明日から訪欧

明日から、野党側筆頭理事を務める衆議院安全保障委員会の派遣でドイツとイタリアを訪問することになります。在独米統合軍、ドイツの国防改革、NATO国防大学、およびイタリアの国防改革の調査・視察に臨みます。とくに、大幅な撤退となる在独米軍の状況や、大胆な国防改革に取り組むドイツ、イタリアの実情などは、我が国の国防改革や在日米軍再編の参考になる点が多々あると期待しています。

まだ、訪韓報告も完了していないのですが(苦笑)、訪欧報告の方も随時行いたいと思っています。この間、地元での行事日程が立て込んでおり(夏祭りのピークでした!)、出国前の慌しさもあって、予告のエントリーにて失礼させていただきます。

9月2日に帰国します。(インターネット環境が許せば、逐次報告ができると思います。)
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重ねてロシアの暴挙を糾す

この間、外務省、海上保安庁、水産庁からのヒヤリングを続けてきましたが、マスコミも含め国民の皆さんにかなり誤った認識が広がっていることに憂慮を禁じえません。

前々回の私のエントリーに対しても、違法操業であったことを前提にした議論が散見されましたが、それは、ロシア側の一方的な主張に基づく誤った認識に他なりません。拿捕された船の船長が過去に「レポ船」に手を染めていたことかに、漁で収穫を上げるためには日ロ間で合意された協定の定めるラインを超えて操業することが半ば常態化してきたこと、などを議論の「前提」にして、ロシア側の主張を鵜呑みにしたものです。

ロシア側の主張ばかりが巷間流布されているのは、拿捕された船の乗組員がロシア側に拘束されていることに最大の原因があることはいうまでもありません。船に積まれたGPSの記録を検証すれば、第31吉進丸がどの地点で操業し、どの地点で銃撃・拿捕されたかが判明するはずですし、ロシア国境警備艇の行動が適切なものであったかどうかについても、乗組員の事情聴取を日本側で行って初めて明らかになるものです。(もちろん、その結果、吉進丸の違法操業が明らかになる可能性も排除できません。)

したがって、ロシア側が関係者全員の身柄を拘束し、一方的な主張を繰り返している現段階においては、デュー・プロセスの観点からも、外交交渉の観点からも、あらゆる予断は排してかからねばならないと思います。ここは、無防備の漁船に銃撃を加えたロシア側の過剰警備について強く非難しつつ、真相究明の「公平性」を担保(ロシア側主張に対し、日本側の事実認定の基づく主張を明確にすること)するためにも、粘り強く、船長以下乗組員全員の即時解放を求め続ける以外にありません。

また、そのすべての前提として、そもそも北方領土が我が国固有の領土であること、したがって、その周辺海域はあくまでも日本の領海であること、すなわち、かかる海域においてロシア政府に我が国漁船を拿捕する権限はなく、「領海侵犯」を容疑として当該船舶の乗組員を訴追することなど容認できないことを言明する必要があります。

もちろん、日本側の漁業関係者に対し改めて漁業規則の遵守を求めるとともに、再発防止のため海上保安庁による付近海域における巡視艇による哨戒を強化していかなければならないことは当然の措置ですが、それにもまして、北方領土をめぐる日露協議の再構築を急がねばなりません。

あくまで私見ですが、我が国漁業関係者の切実な声を踏まえて、1956年の日ソ共同宣言のラインに沿って歯舞、色丹両島の返還を先行させる現実的な解決策も模索されるべきではないかと愚考します。あくまでも「4島返還」の旗は降ろさず、日ロ間に横たわる障害を除去するため、また、その前提たる領土問題をめぐる交渉の手詰まりを打開するために、今こそ思い切った戦略的なアプローチを構想する機会だと思います。

なぜなら、ロシアは、我が国外交の最大の課題である対中「遠交近攻」外交における「北の要」でもあるからです。
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熱闘、甲子園!

