹だ。他にもスクェアダンスをやっている。コスチュームは手作り、楽しそうに踊っている様子が目に浮かぶ。











 ブログをお読みいただいている皆様へ。

 今年のブログはこれで終わります。
 お読みいただき感謝申し上げます。
 来年もよき年でありますようお祈り申し上げます。

 ありがとうございました。

童話 ゆきとほなみちゃん

2014年12月17日 | 日記




 まっしろいゆきがふっているよ

 わたぼうしをかむったこびとみたい

 おそらのうえから いっぱい いっぱい おりてくる

 こんなにいっぱい おそらのどこからきたのかな~

 こびとのおうちはどこなの

 たくさんのこびとがおうちをつくっているよ

 よいしょ よいしょと おうちをつくっているよ

 キラキラ光るドレスのようせいたちもいっしょだよ

 おそとにいきたいな~

 いっしょにあそびたいな~

 こびとたちが

 おいで おいでと てまねきしています

 ようせいたちも
 ちかづいてきました

 ほなみちゃん

 ようこそゆめのくにへ!


 ほなみちゃんは
パッと目が覚めました。
 少しだけ夢を見ていました。


「ほなみちゃん、お熱さがったかな~」
 お台所にいたママが声をかけました。
 ほなみちゃんはお返事の代わりにこっくんと頷きました。

「どれどれ」
 ママはほなみちゃんのおでこに自分の額をくっつけました。
「大部下がったようね。だけど、もう少しオネンネしていようね」

「やだ、やだ、なおったもん」
 ほなみちゃんは口を尖らせてママに反抗しました。
「お外は凄い雪が降っているわよ。カーテンを開けてあげようね」
 室温でガラス窓は曇っています。
「わあ~、ゆきだ。でもよくみえないや」
「ちょっとだけ抱っこしてあげるね」
 ママは手の平でガラス窓を拭いました。
「わあ~っ、わたぼうしのこびとさんがい~っぱいだ」
「そうね。こびとさんみたいだね」
ママはにっこり微笑んでほなみちゃんを下ろしました。




「さっきね。 こびとさんやようせいさんたちに ほなみちゃんもいらっしゃいといわれたの・・・」
 夢ではないと言いたかったのですが、時々空想の世界に入ってお話しているほなみちゃんをママは知っています。
「そうかあ、こびとさんや妖精たちにお誘いを受けたのね」
 ママはタブレットを出して、ほなみちゃんに画面を見せてくれました。
「こんな感じのところかな」
「ママ~、すごいね。おんなじだ~」






 こびとたちがせっせと何かやっています。お家もできて、お部屋の飾りつけにてんてこ舞いの様子です。
 妖精たちは、奥のテーブルの前でごちそうの相談をしているみたいですよ。

 クリスマスが近づいているので、イルミネーションが綺麗です。キラキラ広場に行ってみたいな~。






「お家でも、ささやかだけど、クリスマスパーティーをやろうね・・・」
 ママが声をかけたとき、こっくんと頷いたほなみちゃんは空想の世界に入ってしまいました。

 抱きクッションのミミを抱えて・・・






 お熱も下がって、もう大丈夫そうだから、
「ま、いいか」
ママは夕食の準備を始めました。

 外の雪は止む気配もありません。


             (キラキラ広場の画像は友人からお借りしました)

 各地で大雪注意報が出ています。
 皆様、くれぐれもお気をつけ下さい。

猫たちのこと

2014年12月07日 | 日記
シドとナンシーの子供たち

 1993・5・4 誕生

         イチロー、元気、トシチャン、ラブ、の順番に生まれた。

 元気   1993・10・22 わずか4ヶ月で死亡。いないのに気がついて必死になって探したのに、真向かいの家の庭に横たわっているのを叔母さんが発見。花柄の真新しいタオルで抱いて届けて下さった。私の眼はどこについていたのか。胸が張り裂けそうだった。
 ラブ同様、元気に飛び跳ねる子だった。瞳が大きく可愛い顔をしていた。

 ラブ   すばしっこくて、ジャジャ馬で、甘ったれやの女の子。棚から洋服ダンスの上にジャンプして、ストーンと着地するのが得意。父親のシドとの親子愛が強く、ナンシーに煙たがられた。嫉妬心? 
 私に甘えるのは就寝のときだけ。私の布団の中の一番いい場所を独占した。

 1997年4月29日 仲間たちの会で、須原「絵本の家」作品展最終日、私の帰宅を待ちきれなかったのか、田畑に置かれたネズミ用毒入り団子を食べたらしく、外から帰って私をひと目見て二階に駆け上がり苦しさで呻いたようだ。  ギャオ~と悲鳴を上げ、階段を転がり降りて窒息死した。駆け寄った私が抱き上げた。シドもナンシーもいたが、我関せずで、悲哀の声も出さなかった。猫にとって死の恐れや哀しみはないのだと猫辞典で知った。だが忘れられない日となった。

 イチロー  誰の子だか不明。白毛に黒い斑点がある端正な顔立ちの子。娘の同級生宅に引き取られた。長生きしたようだ。



 トシチャン ((詩日記より)

 トシチャンが死んだ
あさ早く
三軒目で 何とか診察してもらえた医院で膀胱炎と云われた
栄養剤も含めて注射三本打って・・・

でも死んでしまった

体温があがらないまま死んでしまった
泣きながら あるいは泣いたあとかも知れないけれど
夕方近く 押し入れから落ちて死んでしまった

となりの部屋にいたはずの娘が
少し部屋を離れたと 悔やんで泣きつづける

トシチャン
不幸な運命に生まれた子だった
二度の交通事故から立ち直ったけれど

いつもビクビクして
ストレスがたまっていたにちがいない
寒さのため 傷口からバイ菌が入って病気になったらしい
トシチャンは
きっと死ぬために家に帰って来たのではないはずだ
私たちに助けてほしかったのだ
母親のナンシーに甘えたかったのだ

