千艸の小部屋

四季折々の自然、生活の思いを、時には詩や創作を織り交ぜながら綴りたい。

雨あがりの朝

2014年09月28日 | 日記



 夜明け前まで雨が降っていたようだ。
農道の土の上はところどころに水たまりができていた。
八海山の頂は雲に覆われていた。
刈り入れが終わった田と、残っている田と・・・

 ふと、
「雨あがる」が、脳裏をよぎった。

 山本周五郎の短編小説を映画化したものである。

 ある川が、長雨で川留めにされる。
 たくさんの旅人が旅籠に泊まっていた。浪人(寺尾聡)と、その妻(宮崎康子)もいた。
 長雨で路銀は減るいっぽうだし、苛立つ神経から諍いも起きる状況を見て、浪人は妻と絶対にしないと約束をした賭試合をして、米や魚を持って帰ってくる。 旅籠で足止めにされていた旅人たちは、気晴らしの宴会ができて大喜びだった。
 雨は翌日あがったが、川の状況は変わらず足止めをされたまま。だが、雨があがったことは、昨日の宴会のおかげだと、旅人たちは浪人を拝んで感謝した。

 体が鈍るからと散歩に出た浪人は、十人ほどの侍が決闘をしていたので、剣術の腕を使い、必死で仲裁に入る。
 それを城主に見られて城に招かれた。
 浪人の身になってしまった経緯を語り、あわよくば士官の夢も叶えられそうになったが、とんだ横やりが入り、夢は頓挫。

 雨あがって、士官できなかったことを悲しんではいない妻とのんびりとした旅がつづく。

 飄々とした寺尾聡の演技と、物事にくよくよしない明るい妻、宮崎康子の印象が心地よく残った。
 TV映画で観たと思う。



 コスモスが咲く場所を何ヶ所か知っているのだが、今年も行けないでしまった。
 雨あがりのコスモスは、しっとり露を含んではかなげではある。




 コロチカムの花が今盛りである。春、大きな葉だけが伸びる。忘れた頃に花が咲く。
 コロブチカ?こんな名のロシア民謡、フォークダンスがあったような気がする。




 夫の友人が庭土の処理に困っていたので、我が庭で引き受けた。雑草刈りの手間が省けて一石二鳥だった。コロチカムの存在など忘れていた。
 盛り土をかき分け、かき分け、地上に顔を出す生命力に感動さえ覚えた。
 凄いな、命の力って。



 コロチカムとほぼ同時期に咲くヒガンバナ。

 趣の異なる秋を体感できる花だ。
 晴天の今日も咲き誇っている。

 フリーマーケットあり。
 友人のブースで100円のトレーナー二枚ゲット!!



 ブログをお読みいただいている皆様へ。

 芸術の秋です。
 のんびり、気ままに絵を描きたい、下手で元々、ですので作品展への参加もほとんどありません。ですが、この度お声がかかり、牛に引かれて善光寺参りのように、お仲間の皆様に手を引かれて、会場の留守番役を勤めさせていただくことになりました。
 つきましては、十月半ばまで、ブログをお休みさせていただきます。

 今後ともよろしく御願い申し上げます。  m(_ _)m

 御嶽山噴火!!
 多くの登山者が被害に遭われたようです。ご無事をお祈り申し上げます。

創作 萩の家

2014年09月21日 | 日記


 朝一番で着く列車に乗って、肌寒い駅に降り立った。
 朝靄にけぶる町は、深閑としていた。
 駅に向かって歩いてくる人の影がぼんやりと見える。
 始発のバスのエンジン音がした。
 誰もいない車内は寒々としていた。思わず上着をかき合わせた。

