小さい方が大きくなるのは少しさみしいですが、とてもうれしいですよ
ラトビアが元気になったという一般紙のニュースを読んでいきおいで。で、書いてからあちこち検索して情報の裏をとり始めた。先にするべきことなのだが、それでは勢いが消えて書けなくなる。で、気がついた。日本がIMFを通じて融資したのはラト君だったかなぁどうだったかな。あぁ、数時間たっても裏が取れない。というわけで違ったら消しに来ます。 外務省のラトビア情報で萌えました。それはまた今度に回します。
今回の世界会議はフランスで開催された。接待にはそつのないフランスは会議終了後みんなでゆっくりできるティーラウンジまで用意していた。当然、フランス自慢の華やかな菓子がテーブルに花開く。
この熱心さを会議に向けてくれればいいのにと思いながらも、ドイツは日本イタリアとともに菓子をつまんだ。
この3人がそろうとなんとなくほこほこした空気が包む。周りの国々も3人の仲の良さは知っているから、比較的あったかく見守ってくれる。もちろん例外はある。たとえばメタボとか、味音痴とか。
しかし、この日は意外な国が近づいてきた。バルト3国の1国。ラトビアである。
EU関係の話だろうとドイツは予測した。なんといってもドイツはヨーロッパのエンジンでEUの中核だ。会議後に相談を受けることは多い。それはいい。
ただ、ここには日本がいる。日本はEUではない。イタリアとドイツはEUだ。
仲間はずれを見せつけるような感じになっては悪いなと思ったドイツは、ラトビアと話す間は少し席を離れようかと思った。
こんなときに兄がいてくれればうまくやってくれるのにとドイツはここにいない人のことを考えた。ドイツ国内で少し問題があったので兄はそちらに回ってくれている。
ところが近寄ってきたラトビアは開口1番で、日本に話しかけた。
「ぼく少し大きくなりました。」
いつもびくびくとおびえているラトビアがまったく怯えを見せず、嬉しそうに笑っている。
「ラトビアさんががんばったからですよ。良かったですね」
あれ、とイタリアは思った。日本とラトビアは親しかったかな。経済でも文化でも歴史的にもそんなに交流は無いはずなのに。
ラトビアは少し話しただけですぐ行ってしまった。純粋に日本に自分が大きくなったことを報告したかっただけらしい。なんだか、前の学年で担任した先生に報告する小学生みたいだとイタリアは思った。
「日本はラトビアと親しかったのか?」
兄ならばもっとうまく聞くだろうと思いながらドイツは問う。いや、兄ならば今頃ラトビアも一緒にここでお茶を飲んでいるだろう。なにしろ兄は顔が広い。ヨーロッパ全域はもちろん新大陸の兄弟とも南米のまだ、御国様として公式には認められていない連中ともなんだかんだで遊んでいる。直接感謝を伝えたことは無いが、兄の「遊び」で助けられたことは多い。
「いいえ、ほんの少しですよ」
日本はいつものあいまいな笑いを浮かべている。これでは親しいのかどうかわからない。
そのドイツの表情を読んで、日本は一度置いた湯のみをまた持ち上げて、続けた。
「ほんの少し、IMFを通じて融資だけさせていただいたのです。」
あぁ、あの時かとドイツの額にしわが寄る。東側が瓦解し、バルト達も自由経済を導入した。しかし、2008年の世界金融危機で経済は混乱し景気は急降下し、国民は苦しんだ。失業率は20パーセントを超えた。
ラトビアは融資を求めた。しかし、当初融資する国は皆無だった。どの国もそんな余裕は無かった。
世界から見捨てられて、ラトビアは崩壊するかと思われ始めたころ、日本がIMFを通じて融資した。さらにEUの融資も入った。
その結果国民の我慢と頑張りが効果的に動き始め、ラトビアの景気は回復。同時に治安も回復した。今日ラトビア政府は国際社会の信頼を獲得している。
日本の融資だけが回復の理由ではないとはいえ、わざわざ話しかけに来るのだからそのタイミングに感謝しているのは事実だろう。
「ラトビアさんは同じくらいの身長の誰かに言いたかっただけだと思いますよ」
そんなものだろうかとドイツは思う。国としての感謝ではなくて、ラトビア本人の嬉しい気持ちだけだと日本は言う。
「同じくらい小さい人が大きくなるのは少しくやしいけど、嬉しいですから」
日本は湯のみを置いた。この湯のみはフランスがわざわざ用意してくれたものだ。
ドイツの前にはコーヒーがある。
「ヴぇ~。日本がいっぱいしゃべってるよ。」
イタリアが口の周りを菓子のかけらだらけにして両手を広げた。
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