金属中毒

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プロポーズ小作戦11

2009-03-29 17:47:40 | コードギアス
プロポーズ小作戦11
星刻はこの1ヶ月ほどは地下のルートを使って公館を出入りしていた。体調不調を理由に朱禁城に出仕しない身が、堂々と街中をうろついているのはまずいという配慮である。星刻は体調不調という理由を世界に対して隠さなかった。下手に隠すよりむしろ「何か目的があって朱禁城から消えているのでは?」そう思わすほうがいいからだ。
つまりは天子だけがそういう推測からも無縁で《私は星刻に嫌われたの?》とかわいい心配をしているわけである。

一応目立つ長髪を隠して変装しているが、やはり尾行されている。
いま星刻が着ているのはごく普通のビジネススーツで、官庁街ではどこにでもいる役人の一人にしか見えないはずだが。いかんせん星刻は役人にしては姿勢がよすぎ、また何よりも美形過ぎた。すれ違うほとんどの女が吸い寄せられたかのように振り返る。中には大司馬であることに気が付いたらしく口をぱくつかせる者もいる。それに星刻はいたずらを見つかった子供のような邪気の無い微笑を見せて、唇に指を当てる。ないしょだよと瞳が語る。
この微笑に頷かない女はいない。
星刻が訪ねたのは天子の室内履きを作る高級工房。あらかじめ注文しておいたナナリー皇帝の室内履きを受け取りに来たのだ。仕様はリハビリ用シューズで有名なイタリアのデル工房に合わせてある。
宝玉を磨いて作られたビーズの花飾りが靴を彩る。
同じデザインで天子と日本の神楽耶のも作らせている。
天子に電話で「おそろいを履きたいの」と言わせるためである。

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