 トシチャンが死んだ
眼を開いて
口もあけたまま
苦しそうに
淋しそうに 死んでしまった

まだ少しあたたかい
トシチャンを抱く
相変わらず
眼を閉じてはくれず
苦しそうだった

 トシチャンが死んだ
何故にこうも涙があふれるのだろう
トシチャンの冷たくなった顔に
熱い涙がこぼれる

 トシチャンが死んだ
夕飯の用意ができて
ずっとずっとトシチャンを抱いてあげた
トシチャンの顔がいつのまにか安らかになった
眼をとじ
口をとじ
トシチャンの魂は旅立って行ったようだ
1995年4月28日
トシチャンは1歳10ヶ月。



 (トシチャンは不運な子だった。父親はシドではない。シドより強い、近隣のボス猫だった。ナンシーが、いそいそとどこかに向かう姿を何度も見た。薄汚れて器量が悪かったが堂々としていた。トシチャンは「あいつ」の子だった。顔が似ていた。本能的にシドはトシチャンを虐めた。私が怒ると止める。ボス猫を「あいつ」と呼ぶことにした。戸を開け、家の中に侵入、食料を物色する。私の顔を見るとすばやく逃げた。
 シドの前で畏怖しているトシチャンが憐れだった。寒いとき、寝場所に困っているトシチャンを私の身体に密着させて寝たこともある。シドがちょっかいを出す。順番こね、と私。
 猫たちと一つ布団の中で寝る私。
 世間はどうあれ、友人も犬たちと一緒寝だというし、猫たちは我が子同様だった。帰ってこない子がいると、心配で朝まで眠れなかった。

 近所の幼なじみと立ち話をしていたら「あいつ」が通った。幼なじみがボス猫に声をかけた。忘れたが可愛い名前だった。野良猫と思っていたが、帰る家はあったのだ。猫は何匹もいる。この猫も家に帰らない日が多い一匹なので気にしないということだった。要するに野放しだ。人にとやかく言うつもりもない。
 後年、我が家の猫たちがこの世から旅立ったときに猫の話をする機会があった。彼女の猫たちもエコプラント魚沼で火葬しているとのこと。動物供養塔で手を合わせてくる、と言った)


 ナンシー





 あったかな春の夜のことです
お母さん 夜になったら外に出さない方がいい
クルマにはねられたシドが弱々しく泣いていた眼を忘れることができないと云うのです

あさ 夢をみたそうです

そのことを 夜になって云いました
テーブルには
食事の用意が出来ています
娘と恋人が二人でつくってくれたのです
その夜は ナンシーの椅子を用意するのを忘れてしまいました
ナンシーの椅子の上に
びっこのシドもあがって 食物をねだるようになっていました
椅子をださなかったので
ナンシーはどこかに行き シドもいなくなっていました
戸が開けられたらしく
カーテンが揺れているのが見えました

娘がみた夢のはなしを思い出しました

シドがクルマにはねられて死んだというのです

何だかとっても気になって 食事もそこそこに
外をのぞきに行きました
道路をはさんだ前の家の玄関口で シドが身体をゴロンゴロンと動かしていました。
道路の右手のずっと向こうにクルマのライトが見えました
まだ まだ近づいてはいませんでした
シドにかけよって声をかけました
植え込みの横にナンシーもいたのです

ナンシー クルマがくるから飛び出しちゃだめよ

声をかけると ナンシーは私を見て さっと逃げ出しました
道路の方に
向こうからクルマのライトが近づきます
間に合うだろうか
クルマは停止してくれるだろうか
私なら絶対ブレーキを踏むのに
だけど だめでした

ナンシーは
私の目の前ではねられました

白っぽい身体が 街灯の下で宙に舞いました
そして ひかれずに 道路に落下しました
一瞬立ち上がって バタンとたおれました
それっきりでした
外傷はありませんでした
脳死だったようです
医師にマッサージをしてもらってもだめでした

ずっと ずっと あたたかいままでした
お腹のまっ白なナンシーを抱いていました
眼は開いたままでした
ナンシーの身体が冷たくなったのは十二時頃です
開いたままの眼を閉じてあげました
2001年4月9日のことです


 びっこのシドの世話ばかりしている私への、
お母さんをひとりじめにしたかったナンシーの
精いっぱいの反抗だったようです。

 ナンシー おはよう おはよう
 ナンシーの骨箱を抱きしめて
 日々の暮らしが過ぎてゆきます

                  2001年9月1日 記


 お話 僕はシドです
 ナンシーの出産
 ポイのナンシー
 シドメモリー
 猫たちとの暮らし

 猫たちのことをいくつかブログ日記に書いてきました。

 シドが、最後に旅立って9年です。

 あの子たちのお話はこれで終わりです。

 シド、ナンシー、ラブ、トシチャン、元気、ハナ、
 おはよう。
 おはよう。
 おはよう。

 今朝も手を合わせました。

 心の中の思い出は永遠なのかも知れません。
 猫たちを思い出せる私は幸せです。

 村松友規著 「アブサン物語」 河出書房新社  感動のエッセイです。



 一挙にドカンと大雪になってしまいました。

 夫が、一人で除雪に奮闘しています。

 ありがとう! ごくろうさま!!