あなたを
あなたが好き
あなたを愛している
あなたが嫌い
そんなあなたの顔も見たくない
昔々
そんな女がありました
言葉だけが
深い意味を持つのだと・・
あなたが好き
あなたを愛している
そんな言葉に酔った昔がありました
あなたが嫌い
そんなあなたなど顔も見たくない
ふさがってしまった心は
元に戻らない昔がありました
言葉だけが心を語るものではないことを
もう とっくに知っているから
あなたが好き
あなたを愛している
言葉だけで伝えたくない女になりました
人を愛するということ、一般的な広い意味を持つ愛は、いかに相手を見守ってあげられるか・・・許してあげられるか、ということだと思う。
乳色のもや
明けやらぬもやの中
誰も目覚めてはいない
乳色の世界を
私の心だけが歩いている
ゆっくりと
ただ ゆっくりと
あてもなく歩いているのでもなく
あそこに小さな木橋がかかっていたような
でも違っていたような
そして橋の向こうに
あなたの影が見えたような
心は ゆっくりと
ただ ゆっくりと歩いている
間違いだったら
夢をみているんだったら どうしょうと
はやる心とうらはらに
心は ゆっくりと
ただ ゆっくりと歩いている
遠くに はるか遠くに
たしかに あなたの影は見えたけれど
橋はなかった
朝もやが 消してしまったのか
私の心に いたずらを仕向けたのか
遠くのあなたは気がつきもせず
私の心の中で 見えなくなってしまった
アネモネ
見られていました
じっとみつめられていました
気がついたとき あなたがそこにいました
哀しげな あなたがそこにいました
私は近寄ることもせず
あなたに 心を奪われたまま 佇んでいました
濃い紫の花は あなただったのです
私の心にしみいる 紫はあなただったのです
あなたの心の奥の 淋しさが 気になっていたんです
近寄れない私は
小首をかしげた 濃い紫の花びらの
一枚 一枚を 確かめるように
心に 刻みこむように
そっと 深いためいきをつくしかなかったのです
あなたが
あなたとして そこに存在していることを
心の眼で 確実に捉えようと
記憶の糸を たぐり寄せながら
しばらくを そこで 佇んでいました
ある年の1月24日、濃い紫のアネモネは、あまりにも哀しい風情を漂わせて、私に語りかけていた(友の店で)
白いノート
なんで詩を書きたいの
なんでこころを
そんなに詩おうとするの・・・?
青春を綴ったノートを
全て焼いたおまえが
なんで
ふたたび歩きだしているの・・・?
あの頃と
変わってはいない
自分にきがついたから・・・?
やさしい詩人たちと
出逢えたから
詩人だと主張してみたくなったの・・・?
こんなにもちっぽけな
こころもからっぽな
それでも
詩人だと称するおまえが
一体なにを詩えるというの・・・?
(azumi)
それでも白いノートはいつか文字で埋まった。
やわらかな、やさしいタッチの文字で・・・
やわらかな、やさしい詩を書けるのはいつだろう。
まっしろな白の世界。
今年も雪との暮らしがすでに始まっている。
いとこの死を写メールで。
今日もまた、死の報。
いずれも闘病の果ての死。
白い雪は、人々の暮らしの中で、音もなく降りつづける。
入院した病院での診察日。二ヶ月分の投薬を受けた。
体力にあった運動を続けなさいと。
帰り道、デジカメで写真を撮る。