 夫は、娘たちはもう起きた頃だろうか。
 週末だからまだ布団の中かもしれない。

 母から電話がきたのは昨夕だった。
 小さな声で、
「お父さんがなんか変・・・」と言った。
「どうしたの」
「朝からぼや~っとしている」
「ぼんやりしてるの?気力がないってことなの?病院には行ったの?」
 受話器の向こうで、母がかぶりをふっている気配が感じられる。
 父は病院を嫌う。家族のことは心配するのに、自分は病気にはならない。常々、口にしていた言葉だ。
「明日、一番の列車で行ってみるわ」
 母も滅多に弱音を吐かない。思いあまったときこうして電話を寄こす。夫の手前、私がパートの仕事をしていることもあって遠慮がちだ。
「悪いねえ」
「子どもたちは、友だちと約束があるみたいで連れていかないわ」
「本当に悪いね」
「ううん、いいのよ。パパも私がいなければ結構やってくれる人だから」
 朝食は夫に頼んだ。夕方までに帰宅できなければ夫がやってくれる。
 実家と私たちが暮らすまちは列車で一時間ほどだ。
 子どもたちが幼い頃は頻繁に帰ってきたのに、近頃は足が遠のく。携帯メールを顕著に使うことが多くなった。母は使いこなせないらしく、簡単な返信で済ます。

 実家はバス停の近くにある。
 乗降客は私一人だった。



 彼岸の頃に咲く萩。
 私が物心つく前からあった。
 祖父母か、その先代が植えたのか、萩の咲く家と友だちに羨ましがられた。




 庭先の所々に萩の植え込みがある。
 特別な関心も感慨も持たずに今まできた。



  出迎えてくれた花は、朝露をたっぷり含んで物言いたげに見えた。
 萩は秋に相応しい花だ。
 ふっと、寡黙な父の顔が浮かんだ。



「ただいま」
 玄関の引き戸を開けたが、人の動く気配がない。

 仏間に座り、大日如来のご本尊に焼香して、手を合わせる。
 祖父母の三十三回忌はずいぶん前に過ぎ、位牌は寺に預かってもらっている。

「おはよう。早かったんだね」
 母の声に振り向くと、あねさかぶりに割烹着姿の母がいた。やさしい表情だが、内面の葛藤が透けて見えた。
「おはよう。お父さんは?」
「畑だよ」
「畑仕事?大丈夫なの?」
「毎朝、畑だよ」
「だって・・・」
 母は苦笑して、ため息をついた。
「おかしくなるのはそのあとなんだよ」
「秋口だから、夏の疲れが出てきたんじゃないの?」
「それだけだといいんだがね」
「行ってみる。裏の畑でしょう」
「何できたかなんていわないでくれ」
「わかっている」
「もう少しで朝飯だから。呼ばなくったって、時間になると帰ってくるお父さんだけどな」
「わかっている。わかっている」
 父の一日のスケジュールが眼に浮かんでくる。
 六十歳で定年退社。その後は、近くの土建会社の経理を頼まれたが五、六年で退社。以来、畑仕事に精を出してきた。田は、請負人に任せている。
 八十歳を過ぎれば、なにが起きてもおかしくはない。
 兄は東京の企業に勤めている、妻子がいる。故郷に帰らない兄を、両親は黙認している。そろそろ考える時期にきている。だが、家族を持つと、故郷はなつかしさと、あたたかな両親との思い出が交差する場所になってしまうのだ。今までは、両親の行く末を何も考えられないできた。