まさしく球史に残る大一番でしたね!
3連覇をめざす駒大苫小牧と初優勝に王手をかけた早稲田実業。
田中君、斉藤君という両主戦投手互いに譲らず、ついに翌日再試合・・・。

カーラジオでの「観戦」でも、二人の息詰まる投げ合いの迫力は十分伝わってきましたが、今日ばかりは『熱闘 甲子園』を観ないではいられませんでした。両投手の決め球のスライダーの切れ味をこの目で確認し、また興奮。

なんといっても圧巻は、11回表の全体絶命のピンチにを切り札のスライダーを地面にたたきつけてスクイズ失敗させて切り抜けた早実・斉藤君の気迫、そして、延長15回裏二死満塁を見事に凌いだ駒苫・田中君の剛腕でした。あのスライダーは、待っていても打てないんでしょうね、きっと。

あの甲子園の暑さと地区予選以来の連投に次ぐ連投を考えれば、おそらく打撃戦になるだろうなと予想していましたが、大会屈指の両エースの意地と気迫は、そんな凡庸な見方を見事に裏切ってくれました。気力を振り絞って何度もピンチを凌ぎ、少ないチャンスを生かせずに終わっても決して腐らずにマウンドに立ち続けた両エースの姿に感動しました。

あと数時間で勝敗がついてしまうかと思うと、なんとなく切ない気持ちになります。しかし、そこが勝負の厳しさでもあります。いずれにしても、全国高校球児たちの頂点に立つのですから、高校生活最後の夏を甲子園のグランドで思う存分満喫して欲しいと祈るばかりです。

追記:心に残る優勝決定戦でした。早実が悲願の初優勝!・・・ということになりましたが、斎藤君対田中君の直接対決でゲームセットには、何か因縁めいたものを感じました。斎藤君の見事な直球勝負に豪快なフルスイングで応えた田中君。気迫の勝負球はキャッチャーミットから浮き上がってましたね。スイングアウトの三振に倒れた田中君が見せた安堵の笑みと、マウンド上で終始冷静だった斎藤君の感涙にむせぶ姿がじつに印象的でした。とくに、敗れたとはいえ、春の甲子園出場辞退のどん底から這い上がって夏の3連覇にあと1点まで迫った駒苫ナインに心から拍手を送りたいと思います。

なお余談ですが、昨日は一日地元の挨拶回りでだったのですが、在宅率が異常に高かった。ほとんどのお宅で高校野球を観てました。そして、たまたまゲームセットの瞬間に訪ねたお宅が、なんと早稲田大学OBでした! 顔を高潮させて、玄関に現れたご主人は、「よかった、よかった」を連発。「あなたは、本当にいいときに来てくれた!」とやけに感謝されてしまいました。こんなめぐり合わせも、何かのご縁ですね。大切にしたいものです。(2006-08-23 20:05)
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ロシアの暴挙

朝日新聞より転載・・・16日午前7時40分ごろ、北海道根室市の根室湾中部漁協から根室海上保安部に入った連絡によると、同漁協所属のカニかご漁船「第31吉進(きっしん)丸」(4.9トン、4人乗り組み)が、北方四島海域の貝殻島付近でロシア連邦保安庁国境警備局に拿捕(だほ)された。その際、ロシア側から銃撃を受け、漁船の乗組員4人のうち1人が死亡した。第1管区海上保安本部(北海道小樽市)によると、死亡したとみられるのは甲板員の根室市千島町1丁目、盛田光広さん(35)。

それにしても、「北方四島海域」とはじつに回りくどい表現ですね。なぜ端的に「我が国領海内の貝殻島付近」と書かないのでしょうか。朝日新聞だけかと思いきや各紙がこのような回りくどい表現を使っていることに違和感を覚えます。

いずれにせよ、我が国領海内で起きた重大な主権侵犯行為であり、ロシア国境警備庁による暴挙に厳重に抗議するとともに、犠牲となった盛田さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。また、殺害事件を起こした上に他の乗組員を拿捕したロシア側の過剰な行動に対し、日本政府は、早急に事実関係の詳細を把握するとともに、ロシア政府に対し、他の乗組員の安否情報の確認と迅速な解放、発生した損害の賠償等を求めるべきです。

北方領土が我が国固有の領土であることはいうまでもありません。1956年の日ソ共同宣言以来、領土問題の解決を遷延してきたソ連・ロシア政府に対し、直ちにその実効支配を放棄し、整然と領土の返還手続きを進めることを強く要求しなければなりません。その意味では、麻生外相の迅速な対応を評価し、この際オール・ジャパンでロシア政府に対する毅然とした姿勢を貫くことが肝要。
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訪韓報告

今回の訪韓で面談相手は次の通りです。
(1)崔相龍ソウル大学教授(元駐日大使)
(2)文正仁・大統領顧問
(3)金グンテ・与党ウリ党議長ほか与党議員団
(4)元喜龍・最大野党ハンナラ党議員ほか同党若手国会議員
(5)呉世勲ソウル市長(前ハンナラ党国会議員)
(6)宋永吉・ウリ党議員ほか同党若手国会議員
(7)韓国若手研究者(国際関係・安全保障)
(8)李大淳元通信部長官(郵政大臣)
(9)李相得・韓国国会副議長(ハンナラ党次期大統領候補の最右翼・李明博氏の実兄)
(10)朴振・ハンナラ党国会議員(朴クネ前ハンナラ党総裁の最側近)

