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プロポーズ小作戦12

2009-03-30 15:21:57 | コードギアス
プロポーズ小作戦12
「星刻が来ているの」
天子の声が3オクターブも跳ね上がる。普段ならそんな声を出したら「天子らしくしなさい」と怒る女官も、あの青年に対する天子のかわいい思いを知っているから怒る気にならない。
「良かったですね。天子様」
若い女官が皆の気持ちを代表するかのように言う。

天子は大急ぎで部屋に駆け戻る。星刻と話したいこと、見てもらいたいことがたくさんある。ばたばたと足音をたてる天子をさすがに古株の女官がいさめたがその口調も優しい。実のところ、女官達にとってもあの若すぎる大司馬は眼福ものなのだ。特に天子を見つめるときの彼の表情は、初孫を抱いたじいさまでもあれほど優しい表情はしないと年配の女官の間でよく茶飲み話の種にされる。若い女官の中には一瞬でもあの瞳で見てもらえるなら切り殺されてもいいと過激な発言をする者もある。あの大司馬は下人時代を含め、女だらけの内宮に出入りしながらも浮いた噂一つ無い、超堅物であることも茶飲み話が過激になる理由のひとつである。あの青年が内宮で女に手を出す事は無い。安全が保障されているから、ジェットコースターは怖いほどおもしろい。その心理が噂話をより大げさにさせ、より面白くさせる。
女官達はその辺の遊び心をわかっているが、天子はまるっきりわかっていない。噂を聞きつけるたび、(私が子供だからなの)と小さい胸を痛めている。
相談相手にされる《お姉さん役》のジノにはそんな天子がかわいくてたまらない。同時に自分ひとりをを配置する事で、星刻と天子両方に相手を異性として意識させた神楽耶の腕前に感心する。

学業も政務もちゃんとしているのよ。
そう言いたくて天子はあれもこれもと引っ張り出す。
それが出てくる前に取次ぎの女官が公式の間で黎大司馬がお待ちですと告げる。
天子は用意しかけた物を放り出して大急ぎで走った。

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