 庭を通り抜ける場所にも萩の花が咲きこぼれていた。
 萩の家、そう呼ばれるのがふさわしい風情だ。




 裏庭には、台風で倒れたヤマボウシの大木に代わって植樹した木に、赤い実がついていた。木の下に実がたくさん落下している。

「お父さん、おはよう」
 畑を耕していた父は、少し驚いた表情を見せながらも、喜びは隠しきれなかった。 眼がやさしく笑った。
 鍬を持つ手も変化は見えないし、背筋も伸びている。
「今、何を植えるところなの?」
 近づくと、父は覘き込むように私を見た。
「大崎菜だ。何かあったのか」
「いやあね。何にもない。お彼岸だからたまには両親の顔をみようと思って」
「早く起きたもんだ」
「私だって主婦よ。いくつだと思っているの。いつまでも寝ぼすけじゃあないわ」
 父は小さく笑った。
「そうか。よくきてくれた。お母さんが喜んだだろう」
「嬉しそうだった。私の好物つくってくれるかな」
「卵焼きだったな」
 父は作業帽を脱いで、少し逡巡とした思いの中にいるように見えた。
「お父さん、元気なのね。具合は悪くないのね」
 私は、思わず口にしてしまった。
 父は訝るように私を見た。
「お母さんが何か言ったのか、俺の具合が悪いとでも・・・」
 後悔した。だが、父の目に曇りがないことを確かめると話さずにはいられなくなった。
「お母さんから電話がきたの。お父さんが最近なんか変だって・・・」
 父は少しため息をついた。
「ちょっとばかおかしいのはお母さんなんだよ。誰も気がつかないし、あかるくふるまっているから、俺もまさかと思った。時々変になる。台所の蛇口を閉め忘れたり、風呂の湯を出しっぱなしにしたり、すぐに気がついて、ばかだねなんていっているが、それで終わりだ。つまらんことでくよくよしたかと思うとけろっとしている。まだ大したことはないが、お前の顔が見たくなったんじゃないかな。俺らも歳なんだな」
 父の話を聞きながら涙がこぼれた。
「そうだったの。私も、ここのところこっちに来れなかったから反省しているわ」
 庭の萩が頷いたような気がした。
「お母さん、美味しい卵焼きできたかな」
 父を振り向いた。
「なるべく帰ってくるようにするわ」
 父は微笑んだ。
「そうしてやってくれ」

 絵文字をいっぱい入れたメールも送る。
 八十歳を過ぎてもメールのやりとりが出来たんだもの、まだまだ大丈夫だ。要は一人ぽっちにさせないことだ。
 父との旅行もしてほしい。

 手を洗っていた父がいう。
「野菜はあるか」
「向こうのお父さんが下さるからいい」
 夫の父親が届けてくれる野菜を、今年ほどありがたいと思ったことはない。
「そうか」
 聞いているから、遠慮する父だ。

 父の背をみて思う。
 兄と、じっくり語り合う時が近づいているようだ。




                                   完 

 萩の花が咲かない・・・
 そう思ったのは間違いでした。萩が咲く家の正面玄関に廻ったら、こぼれるように咲いていました。写真を撮り、即席の創作にしました。M(_ _)m

私のキャンバスの中で

2014年09月14日 | 日記

私のキャンバスの中で
あなたは自由自在
私にやさしく語りかけ
私をたまらなくさせる

私のキャンバスの中で
私の意志と関わりなく
あなたは
私に熱い息を吹きかける

おいで
入っておいでよ
夢の世界へ
キャンバスの中で あなたが手招きする
私たちは
キャンバスの中だけが自由でいられる・・・
そんな
あなたのささやきが
耳元をくすぐる

私のキャンバスの中で
あなたは
自由自在
私のキャンバスの中だけで・・・

                        (azumi)

 秋、秋、秋、
しずかに音もなく、忍びよる秋ならば詩に紡ぐこともできる。
 野の花に心を寄せて、しばし佇むこともできる。
 だが、何か異なる。
 唐突に秋がやってきて、心の準備に戸惑っている。

 朝の川は、霧が立ちこめ、あきらかに秋の風情。



 秋らしい野の花が少ない。
 キバナコスモスの黄色い花が露を浴びて、心なしか寒々として見える。



 萩が咲く庭にはまだ膨らんだ蕾すら見えない。
 初秋の訪れを告げるように咲くテッポウユリ(ユリ科)。
 夏のオニユリやヤマユリが姿を消してから現れる。自然は季節を知っている。