今回の訪韓の特徴は、野党のハンナラ党との交流を厚めにしたことと、私の旧知である保守系の若手外交専門家との懇談を入れたこと、そして、最後の朴振議員とは(他の同行議員には失礼してしまったが)差しで懇談したこと。なぜなら、ノ・ムヒョン大統領はじめ与党ウリ党の議員たちでは、外交問題でまったく話が噛み合わず、しかも、残り任期1年半もありながらすでに現政権は完全なレイムダック状態に陥っていることが明らかであるからです。

これまでの我が党の交流相手はウリ党関係者が多かったため(これまでは、自民党を日本軍国主義の残滓と見るウリ党は最大野党の民主党に物凄く期待(苦笑)してきた経緯があり、わが民主党の中でも軍事政権の流れを汲むハンナラ党に対するアレルギーが残っていたようです)、派遣議員団長の仙谷代議士(民主党日韓交流委員会委員長)に強く要望し、今回はハンナラ党や保守系の関係者との交流を重視してもらうことにしました。

その甲斐あって、韓国が抱える重要な問題のいくつかを再確認することができました。第一に、米韓同盟の深刻な危機です。第二に、北朝鮮の崩壊の可能性、第三に、ノ大統領支持基盤の崩壊です。(大事な問題なので、詳細は次回エントリーで! 明日朝早いので失礼します。)

また、ウリ党議員との間では、竹島の領有権や靖国問題、北朝鮮の脅威をめぐってかなり厳しい議論をしました。議論は、予想通りまったくの平行線(中でも韓国による独島の領有については取り付く島なし)でしたが、(1)ミサイル発射の直後だけに、以前より北朝鮮擁護はトーンダウン、(2)靖国問題についても、「日本の国内問題」との主張を受け入れ、以前のように声高に靖国参拝非難を繰り返す姿勢は抑えられていた。

私からは、1998年の金大中大統領(当時)来日時の国会演説における「3つの原則」(過去の歴史から目を背けない、戦後日本の平和主義・民主主義を評価、未来志向の日韓関係の構築)を引いて、日韓両国の現指導者が、自国のナショナリズムを管理できずに迎合してしまって険悪化した二国間関係を、なんとか次世代の政治家による努力で「小渕・金大中時代」まで立ち返らせよう、と呼びかけました。相手議員の何人かは、ハッとして聞いてくれていたように感じました。

最後に朝食を共にした朴振議員(彼は、中国銀行も対北朝鮮金融制裁に着手していたことを米国情報を基に最近公表したことで脚光を浴びました)とは、日韓関係再構築のきっかけとなる「共同プロジェクト」について打ち合わせをしました。お互いに超党派精神で成功させよう、と誓い合いました。早速、自民党で日韓関係を頑張っている山本一太議員や河野太郎代議士(総裁選が終わってからですね、彼は!)らに声をかけよう。我が党でも、前原さんや野田さんや細野くんなどエース級に声をかけようと思います。何がテーマかって?それは、クイズでお答えしましょう。

「来年400周年を迎える日韓間の壮大な事業は何ですか?」
(ヒント:司馬遼太郎さんの名著『明治という国家』の冒頭に出てきます。)

2005年という日韓両国にとっての重大な節目の年(日露戦争から100年、大東亜戦争終結から60年、日韓国交正常化から40年)を「竹島問題」で逸機してしまったので、来年こそは大事に行かねばならないと思っています。中国との長く熾烈な戦略競争を勝ち抜くためにも、我が国にとって朝鮮半島との関係は重要な意味をもっていると思います。あの半島が中国の影響下に陥るのか、日米との協調を維持できるのか、は我が国の外交力にかかっているといっても過言ではないと思います。

追記:今朝の読売新聞特集は画期的でした!1994年に独自の憲法改正草案を発表して以来の快挙です。この間、私自身理解を深めてきた我が国近現代史をめぐる歴史観と軌を一にするところが多く、とくに、満州事変以降の日本の戦争を「昭和戦争」と命名したことに得心が行きました。これまで「大東亜戦争」(対中侵略戦争+対米英自衛戦争)と呼んできた私も、今後は、満州事変・日中戦争、(対米英)太平洋戦争を一括して「昭和戦争」と呼ぶことにします。
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