「趣味は?」と聞かれて
「趣味は田中角栄」と応えたのは、自民党の幹事長、内閣官房長官まで務めた二階堂進氏だ。惚れ込んでいる表現として、これほどすごい言葉はない。極めつけのゴマすりとも言える。角栄氏もこれを聞いて、満更ではなかったろう。
「趣味は長嶋茂雄」という人も多いのではないだろうか。
私にとっても、長嶋選手はヒーローであり、憧れであり、アイドルだった。
監督としての長嶋さんは、「早く辞めた方がよい」と思うことも多かった。
タレントとしての長嶋さんが、また素晴らしい。長嶋さんの一言一言は、今、思い出しても、私のストレス解消には最高の効果がある。体中からアルファー波が出て、リラックスさせてくれる。
「アメリカの子供は英語が上手い」と言って感心した。
ハワイの月が大きく見えて「さすが、アメリカはスケールが違う」と感心した。
大学生にもなってから、友人の持つ英和辞典を見て「こんな便利なものがあったのか。知っていればもっと英語が分かったのに」と言った。
英語やアメリカがらみの逸話が多い。多少は誇張、伝聞違いがあるかも知れないが、「アメリカの子供‥‥」は、私もテレビで見聞きしたから間違いない。
長嶋語録は、インターネット上にも多く記載されているから、ここでは書かないが、意外と書き込みされていないゴルフ場での話を思い出す。
ビートたけし氏が、長嶋さんにゴルフに誘われ、「光栄だ」とスケジュールのキャンセルや変更をして、勇躍、ゴルフ場へ行ったところ、当の長嶋さんに
「あれ、今日は、たけしさんもゴルフですか」と言われ愕然とした話。
これは、あちこちで書かれている話だ。
もう一つゴルフの話で、インターネット上で見られないのが、NHKのスポーツニュースの時間に、解説者として就任したばかりの、元阪急ブレーブスのエースだった山田久志氏が語った思い出話だ。全国放送だから見た人は多いはずなのに‥‥。
「長嶋さんは好い人ですよ。ゴルフに誘われて、長嶋さんのよく行くゴルフ場に行ってプレーしたんですが、一所懸命気を遣われ、『山田君、このコースは、富士山めがけて打つといいんだよ。今日は天候のせいで富士山が見えないけどね。海の向こうに富士が見えて最高なんだけどねえ』と言って、残念がるんです。私が後ろを振り返ると、後ろに富士山があるんですよ」
これには、NHKのアナウンサーたちも笑い、また、それ以上に感心していた。
他の有名な逸話以上に、長嶋さんの、人柄、そっそかしさ、気の遣い方を物語る逸話として、あちこちで紹介している。