金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

黄金の島

2020-01-01 11:43:35 | APH
すっかり、季節が変わり、少し出遅れ感のある話しです。



インスタ映えとやらで、受けているのか、今年(2019)の夏もタピオカは流行った。材料費40円が800円で販売されているとか?噂話を読むとまだまだ我が国は豊かなのだと思う。
 熱しやすく冷めやすいのがうちの国民性、この夏までは「みんながやるならやらなきゃ」で売れまくっていたけど、そろそろ飽きられそうな気がする。
 そういえばアサイーは今も売っているのかと本田菊は思う。たしか、アサイーの輸入で一時株価をあげまくった会社があった。あの会社は今も健在だろうか。 本田菊はとりとめもなく思う。

 国人は大きな行事が無いときは、気ままに暮らす者も多い。近隣にふらりと遊びに出る者もいる。
残暑厳しい季節に遊びに来たのは台湾の化身。手には大きなタピオカジュースを持っている。
彼女の腕に高そうな宝石のついた腕輪が光る。前に会ったときは見なかった品だ。
「菊さんのおかげで買えたよ」
はて、何のことと小首をかしげる菊に湾はにこにこしながら答える。
日本のタピオカブームで、台湾のタピオカは売れまくっている。畑全部タピオカにした農家もいる。
「うちのタピオカのほとんど菊さん家が買ってくれてるよ」
統計でも90パーセントを日本が輸入している。

幸せそうな湾に菊は「年寄りの昔話と思って聞いてください」とある島の話を始めた。
「瀬戸内にたくさんの島があります、その中の一つ、、名前は…黄金の島とでもしておきますね」
「宝島みたいね」
「輝く海に島を包み込むようにたくさんの桃の花が咲いて、その頃は『桃源郷のようだ』と唄われました」
菊の言葉は唄うようだ。
「最初は貧しい島でした。ある時たまたま島で熟れる小さな固い桃を売りに行ったら、びっくりするくらい高く売れました。その人は島の人みんなにそのことを教え、島の人は喜んで桃の木を島全部に植えました。」
「みんな幸せになれたよ」
「はい、少しの間は。少しして大きくて美味しい桃が輸入されて、島の桃は売れなくなりました。そして田畑を桃畑にしたためほかの食べ物を作るのが難しかったのです。島は前より貧しくなりました」
湾は返事をしない。
「だいぶたったころ、島の若者が美味しいみかんを植えました。それが高く売れて、それを教えてもらった島の人は島全部にみかんを植えました。船から見ると島全体が輝くようにミカンが生りました」
「菊さん家はみんなみかん好きだからこんどは大丈夫ね」
「はい、ミカンは今も好きですよ。でも戦争でミカンどころではなくなりました.
それからも島はいろんなことをしました。ミカンの缶詰を作り出してみたり、その頃は珍しかったレモンを植えたり」
「それで、」
湾の声が静かだ。話の行く先を読み取ったらしい。
「島は今も私の中にいます」
菊は今の島の様子には触れなかった。それが答えだった。


 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