湯沢町八木沢からのトレッキングをしてきた。
あたたかい陽気で、一枚脱ぐほど汗ばんだ。
道中の橋板は外されて橋桁だけになっていたし、冬間近な山は雨の日が多く、水量も多い。岩盤の間からも、山道からもわき水が出ている。わき水は山を下り、さらに勢いを増して清津川へと流れ込む。渡るのに苦心した難所がいくつもあった。
汗を流したので水分補給に格好な「大峰の原水」、大峰山(1172㍍)からのミネラルウォーターだ。冷たくておいしい。チョコを頬ばりながら歩いたあとだから尚おいしい。
ブナ林を歩く。
岩盤が多く、登ったり、下ったり、川を渡ったりしているうちに見えてくるブナ林の中央部、フィストレッチ広場。
案内板や整備をしている人がいた。
ブナ林は森林浴と呼ぶにふさわしい。
ブナの裸木から降りてくるマイナスイオン、これは表現し難い、やさしくおおらかな大気。
ここで昼食のおにぎりを食べる。八木沢から1時間35分、ちょうど昼時。しばし休憩して折り返すことにした。
人間が本質的に求めている安らぎと平穏、ブナの林は私たちをすっぽりと包み込んでくれる不思議な力を持っている。
おだやかで、のどかで、思考することもいらない晩秋の山・・・
歩くことを、山の自然にふれる喜びを教えてくれたのは、誰だったのだろう・・・
ふと、考えてみる。
ブナの殻斗(カクト)がいっぱい。
今年はブナの実が豊作で、山の動物たちは喜んでいるだろう。
探すと三角に尖った実もあったが、大半は動物たちの食料となっただろう。
広場の腰掛けに仰向けに寝ころんで写真を撮る。
ナラ、ミズナラ、コナラ、ブナ・・・
裸木は美しい。
裸になって、本音で叫んでいるような気がする。
私たちの住む、心地よい自然と環境を返して、と訴えているような気がする。
虫食いの木は無惨に朽ちてゆく。
若い木はすくっと立ってエネルギーがある。
森も林も生きている。
深く息を吸って生きている。
清津川。コバルトブルーが清く澄んでいた。
赤い実が三つ。六㎜あった。何の実だろう。
山道の岩盤の裂け目に小さな枝。
気になって、帰り道に写真に収めた。
出かけたのは昨日。
いいお天気に恵まれた。
今日は一転して雨の寒空。明日は雪だと、ローカルニュースの寒々とした声。
あと何回、山歩きが出来るかな。予報は当たってみたり、外れも多い近年ではある。
母は、熱なく、午前は離床まで試みた。
山歩きをした余韻が、心身をあたためてくれている。