 雨情報を確認しながら、いつもの山に向かう。足慣らしといっているいつもの低い山。早くから夏ばてがはじまっていたから、足下の筋力が心もとなかった。 ポールを頼りに、一歩、また一歩と歩を進めた。筋肉が痛いといっていた夫はだんだんペースを取り戻し、はるか上から私の歩行を見守っている。まるでウサギとカメみたい。

 途中の休憩場で一休み。

 後で調べたのだが、タムシバの実のようだ。



 連なり、垂れ下がって、やがては種子がはじけて、落下するのか、風がどこかに運んでいくのか、自然のたくましい法則を知らない。



 山の頂上。
 途中でチョッキを脱いだが、汗だくで蚊の攻撃をまともに受けた。蚊よけシールや蚊取りスプレーでも効果なし。デジカメのレンズにまで飛び込んでくる。



 やっと登って、やっと下りた。
 いさぎよくギブアップかな、と我が身を落胆しかけたが、一晩眠ったら心は復活した。
 ゆっくり歩こう、秋の山!のんびり歩こう、秋の山!



 昨日。魚沼の里にある「さとや」に、使い物にする和菓子を買いにいく。
 店の自動ドアを開けて驚いた。
 レジ待ちをしている大勢の人・・・
 三連休、こんな田舎に、「ようこそ魚沼の里へ」といいたくなる。







 魚沼の里 遊歩道

 秋が深まったら、紅葉を愛でながらゆったりと散策してみたくなった。





 孫のある、ボーイスカウトに入団。




 生命を尊重する心、仲間と話し合って協力する心、モラルや正義感、自然や美しいものに感動する心などが子どもたちの「生きる力」の基礎となる。

 ある! その精神を大切に! ファイト!!

 私もキャンバスの前で、少しだけファイトです。

まごまごアート Ⅱ

2014年09月07日 | 日記



 娘から送られてきた写真、
 こんなに上手くなっているなんて、ちっとも気がつかなかった・・・お母さんに見せたくて、と書き添えてある。

 ホントだ。さすが小学生!

 あるの作品


 書道 「自然」
 のびのびとした書体。上手い!名前、難しいよね。

 
 農作業風景 トラクター、田畑の様子がよく描けている。






 トンボに乗ってゴール! 一番はやっぱり僕?



 ワンちゃんとお散歩  名前何ていうんだったっけ?


 災害の爪痕を描いたと思われる。怖いね。予想もしないことが突然襲ってくる災害。気をつけようね。



 るうの作品

 書道 「きぼう」 上手いね。女の子らしくまとまっている。



 なわとび 
 なわとびをしている子どもたち、順番待ちの子どもたちが生き生きと描かれているね。縄を回しているのは、先生?上級生?



 これもトンボに乗った夢のある絵。六人も乗っているよ。どこまで飛ぶのかな~。



 お兄ちゃんとお食事かな。お魚とサラダが美味しそう。作ってくれるのは、ばあばかな?「いただきます!」「ごちそうさま!」毎日、感謝しています。ありがとう! じいじ!ばあば!



 マギーとお散歩。うれしそうだね。マギー!




 こっちで過ごす二人は、大阪のいとこたちといっしょになると賑やかになり、「機動戦士ガンダム」ごっこや、「アナと雪の女王」のDVDに夢中になっている。子どもたちが描く絵も、ほぼそれに近い。毎日が嬉しくて興奮状態だった。

 小学生らしい作品を見ることができて嬉しかった。

 じいじは元学校の校長先生、ばあばも先生、お姉ちゃん(パパの妹)も保健体育の先生。
 孫たちに受け継がれたDNAは、夢にあふれた未来につながっていくことだろう。

 るうちゃん! ガール・スカウトのサマーキャンプは楽しかったでしょうね。

 あるちゃん! ボーイ・スカウト、入団届け出しましたか。

 子どもたちの夢が大きく広がっていくことを念じています。