千艸の小部屋

四季折々の自然、生活の思いを、時には詩や創作を織り交ぜながら綴りたい。

青いアサガオと虹

2011年09月19日 | 日記

 
 9月18日。
 風がなかった。
 朝から猛暑の予感。
 夜が明けて間もない山は、頂きの向こうに日の光を白い雲に反射させ、すでに快晴の前兆か。
 だがそれは一瞬のことで、山裾から舞い上がった霧はあたり一面山までをすっぽりと覆い尽くす。
 こういう光景に度々出会う。
 日の出が見えそうもない川土手で、9月になって咲き始めた青いアサガオを撮る。
 目にやさしい花。
 青いアサガオ。
 風に乗って運ばれてきたのか、花の青さに心が和む。



 暑い、暑い一日になりそう。
 参加できなかったフリーマーケットの会場を覗いてみた。
 暑い中、よくやっていること。
 客足はまばらだった。
 いる、いる、元気なお仲間たちが。
 元気をもらいに来たと告げたら、たくましい二の腕で、ハイ!タッチ!してくれた。

 今年の私は、なあんにも出来なかった。仕方ないよね。

 そうよ。
 誰もが通る道だもの、夢はいつでも追える。
 終わりっていうことはないんだから、身辺が落ち着いたらまた歩き出せばいいのよ。
 同年配、ロマンあふれた絵を描く大先輩と少し立ち話。
 落ち着いたら、彼女のアトリエを訪ねたい。

 元気な人たちのお仲間に、昨年から参加している私。
 だが、非活動ではある。
 みんなの笑顔に元気をもらって、母の病室に急ぐ。

 母が少し回復したのではないか。気のせいなのか。
 薄目を開ける間隔が長くなった。
 私の気配、人との会話も聴き取っているのではないかとも。



 診療所を出たら、虹が出ていた。
 途切れて見えたが、夢の架け橋みたいで、慌ててデジカメのシャッターを押した。
夕 刻から雨になる。

 娘と孫たちが、3時間かけて車でやって来た。
 お母さんは疲れているだろうから、子供たちと遊んであげて・・・
 言葉に甘えた私は、びちっとくっついてくる子供たちの相手をした。
 5歳の孫とプリキュアの着せ替えをして遊び、
 7歳からはゲーム機のやり方を伝授。さっぱり分からないので、見るだけにした。

 9月19日。
 窓外を見ているような母。見えるのか。
 昨日よりも目が開いている。
 孫たちが来たときは、目や口元に動きがあった。
 おばあちゃん、元気じゃん。
 孫の声が明るかった。
 私はばぁばで、母のことはおばあちゃんと言う。

 母の看取りを診療所にお願いすることに同意した日から今日で8日目。
 原田康子の「満月」を病室で読み終えた。
 20年前の文庫本の再読。
 現実にはあり得ない、夢のような、ファンタスティックな小説。あらすじを忘れかけていたが読み応えがあった。

 青いアサガオ、虹、満月、つなぎとめようと思えばつながらないこともない。
 久々に柔軟な心を取り戻した私。
 雨が気温を下げた。